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【佐藤二朗】憧れの地・尾道の映画ファンと真面目映画トーク 映画『さがす』[尾道映画祭 2022]

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6月18日、広島・尾道で行われたイベント『尾道映画祭 2022』にて映画『さがす』が上映され、上映後のトークショーにて作品で主演を務めた俳優の佐藤二朗さんが登場しました。

佐藤さんは広島初訪問の喜びを語るとともに、広島の映画ファンの質問に熱心に答えながら交流を深めました。

広島来訪の喜びを表してのことか、あるいは照れ隠しか…ステージでは司会者が呼び込む前に佐藤さんがいきなり登壇。

ところが佐藤さんを迎えるべく催されていた計画として、イベント実行委員会側では尾道出身のピアニストによる演奏が会場に鳴り響きます。

いきなりにぎやかに登場するつもりだった佐藤さんは、静かなショパンの『別れの曲』が流れる中、口がはさめずなんとも微妙な雰囲気に。

困惑する佐藤さんの姿に思わず会場からは笑い越えが沸き起こります。



少し迷いは見せたオープニングでしたが、心からのおもてなしに喜びを語る佐藤さん。もともと広島・尾道の出身である大林宣彦監督作品『転校生』『さびしんぼう』を幼いころに見てとても気に入り「尾道に来ててみたいと思っていた」と振り返ります。

映画『さがす』は『岬の兄妹』で鮮烈な長編デビューを飾った片山慎三監督の長編第二作となるサスペンスミステリー。

大阪の下町で平穏に暮らす男性が、ある日「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」という言葉とともに失踪、一人娘はその言葉を手掛かりに父親捜しに向かう中で、衝撃の真実に遭遇する経緯を二つの視点で描きます。

コメディー作品で定評のある佐藤さんだけに、シリアスで陰湿な雰囲気のある本作は全く対照的。撮影を振り返り、撮影時に泊まったホテルで「(自分に)こんな面があるんだ」ということに気づいたほどにかなり鬱々とした気持ちになっていたといいます。



今回は来場者との親睦を少しでも深められたらという思いで、以後は来場者からの質問を受け付けるという計らいに。最初は「(上映作品の)劇中で卓球をするシーンがありましたが、卓球は上手なんですか?」「(劇中で自分を刺すシーンがありましたが、)お腹のけがは、どれくらいで直ったのでしょうか?」などといったユーモアのある軽い質問から、徐々に本格的なQ&Aへと移っていきます。



トークショーQ&A

──劇中で泣く演技をされていますが、あれは泣こうと思って泣いたのでしょうか?それとも役の人間となったことで泣けたのか…

「そうですね。決して『飼っていたカナリアが死んだ』ことを思い出して泣いたのではありません(笑)。今回は片山監督が何回も重ねて泣き叫ぶシーンを撮ったんですが、やっぱりテイクを重ねる中で(演技で泣くことを迫られると)、焦りは当然出ますよね。でも「泣かなきゃ」と思った瞬間に、泣くことはできなくなります」


──今作でアドリブを行われたシーンはありますか?

「例えばアドリブというものが「その瞬間に思いついたこと」を演技で見せることであるとすると、実は僕はそんなことはやっていないんです。

ただ、例えば今回片山監督が僕には内容を伝えずに相手役の人だけにプレゼンを行って取ったシーンというものがあったんですが、その状況に合わせて演技したというシーンはありました。そこで大事なのは、その演出のプレゼン(佐藤さんに伝えず、相手にだけ伝えたという構図)を、僕も演技中にとっさに判断出来て ”それ、いいな” と思えることがあるからこそ、いいシーンになると思っています」



──演じられるときに、役者として大切にしていることはありますか?

(出来事に対して)「~かも?」ということを大事にしています。「こんなことを言うかも?「こんなことをするかも?」「こんなことになるかも?」って。

それを外れて「そんなことあるわけない」と完全に否定してしまうと、コメディーだろうとシリアスだろうと(そんな演技には)みんな引いちゃうと思うんです。

例えば劇中で今回は自分で自分を刺すシーンがありましたが、あのシーンを見た人がSNSで「佐藤二朗のいつものコミカルな面が…」という感想がたくさん上がりましたが、あのシーンはまさしく「~かも?」というもの。人が自分を刺したときに本当にどうなるんだろう?ということを考えたりしてやってみたところなんです」


──今回の作品はシリアスな演技でしたが、面白い演技をするコツってありますか?

「僕はシリアスとコメディーを分ける必要はないと思っています。例えば笑っているときにいきなり泣いたり、怒ったりなんてことって人間にはそういう瞬間があると思うんですが、僕は結構そういうところが好きなので、敢えて分ける気持ちはないので、あまり意識していないんです。そしてそれぞれの監督の作品に準じることが、俳優としての楽しみの一つだと思っています」




一つ一つの質問に親しみを込め、時に笑いを誘いながらも丁寧に答えていく佐藤さん。

「久々に(イベント登壇を)やったということもあるかもしれないけど、尾道の方は、誠実な感じがしますね」と、内容の濃いQ&Aに充実感を覚えた様子。

最後には観衆に「尾道(の魚)は何がおすすめですか?」と尋ね広島来訪の夜を楽しみにしながら、アットホームな雰囲気の内イベントの幕を下ろしました。


[第6回 尾道映画祭 2022] https://o-ff.org/

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桂 伸也

桂 伸也

“和”という言葉で表現されるものには、人によって色んなイメージがあると思いますが、私は“整然として落ち着いたもの”という雰囲気を感じ取っています。

普段は芸能系ライターとして活動を行っており、かなり“にぎやかな”世界に生きていますが、その意味で“和”という言葉から受ける雰囲気に、普段から強い憧れや興味をもっていました。

なので、そんな素敵な“和”の世界へ、執筆を通して自らの船を漕ぎ出していきたいと思っています。

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