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【かわぐちかいじ】漫画家としての人生にも大きな影響を与えた尾道の地への思い 映画『空母いぶき』[尾道映画祭 2022]

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6月18日、広島・尾道で行われたイベント『尾道映画祭 2022』にて映画『空母いぶき』が上映され、上映後のトークショーにて作品で原作漫画作品を手掛けた漫画家のかわぐちかいじさんが甥御の川口 宗太朗さんとともに登場しました。

尾道出身のかわぐちさんは、自身の漫画家となった経緯、ご自身のルーツや『空母いぶき』誕生の経緯などを語りました。


トークショー

尾道・向井島の出身であるかわぐちさん。もともと島から見える尾道の街並みの風景に「島から見える街の風景には、一つの枠の中に三次元(の立体イメージ)が存在している印象があった」という記憶があったことをたどり、それが自身のルーツとして深く記憶に刻まれていることを明かします。


漫画を描き始めたきっかけとしてかわぐちさんは、双子の弟である故・川口協治さんと兄弟そろって絵が好きになったことが始まりだったと語り、「(兄弟で)競うのが楽しくて、画自体もうまくなっていくのがよく分かったので続けられたんです。評価してくれたり、(絵について)話す人もいなかったら、たぶん飽きてやめてしまっていたと思います」と、協治さんとの日々を振り返ります。

その一方で、大学を卒業する際に兄弟でどちらが実家の稼業を継ぐかという岐路に置かれた際に話し合い、協治さんが実家に戻ることを決心しその後に至ったことを告白。

かわぐちさんは協治さんとの日々について「絵のセンスは弟の方があったんですよ。だからそれに負けたくないとコツコツとやり続けて。漫画を書くには根気が必要なんですよね。だからその後話をしたときに『お前、根気がなかったな』なんて冗談を話したりしてね」と振り返ります。


そんなエピソードに対して協治さんの息子である宗太朗さんは「うちの父は自分で決断して帰郷し、尾道では自分の商売を、誇りをもってやっていました」とコメント、協治さんと瓜二つというかわぐちさんに対して「『異人たちとの夏』という映画がありましたが、まさしくあの作品の主人公の印象があって、今でも会うとそわそわする感じがあります」とかわぐちさんの印象を語ります。

『空母いぶき』誕生の原点には、小学生時代の同級生で親友の一人でもあった、軍事ジャーナリストの故・惠谷治さんとの会話がきっかけにあったと語るかわぐちさん。

「『沈黙の艦隊』では原子力潜水艦、『ジパング』ではイージス艦と続いて、じゃあ次に続くのは『空母』くらいしかないだろう、なんてことを話したのがきっかけでした。前作はフィクションでしたが、そんな話をしたときに彼自身が持っているデータを使わない手はないと考え、『明日、日本にも起こるかもしれない』という作品にすればたくさんの人に読んでもらえるものになるのではないかと思いました」と、その経緯に惠谷さんの存在があり、映画化に際しても障害となるポイントに対してヒントを与えてもらったことなどを振り返ります。

この日は、かわぐちさんが受けた映画からの影響についても言及。小学校のころに協治さんと二人で黒澤明監督の『用心棒』を見たのが初めてで、そのシナリオを閲覧する機会にも恵まれたことで、一時脚本化を目指したこともあったと振り返りながら「(脚本を)読みながら脳内で場面を想像するのが好きでした」と回想します。


一方、大学時代に小林正樹の『切腹』と出会い、その地未知な時代表現に触れて「こっちこそが時代劇で、黒沢明作品は『アクション映画』なんだと思い、その時に黒沢作品からの呪縛から初めて解放された気がします」とコメント。

かわぐちさんの作品はリアリティー溢れる描写で高く評価されていますが、その描写や取材の徹底した自身のポリシーについて「漫画家はイメージする力が強いんですが、知らないものに関して書くのは不安なんですよね。しかし対象を知っているものは、それをカッコよく書くこともできるし、書いていて楽しい。だから(漫画を描くにあたって)書く対象をよく知っていることは条件となるんです」とコメントします。

また2011年より尾道市で行われている「尾道マンガ大賞」では最終審査員を務めているかわぐちさん。尾道映画祭にもつながるさまざまな自己表現の媒体を通して「例えばカンヌやベネチアみたいに『尾道が認めた作品』というステータスができるような、そんな街になってほしい」と、尾道の街を通じた芸術活動への思いについても触れられました。


[第6回 尾道映画祭 2022] https://o-ff.org/

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桂 伸也

桂 伸也

“和”という言葉で表現されるものには、人によって色んなイメージがあると思いますが、私は“整然として落ち着いたもの”という雰囲気を感じ取っています。

普段は芸能系ライターとして活動を行っており、かなり“にぎやかな”世界に生きていますが、その意味で“和”という言葉から受ける雰囲気に、普段から強い憧れや興味をもっていました。

なので、そんな素敵な“和”の世界へ、執筆を通して自らの船を漕ぎ出していきたいと思っています。

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