【NEWS】100年後の地球に残したい「良い日」を「映画」で伝える『YOIHI PROJECT』 第一弾阪本順治監督作品『せかいのおきく』4月28日公開
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YOIHI劇場映画
『せかいのおきく』
2023年4月28日 全国公開
©2023 FANTASIA
日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。
寺子屋で子供たちに読み書きを教えている主人公おきく(黒木華)は、ある雨の日、厠寺所有の公衆便所のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(寛一郎)と、下肥買いの矢亮(池松壮亮)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。
侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう。
©2023 FANTASIA
©2023 FANTASIA
『せかいのおきく』
脚本・監督:阪本順治
出演:黒木華、寛一郎、池松壮亮ほか
配給:東京テアトル/リトルモア/U-NEXT
2023年4月28日全国公開
映画公式サイト URL:sekainookiku.jp
公式 Twitter アカウント: @okiku_movie
『プロミスト・ランド』
2023年春撮影・2024年公開予定
1983年、第40回現代小説新人賞受賞「プロミスト・ランド」を38年の時を経て実写映画化。
過疎化し侵害されつつある山の集落で、禁じられた熊撃ちにあえて挑む男達。自然と共に生きるマタギの文化と人々。
それは消えつつある文化。自分の進むべき道を理不尽に閉ざされ、それでも信念を貫き、熊討ちに賭ける男と、それに付き添う若者を描く2人の男の物語。
『プロミスト・ランド』
監督・脚本:飯島将史
原作:飯嶋和一「プロミスト・ランド」(小学館文庫『汝ふたたび故郷へ帰れず』所収)
YOIHI ドキュメンタリー
『MARUMO(仮)』
2023年1月完成予定
南伊勢の山間の中にある「マルモ製炭所」。そこでほぼ毎日休むことなく木炭を作り続けている炭焼き職人森前栄一さんを追ったドキュメンタリー。
自然の中で生きる職人とウバメガシが備長炭になるまでを追い、エネルギーについて考えます。
撮影場所:三重県南伊勢町ほか
『マタギ(仮)』
2023年1月完成予定
山形県庄内地方の集落に暮らす、マタギ文化を継承して生き続ける男たち。
彼らは山と共に暮らす。山の神を信じる、生きているものには魂があると信じている。
マタギとは時代が変化し、消えつつあるマタギの精神を記録する。
撮影場所:山形県大鳥地区ほか
原田満生
YOIHI PROJECT 代表・映画美術監督
世界が一斉にサーキュラーバイオエコノミーに舵を切ってる姿を目の当たりにして、ごく普通に生活を送る我々には、実際に、何をどう変えなければならないのかもわからない。ましてや、その行動がどのように私たちを幸せにするのかを想像できないのが現実です。
『YOIHI PROJECT』が創りたいものは、バイオエコノミー、サーキュラーエコノミー、サステナブル、SDGs、などの様々な環境問題に触れながら、人間を描いた映画を創ること。その映画やプロジェクトが起点となって、環境問題に興味をもってもらい、考える時間が生まれることを目指します。私たちの映画を通じて、メッセージや宝物を次世代に伝えていく。それを受けたひとりひとりが、自発的に知識を育み、さらなる次世代へ継承するような土壌を創っていく。
100年後の子孫が、『YOIHI PROJECT』が創った『映画』を観て何を想うかそれを想像しただけでもワクワクする。
『YOIHI PROJECT』は志のある映画を創り、人々に伝えていく革命です。私たちは一つになって未来に繋げていきます。
阪本順治
『せかいのおきく』監督
気候変動による災害、戦争を終わらせられない指導者たち、真っ先に死んでゆくのは、なんら世界経済の恩恵を受けないひとたち。消費されるのは、モノだけではなく、社会の底辺でうごめくひとびとの人格。これまで、その底辺から世の中を見据え、低い地平から社会を描こうとした映画は多々あったが、今回、私はさらに視線を下げ、違った方角から社会を観てみようと想った。
云い方を替えると、〝汚い〟ところから社会を観る、そんな試みだ。はるか以前の日本における食のサイクルを基軸として、没落した武家の娘と、糞尿の処理に携わる賤民たちを主人公に、その青春を、軽妙に描きたいと想った。その軽妙さこそが、庶民のたくましさであり、本音でもあり、自尊心を誰にも奪われてなるまいとする彼らの抵抗だ。そして、現代社会への痛烈な皮肉だ。
『YOIHI PROJECT』で『せかいのおきく』を作ったことは、私自身への自戒ともいえる。
藤島義之
YOIHI PROJECT テクノロジー・イノベーション・ディレクター
産業革命以降の化石資源の恩恵で我々は重労働から解放され、豊かな生活を送れております。しかしながら化石資源の過剰な使用によって、食料が満たされ、プラスチックや化学繊維の処理が追い付かないほどあふれています。また、気候変動ガスが毎年増え続けています。
でも、日本は1970年代のオイルショックを機に、化石資源への依存から脱却するための研究開発を産官学でやってきました。しかしながら経済活動は世界からすると異端であり、経済活動としては主流になりえませんでした。
欧米の多くの国とは異なり、日本は自然との共生を古来からの価値としている国民だと思います。気候変動課題やサステナビリティに経済活動を移さなければと気づいた今が、全世界の人の目を日本の文化に向ける時期が来たと思います。
開国前の日本はすべてを循環させ人々を生かさせる、江戸時代の日本の人口3千万を超え、江戸だけでも100万人が暮らしていたといいます。その頃の江戸ができていたなら今の日本ならもっと優れた社会が作れるのではないでしょうかそんな気付きを『せかいのおきく』や『YOIHI PROJECT』で可視化してゆければと思います。
五十嵐圭日子
YOIHI PROJECTプロジェクト・フェロー
バイオエコノミーに関する情報が日本に届き始めたとき、多くの人が自分たちには関係ない話だと思っていました。「生物圏に優しい負荷をかけない経済活動」と捉えてもっと多くの人が取り組むべきだと言い続けてきましたが、そのような中で日本でもSDGsが浸透しはじめ、国として脱炭素社会カーボンニュートラルに向かうという決断をしました。
一方、欧州でバイオエコノミーは循環型社会を意味するサーキュラーエコノミーと合流して「サーキュラーバイオエコノミー」にアップグレードし、最近ではウェルビーイングや生物多様性とも同時に語られるようになっています。これら全ての根本にあるのは「自然がきちんと動いていてはじめて人間は幸せに生きていくことができる」という考え方で、「ネイチャーポジティブ」という言葉に集結しようとしているのが世界潮流と言えます。
現代の日本人がこのような流れに乗り切れていないのは明らかですが、実はたった160年前の日本人の生活は、まさにサーキュラーバイオエコノミーだったという気づきを与えてくれるのが『せかいのおきく』であると言えます。
ご覧頂いた皆様が、幸せとは何か、自然と人間との関係を考える機会となることを祈っています。
『YOIHI PROJECT』公式サイト
https://yoihi-project.com/