日本の伝統、芸術、思想。なぜ? 問いを見つける。常設展『計算機と自然、計算機の自然』[日本科学未来館]
この記事の目次
シンボル展示「計算機と自然」
自然から切り出した樹木や草花に、自律的に動くロボット、標本や最新の構造印刷技術で再現された蝶。
自然のものと、計算機がつくり出す人工物が境界なく混ざり合った「新しい自然」を表現しています。
シンボル展示「計算機の自然」
計算機は機械学習の手法によって作られた多くの画像から、人間が言語化できないような特徴を見つけ出し、学習し、新しい画像を生み出します。
計算機が作り出す世界のどこにも存在しなかった、文字の形、人の顔、植物などは、計算機の中の法則に従った「新しい自然」と呼べるかもしれません。
世界観の問いを促す
一見しただけではもはや本物と区別が付かない高精細映像や、さまざまなテクノロジーで演出された日常の風物が並び、来館者の認識を揺さぶります。
はじめに光あり
運がいい日も悪い日もある
「はい、おてつき!」
デジタルにオーラは宿るか?
風鈴はなくとも、風鈴は鳴る
だるまは問い続ける
世界は波で出来ている / ぴったりは何パーセント? / while (1) 白と黒を分ける直線を求めなさい; / 不揃いな木で家が建つか? / ドレミの形 / 塵の中にも計算は宿る / データは重力に縛られない / DNA 折り紙 / 「ピューイ、ジジジ…こちらイルカです。オーバー?」 / 神経は計算機? / 目はカメラ?カメラは目? / 昔も今も色は一緒? / ここは計算機の中と外、どっち? / バーチャルってなんだろう?
文化と技術について偉人たちが語る映像
文化と技術の歩みの具体例について、時代を切り開いてきた先人たちがモニターを通じて語りかけます。
武田信玄が通信について、飛鳥美人が画像について、初音ミクが音楽について、馬が移動について、紀貫之が記録について、それぞれ繰り返されてきたイノベーションを紹介します。
人類は「経験」と「法則」を繰り返す
人類が「経験」を積むことで改善を繰り返し、「法則」を見出して解決策を見いだしてきた歩みを、「計算」「通信」「画像」「音楽」「移動」という 5 つのトピックスを例に歴史絵巻のようなアニメーションで振り返り、今後の技術の進歩を展望します。
総合監修(アートディレクション)『落合陽一』コメント
[メディアアーティスト、筑波大学 准教授]
「自然の中でコンピューターを感じることはない」と思われるかもしれませんが考えてみてください。すでに私たちはスマホで自分の位置を確かめるなど常にコンピューターを通して見る自然と対話しています。
また、コンピューターの内側にも自然はあると思います。数理的なアルゴリズムの統計かもしれないし、コンピューターが元来内包している計算の性質かもしれません。
そうしていくとコンピューターの内側にある自然と外側にある自然は一体となって『新しい自然』を形成していくのではないかというのがひとつのコンセプトです。
『新しい自然』に対峙した時、「なぜ?これ作ったんだろう?」「なぜ?ここにあるんだろう」「すごく綺麗だけれど、なぜ?綺麗に思えたんだろう」とか、科学未来館に来る事でしか出来ない問いかけを考えてほしいと思います。
この先、テクノロジーは古くなり、世界観も変わります。この常設展示は、10年後、15年後に、「昔はこういう事がおもしろいと思ったんだ」と思われる世の中にしたいと作りました。
10年経って古いものになっていてほしいと思います。
計算機と自然、計算機の自然
[開館時間]10:00~17:00 ※入館券の販売は閉館30分前まで
[休館日]火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)
[入館料]大人630円、18歳以下210円
[日本科学未来館]>> https://www.miraikan.jst.go.jp/