【音のVR】国立劇場から新たな文化発信! 1000年の歴史、日本の伝統音楽「雅楽」と「オーケストラ」共演[KDDI]
この記事の目次
「音のVR」収録
笙(しょう)
篳篥(ひちりき)
龍笛(りゅうてき)
琵琶(びわ)
箏(そう)
鞨鼓(かっこ)
太鼓(たいこ)
鉦鼓(しょうこ)
「伶楽舎」インタビュー
[左]東野珠実(笙)、[右]宮丸直子(鞨鼓)
ーー伶楽舎のはじまりについて教えてください。
[宮丸直子(鞨鼓)]
雅楽の世界で初めて文化勲章を受賞された芝祐靖先生が、“宮内庁で演奏するだけではなく民間で自由に動けて対応できるグループを作るべき” という考えと、“奏者が29人ぐらいを必要とする武満徹さん作曲『秋庭歌一具』を同じメンバーで演奏できるようなグループを作りたい” という想いから活動がはじまりました。
ーー活動について教えてください。
[宮丸直子(鞨鼓)]
雅楽の伝統的な楽曲や舞はもちろん演奏するのですが、その他に現代音楽の作曲家に作品を委嘱して雅楽の新しい可能性を探るという活動をしています。
雅楽は、1000年以上の歴史があるので、今、伝承されている何倍もの曲が失われており、正倉院の中に使われなくなった楽器が残っています。楽譜を復元したり、使われなくなった楽器の音を出してみたり、いにしえの雅楽の姿がどのようなものだったか探って、これからの雅楽の道筋にヒントをいただく事も行っています。
自主公演では、「伝承されてきたもの」「新しいもの」「復元するもの」この3つを必ず企画してお届けしています。
ーー子供たちへ向けての活動も行っていますね。
[宮丸直子(鞨鼓)]
「雅楽を未来に繋げる」というのは、今の子供たちが楽しめて、理解できるものではないと繋がっていかないという考えがあり、10年くらい前から芝祐靖先生のご意向で、「子供たちへの雅楽プロジェクト」を立ち上げて活動しています。
子供たちを対象として、CDやDVDを制作したり、解説入りのコンサートをやったり、お話を聞きながら雅楽の楽器の音色がわかるという芝先生の傑作『ポン太と神鳴りさま』や、伶楽舎の演奏家であり作曲家でもある東野珠実さん作の『雅楽童話 ききみみずきん』などをプログラムに入れて演奏会を行なっています。その時の子供たちは、目をキラキラさせながら見てくれるんです。
子供たち向けに行っているけれど、まったく雅楽を知らない大人でも興味を持って見てくれるんですよ。こういう活動は、本当に必要なんだなと思いますね。
ーー雅楽の見どころを教えてください。
[東野珠実(笙)]
私自身の体験でもありますが、古くからある伝統的なものに初めて出会った時、それはその人にとって“新しいもの”です。そして新しいものを見つける“ときめき”が常に用意されているのが、伝統文化のひとつの存在価値だと思います。
娘と出かけると彼女にとっては全てが初体験なので、古典も新しいものとして取り込んでいるなぁと思いますね。そのような初体験が何十世代も繰り返しているわけで、その“ときめき”の連鎖の過程に、雅楽は1000年の命を得たのではないかと思います。
そういう意味で雅楽は見どころ満載です。
例えば、装束1つとっても普段着ているものとは全く異なる色彩豊かな世界があります。さらに、1000年の間、音楽や舞にその魅力を発見した人が繋いでくださっていることを考えると、雅楽の生命力は計り知れません。今の言葉で言うサスティナブルを実証しているのがこの雅楽だと私は思っています。
ーー雅楽をはじめたきっかけを教えてください。
[宮丸直子(鞨鼓)]
雅楽は全く知らない世界でした。
学生時代は、西洋音楽とかしか知らなくて、民俗音楽は少し面白いかなと思っていたぐらいでした。そんな時、芝祐靖先生という雅楽の先生に出会って、初めて雅楽の演奏会を聴きに行きました。
その時、全ての価値観が変わってしまうぐらいの衝撃を受けましたね。
自分がこれから先、一生やるとかやらないとか考える間もなく、とにかくそこに惹きつけられてしまったという感じではじめました。芝先生は、とっても穏やかな素晴らしい先生で、芝先生に習って演奏してみたいと思いましたね。
[東野珠実(笙)]
学生時代は作曲学科に在学していまして、新しい事や創造的な事に大変興味があったんです。当時、最先端であったコンピューターミュージックも興味を持って試行錯誤していました。コンピューターというのはただの箱ですから、そこに何を詰めていったら表現としてアウトプットしていけるのかなと考え、一番新しいものには一番古いものがきっと合うに違いないと思っていた時、芝祐靖先生が行う雅楽の講座に行ってみました。
「何だこれは!」とそれこそ衝撃でした。娘の言葉を借りると「私、これ好きかも」って感じです。笑
その出会いがあって、自分のクリエーションのためにも、雅楽の世界の中で息をして自分の血肉にしてみたいと思いました。
芝祐靖先生は大変な人望のある方だったので、私が色々と試してみたいとか冒険したいという気持ちを上手く取り上げてくださりました。そのおかげで、伶楽舎の中の席をいただいている感じなんです。
ーー演奏楽器はどのように決めるのですか。
[宮丸直子(鞨鼓)]
基本的には管楽器のどれかひとつを習うところから入り、その後に弦楽器を習います。そして舞もというように一通り経験しますね。オーケストラだったら決めたパートしかやらないと思うけれど、フルートもやって、バイオリンもやって、パーカッションもやってという感じなんです。
全て経験した後、最終的に自分が演奏したい楽器を自分で選びます。
[東野珠実(笙)]
不思議とその人の人格に合ったようなパートを選んでいきますね。
私は、なんか笙に導かれて行っている感じです。やっぱり笙が行きたいと思っているところに立たせてもらっているなと思うことも多いです。
[宮丸直子(鞨鼓)]
メンバーの中には、笙は全然興味ないというメンバーもいますよ。それぞれ、わくわくするところが微妙に違って。
[東野珠実(笙)]
それはもう本当に千差万別ですよね。
ーー「音のVR」で配信について
[東野珠実(笙)]
コンピューターミュージックをはじめ、マルチメディアのクリエーションはここ30年色々な形で行われてきましたけれど、それはメディア(媒体)の変遷でしかありません。何かを表現するとなった時、本質は伝統的な文化の延長上にあるということに気づきます。
例えばヨーロッパのプロジェクションマッピングは、教会とかお城とかを使った演出がものすごく映えました。新しいテクノロジーを使うほど、文化的な背景があってこそ表現の必然性や説得力につながると思います。
雅楽は、舞があり、音楽があり、装束や何かのエッセンスも含めてマルチメディア性が満載で、応用力もあり、ものすごくポテンシャルが高い芸能です。
その雅楽を使った「音のVR」。
VRで配信という新しい手法として、私たちもチャレンジしていますが、視聴者にとっても新しい視点だと思います。聴覚的な新しい発見もできると思いますので、とても面白いと思います。
伶楽舎
雅楽の合奏研究を目的として、1985 年に芝祐靖が創設し、長らく音楽監督を務めた雅楽演奏団体。発足以来、現行の雅楽古典曲以外に、廃絶曲の復曲や正倉院楽器の復元演奏、現代作品の演奏にも積極的に取り組み、国内外で幅広い活動を展開している。特に、現代作曲家への委嘱作品や古典雅楽様式の新作の初演には力を入れている。文化庁「文化芸術による子供の育成事業」他、小中高校生を対象としたワークショップ、レクチャーコンサートなどの教育プログラムも多く行っている。
新日本フィルハーモニー交響楽団
1972年、指揮者・小澤征爾のもと楽員による自主運営のオーケストラとして創立。97年にすみだトリフォニーホール(墨田区)を本拠地とし、日本初の本格的フランチャイズを導入。世界的指揮者との共演歴を誇る定期演奏会の他、地域に根ざした演奏活動も特徴的。99年小澤征爾が桂冠名誉指揮者就任。2016年より指揮者・上岡敏之が音楽監督を務めている。また久石譲と立ち上げた、新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラでは幅広い人気を集めた。
KDDI総合研究所 開発「音のVR」
360度動画の見たい・聴きたい部分に自由自在にフォーカスできるインタラクティブ視聴技術。
最大360度8Kビデオ・360度3Dオーディオから、空間的に自然な広がりと定位を持つ、任意の範囲の音場をリアルタイムに合成、再生します。「音のVR」アプリを利用し、好みの楽器の音色にフォーカスしたり、映像をズームしたりすることで、雅楽とオーケストラのアンサンブルの音色を様々な視点でお楽しみいただけます。
KDDI グループは、”社会の持続的な成長に貢献する会社”として、「KDDI Sustainable Action」の「心をつなぐ ~健康・生きがいづくり~」に基づき、SDGs の取り組みを加速させ、お客さまや社会とともに持続的な成長・発展を目指してまいります。
音のVRウェブサイト >> https://time-space.kddi.com/otonovr/