【空也上人】心の安寧を祈り、念仏をひろめた。特別展「空也上人と六波羅蜜寺」開催[東京国立博物館]
見どころ①
重要文化財「空也上人立像」
東京で半世紀ぶりに公開
平安京に疫病が流行した際、念仏をひろめた空也上人。日本史の教科書でおなじみの重要文化財「空也上人立像」は、運慶の四男である康勝が上人の姿を写実的に表した像で、仏師の代表作とされます。
この像が制作されたのは鎌倉時代で、上人がこの世を去ってから200年以上が経過していましたが、つねに市井の人々と共にあった上人への畏敬の念と、口から6体の阿弥陀仏が現れたという伝承を表したものです。
見どころ②
平安・鎌倉彫刻の宝庫
六波羅蜜寺の名宝が一堂に
京都・東山に位置する六波羅蜜寺の周囲は、古くは、鳥辺野(とりべの)という葬送の地であり、また信仰の場でもありました。六波羅蜜寺は幾度か兵火にあいましたが、創建時から伝わる重要文化財「四天王立像」をはじめ、平安から鎌倉期の名宝が伝来しています。
第1章
空也上人と六波羅蜜寺の創建
六波羅蜜寺の創建は、今からおよそ1000年前の平安時代半ばにさかのぼります。天暦5年(951)、京都に流行り病が蔓延したため、空也上人は、疫病がおさまり世の中が穏やかになるように祈り、十一面観音立像を造像し、西光寺を創建しました。これが現在の六波羅蜜寺です。
空也上人
南無阿弥陀仏ととなえて極楽往生を願う阿弥陀信仰をいちはやく広めた、平安時代中期の僧侶。
山林で修行をしながら各地を遍歴し、橋梁や道路等の整備や行倒れた人を弔うなど社会事業を行い、庶民から有力者まで幅広い信仰を集めました。10世紀半ばには、京都・東山の地に十一面観音立像を本尊とした六波羅蜜寺の前身となる西光寺を開き、天禄3年(972)、70歳にてその生涯を閉じました。
重要文化財 空也上人立像 康勝作 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵 写真 城野誠治
重要文化財 四天王立像のうち持国天立像 平安時代・10世紀 京都・六波羅蜜寺蔵 写真 城野誠治
重要文化財 薬師如来坐像 平安時代・10世紀 京都・六波羅蜜寺蔵
第2章
六波羅とゆかりの人々
六波羅蜜寺は、京都の葬送の地の一つ鳥辺野の入口にあり、「あの世」と「この世」の境界に位置する寺として、人々の篤い信仰を集めてきました。
重要文化財 地蔵菩薩立像 平安時代・11世紀 京都・六波羅蜜寺蔵
重要文化財 伝平清盛坐像 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵
重要文化財 閻魔王坐像 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵
六波羅蜜寺
西国三十三所第17番札所。本尊は秘仏の国宝「十一面観音立像」で、12年に一度、辰の年に開扉されます。また、正月三が日の皇服茶(おうぶくちゃ)の授与や8月のお盆に行われる「萬燈会(まんどうえ)」など伝統行事が受け継がれています。
開山空也上人にちなんで、12月13日〜31日の毎日夕暮れ時に行われる「空也踊躍念仏(くうやゆやくねんぶつ)」は、重要無形民俗文化財に指定されています。2022年5月末に、新宝物館「令和館」が開館予定です。
六波羅蜜寺 写真 浅沼光晴
重要文化財 地蔵菩薩坐像 運慶作 鎌倉時代・12世紀 京都・六波羅蜜寺蔵
特別展「空也上人と六波羅蜜寺」
2022年3月1日(火)~5月8日(日)
[会場] 東京国立博物館 本館特別5室(東京・上野公園)
[開館時間] 9時30分~17時00分
[休館日] 月曜日、3月22日(火)(ただし3月21日(月・祝)、3月28日(月)、5月2日(月)は開館)
[観覧料金] 事前予約(日時指定券)推奨
一般 1,600円、大学生 900円、高校生 600円
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳等をご提示ください。
※キャンパスメンバーズ、団体料金の設定、シニア割引はございません。
※障がい者とその介護者1名は日時指定予約不要です。
※特別展観覧料で、特別展ご観覧の当日に限り総合文化展 (平常展) もご覧いただけます。ただし、総合文化展の混雑状況によっては、入場をお待ちいただく場合があります。総合文化展の日時指定券をご予約いただく必要はありません。
※総合文化展のチケットでは、本展はご覧いただけません。なお当日、本展観覧料との差額をお支払いいただいてもご観覧いただけませんのでご注意ください。
※特別展「体感 !日本の伝統芸能」(~3月13日まで)および特別展「ポンペイ」(~4月3日まで)は別途事前予約(日時指定券)および観覧料が必要です。特別展「琉球」(5月3日~6月26日)は別途観覧料が必要です。
[主催] 東京国立博物館、六波羅蜜寺、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日
[協賛] DNP大日本印刷、小学館
[展覧会公式サイト] https://kuya-rokuhara.exhibit.jp