【藍染】ジャパンブルーとも呼ばれる藍色。藍染の歴史や染め以外にも使われた藍
藍染とは
藍染めの原料はアイと名のつくさまざまな植物で、日本ではタデ科の一年草の蓼藍が代表的です。
染色方法に違いがあり、「生葉染め」「乾燥葉染め」「すくも染め」などがあります。
生葉染めは、最も古い染め方で布に生葉をそのまま叩きつけて染める叩き染めと、すり潰した汁で染める方法です。
しかしこの方法は、あまり濃く染まらない、葉が新鮮なうちでないと染色できないので時期が限られるといった欠点があります。
乾燥染めは藍の葉を乾燥させたものを用いる方法です。
そのままでは染まらないので染まるように予め染める布等に還元作業といった下処理をしなければなりませんが、生葉に比べて無駄なく染めることができ、染める時期もあまり選ばない方法です。
すくも染めは、乾燥させた藍の葉を数ヶ月かけて発酵させて、すくもをつくり、さらにそれを固めて藍玉を作って染める方法です。
藍の葉を育てるところから始めるところも多く、何か月とつきっきりで作業をします。
高度な技術ととんでもなく手間を必要とする為、職人が少なく、現在は徳島以外で日本産のすくもを見ることはほとんどありません。
藍染のはじまり
藍は人類最古の染料といわれており、日本には約1500年前に中国から朝鮮を経由して伝えられました。
世界各地でも知られており、エジプトで発掘された紀元前2000年頃のミイラに、藍で染めた麻布が巻かれていた事や、インドでは「インジカン」と呼ばれる青い染料の元になる葉を染色に使用していました。
これが藍の代名詞「インディゴ」となったそうです。
日本では、平安時代には主に宮廷や上流貴族が身につける高貴な色とされ、鎌倉時代には武士が鎧の下に藍の一種である「かちいろ」を身につける習慣が定着していました。
「かちいろ」と戦に「勝つ」をかけたげん担ぎだったとされています。
藍が庶民の間に広まったのは江戸時代です。
着物や作業着、のれんや寝具にまで、身の回りのほとんどのものに使われており、江戸の町は藍色の町となっていました。
庶民の布地として主流だった木綿を最もよく染め、「染家」は藍染を主とし、「紺屋」とも呼ばれていました。
藍染の産地
日本では徳島県が藍の一大産地です。
江戸時代からそれは変わらず、徳島の阿波では藍の栽培が盛んでした。高知県から徳島県を流れる吉野川は日本三大暴れ川の一つであり、毎年のように氾濫していました。しかし、それが功を奏して、上流から栄養豊富な豊かな土を下流へ運んでくれ、上質な藍が育ったようです。
積極的な政策や品質の良さが認められたこともあり、高く評価を受け、他の地域の3倍以上の価値が付いていたといわれています。
藍の産地は徳島県が群を抜いていますが、他にも産地はあります。
北海道の「伊達の藍」は、明治7年頃に徳島県から伊達市に入植した人達が藍を栽培して始まったとされています。栃木県の益子町では江戸時代に創業された日下田紺屋が有名で、製品の「益子木綿」は無形文化財に指定されています。
滋賀県では、京都から技術が広まり紺喜染織が明治時代に創業され「近江木綿」が有名になりました。
他にも、オリジナルデザインに定評のある島根県の「出雲織」、深い藍色が特徴で200年ほど前から作られたといわれている福岡県の「久留米絣」、沖縄県では琉球織物の紅型にも使用されている「琉球藍」などがあります。
染め以外の効果
日本の藍色は大変美しく、たくさんの人を魅了しており、海外からはジャパンブルーとも呼ばれています。昔から現在まで受け継がれる日本の誇れる偉大な文化の一つです。
色の美しさはもちろん、藍で染めたものは色褪せがしにくいのも藍染の魅力です。
しかし、藍の魅力は色だけではありません。
藍は古来より多くの効能をもつ薬草としても知られています。
葉や種には解毒や解熱剤として使われるほどの薬用作用があり、藍には虫の嫌いな成分を含んでいるため藍染されたものは虫よけや蛇よけにも役立ちます。
他にも、消臭効果や保湿効果、肌を太陽から守る紫外線防止効果などがあります。
最近では、天然の藍にアトピー性皮膚炎などに対して治癒効果がある成分が含まれているという事実が研究によって判明しました。
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まとめ
現在、藍染を無形指定文化財として保護している県がいくつもあり、伝統的な藍染を体験できる工房等も増えています。また、薬草として多くの効能に再注目し、健康食品としてとしても注目されはじめています。
昔から、様々な形で日本はもちろん世界にまで多くの魅力を与え続けている “ 藍 ”
ぜひ、藍の魅力に引き込まれてみてください。
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