【NEWS】心の栄養に。私たちのスタイルを。中村勘九郎、中村七之助 全国巡業「錦秋特別公演2021」開催
巡業公演について
ーー巡業公演について教えてください
[勘九郎]
2005年から毎年のように行っている巡業公演です。
歌舞伎を見たことがない方が多く、初めて見てくださる方をどんどん増やしていきたい。そのためにも普段歌舞伎公演が行われない土地に出向いて歌舞伎を見ていただくという試みをしています。
2005年から続けていますが、芸談コーナーとかで “歌舞伎を今日初めて生でご覧になる方は手をお上げください” と申しますと結構な数が上がるのでまだまだ普及されていないんだなと感じます。
これはずっと続けていく公演ですし、中村屋一門にとりましても大切な公演のひとつとなっております。
ーー巡業で楽しみにしていることはありますか
[七之助]
本来ならば巡業はもちろん公演で各地のお客様とふれあい、現地の方々とコミュニケーションをとったりするのですけれど、それができなくなってちょっと残念ではあります。
また、現在はできないことなんですけれども、巡業の楽しみのひとつとして、終わった後に現地の美味しい食事だったり、名物を食すのが楽しみでした。
今の状況を考えるとそれができないですけれども、その現地の空気だったり雰囲気だったりを感じて楽しみたいと思います。
公演一覧
2021 年
10月5日(火) 東京・品川 / きゅりあん 大ホール
10月8日(金) 東京・中野 / なかの ZERO 大ホール
10月9日(土) 埼玉・東松山 / 東松山市民文化センター
10月10日(日) 茨城・水戸 / ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール
10月11日(月) 神奈川・藤沢 / 藤沢市民会館 大ホール
10月13日(水) 高知・高知 / 高知県立県民文化ホール オレンジホール
10月14日(木) 広島・広島 / 広島文化学園 HBG ホール
10月16日(土) 山口・周南 / 周南市文化会館 大ホール
10月17日(日) 香川・高松 / 香川県県民ホール レクザムホール 大ホール
10月19日(火) 大阪・東大阪 / 東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
10月20日(水) 兵庫・神戸 / 神戸国際会館 こくさいホール
10月21日(木) 三重・四日市 / 四日市市文化会館 第 1 ホール
10月22日(金) 大阪・枚方 / 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
10月23日(土) 東京・八王子 / J:COM ホール八王子
10月24日(日) 富山・富山 / オーバード・ホール
演目について
ーー演目の浦島、演じられる中村鶴松さんについて教えてください
[勘九郎]
近年、様々な役を経て大きくなっていく鶴松。この公演でやはり何かひとつ演目ということで前々から思っていました。前回の三ツ面子守に続きまして、今回のひとつを彼に任せたいという思いがあり「何がやりたい」って聞いたときに、「浦島をやってみたい」ということを言っていたので、それを採用したという形ですね。
この浦島という踊りは巡業で何回か私が演じておりますけれども、初めて歌舞伎をご覧になる方にはストーリー性もわかりやすいですし、浦島太郎の物語、後日談という形で踊りにしています。また、曲調もとても華やかですし、二枚扇という扇子を2本使って踊るテクニカルな踊りがあったりして、目にも楽しい踊りでもあります。初めてご覧になる方にはとってもとっつきやすいというか、見やすい演目なんじゃないかなと思いますね。
あと私ごとですけれども、うちの父が私の浦島を大変気に入ってくれていたので、それをしっかり鶴松に伝えられたらいいなと思います。
ーー演目 甦大宝春日龍神の見どころについて教えてください
[七之助]
春日龍神は、お能の春日龍神をもとに、2014(平成26)年、春日大社の奉納舞踊として兄弟で踊らさせていただきました。
高僧・明恵上人が日本からインド、中国に渡って天竺へ旅立つことを報告しに春日大社を訪れると、村の男女の姿に身を変えた龍神と龍女が「とどまるように」とお告げを受ける物語。
前半はお芝居仕立てが強く、後半は荒々しい龍神龍女の踊りを両方違った雰囲気の踊りを楽しんでいただけるような舞踊です。
演目
[1] 浦島(うらしま)
浦島・・・ 中村 鶴松
[2] 甦大宝春日龍神(よみがえるたいほうかすがりゅうじん)
村の男 田吉 (実は猿澤の龍神)・・・中村 勘九郎
村の女 宮子 (実は猿澤の龍女)・・・中村 七之助
明恵上人(みょうえしょうにん)・・・中村 いてう
村の女 松子(昼)・・・ 中村 仲四郎
村の男 太郎(夜)・・・ 中村 仲助
村の女 花子・・・ 中村 仲之助(昼)/ 中村 仲弥(夜)
[3] トークコーナー
中村 勘九郎
中村 七之助
中村 鶴松
演目解説
【浦島】
竜宮城へ招き入れられ、世にも美しい乙姫と共に夢のような時を過ごした浦島。現実の世界に戻った浦島は、乙姫への恋心を募らせるばかり。そして土産にもらった玉手箱を開けてみ ると…。
「助けた亀に連れられて」。
誰もが知る古来より伝わる有名な伝説を舞踊化した一幕をどうぞお楽しみ下さい。
【甦大宝春日龍神】
鎌倉時代の高僧・明恵上人が仏跡を拝むために天竺へ旅立つことを報告しに春日大社を訪れると、村の男女の姿に身を変えた龍神と龍女がその様子を伺いに現れます。
「日本にとどまるように」との春日大明神のお告げを受けた明恵上人は大急ぎで京都の 栂尾へと帰ります。
さて、そのあと春日の山では…、
春日大社「第六十次式年造替記念」の奉納舞踊として、平成二十六年に創作された演目が今ここに甦ります。
メッセージ
ーーお客様へメッセージ
[勘九郎]
昨年、新型コロナの影響により、止むなく中止させていただいたんですけれども、その時、伺えなかった場所に、今年の春、そして秋と2回に分けて伺えるという事は嬉しいです。
昨今、不安定な日々が続き、お客様には本当に安心安全にご覧いただくということが私たちの思いでございます。もちろん感染対策は、スタッフを含めて厳しく徹底的に管理いたします。少しでも現実を忘れて非現実の歌舞伎の世界に飛び込んでいただけたらうれしいなと。
このような状況ですので、“心の栄養”。演劇、歌舞伎によって癒すことができればいいなと思っております。
[七之助]
このような状況下ですが、お届けできることは本当にありがたい事です。
どこへ行っても一生懸命に。変わらず私たちのスタイル、やってきた事をお見せしますので、明日への希望につなげていただければ幸いです。