【シネマ歌舞伎】「坂東玉三郎」×「鼓童」美の極致と魂をゆさぶる 響きが織りなす新たな世界 特別篇『幽玄』
シネマ歌舞伎 特別篇『幽玄』あらすじ
羽衣
[はごろも]
ある春の朝、漁師の白龍が仲間たちと三保の松原に釣りに出る。
白龍は松の枝に美しい衣がかかっているのを見つけ、家宝にと持ち帰ろうとする。そこに美しい天女が現れ、衣を返してほしいと頼む。しかし白龍は衣を返そうとしない。
嘆き悲しむ天女に、白龍は天人の舞を見せてくれるなら衣を返そうという。
天女は喜び、羽衣を着て風にのって舞いつづけ、やがて三保の松原から浮島が原へ、富士の高嶺へと舞い上り、大空の霞にまぎれて消えるのだった。
道成寺
[どうじょうじ]
女人禁制の寺に一人の白拍子が現れ、再興した釣鐘の参詣を強く望む。
僧は一度は断るのだが、白拍子のたっての頼みに、境内に入ることを許してしまう。僧から所望され、差し出された烏帽子をつけて、白拍子は舞い始める。
そのうち、思えばこの鐘が恨めしいと、鐘の内へ飛び入り、鐘を落としてしまうのだった。実はこの白拍子は、叶わぬ恋の恨みから、鐘の中に隠れた男を蛇体になって取り殺したという娘の亡霊なのだった。
僧たちが祈り始めると、鐘は元通りに上がり、その下に蛇がうずくまっていた。僧たちがなおも一心に祈りつづけると、ついに蛇は日高川に飛び込んでしまう。
石橋
[しゃっきょう]
一人の法師が唐・天竺に渡り仏寺や霊地を巡る中、中国山西省の清涼山で有名な石橋にたどり着く。
やがて文殊菩薩の使いの獅子が姿を現す。獅子は美しく咲き乱れる牡丹の花と戯れるように勇壮に舞い遊び、御代の千秋万歳を寿いで舞い納め、獅子の座に納まるのだった。
坂東玉三郎プロフィール
美貌、演技力、華を備えた現代歌舞伎屈指の女方。
1957年に初舞台を踏む。64年に十四代目守田勘弥の養子となり、五代目坂東玉三郎を襲名。
「桜姫東文章」の桜姫、「助六由縁江戸桜」の揚巻、「伽羅先代萩」の政岡、「壇浦兜軍記」の阿古屋など当り役は多い。泉鏡花作品にも取り組み、「天守物語」の富姫、「日本橋」のお孝、「海神別荘」の美女などで優れた舞台成果を上げている。
米ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場100周年記念ガラの出演をはじめ、パリ、ブリュッセル、ベルリン、ドレスデン、ウィーン、ロンドン、台北など海外公演でも好評を博してきた。
海外のアーティストとのコラボレーションも多く、1988年にはヨーヨー・マらの演奏によるラヴェルの「ピアノ三重奏曲」で創作舞踊を上演。その後ヨーヨー・マとはバッハの「無伴奏チェロ組曲」を映像収録した「希望への苦闘」でも共同作業を行った。同作品はフランス・リヨンで行われた「ダンススクリーン96」 でグランプリを受賞。 同年、モーリス・ベジャールの振付により、パトリック・デュポン、 ジョルジュ・ドンらと共演、以後もバレエとの交流が続き、1994年にはベジャールとの共演で「リヤ王〜コーデリヤの死」を初演した。
また、新派や、「ナスターシャ」(1989年・演出:アンジェイ・ワイダ)、 「エリザベス」(1993年・演出:ヌリア・エスペル)などの翻訳劇、「サド侯爵夫人」(1990年)など現代劇の舞台にも成果をあげている。世界各国で上映されたワイダ監督「ナスターシャ」(1994年・映画版)、ダニエル・シュミット監督「書かれた顔」(1990年)といった映像作品にも出演。
クリエイターとしての手腕も発揮し、「ロミオとジュリエット」(1986年)、「なよたけ」(1990年)、「黒蜥蜴」(1990年)、「海神別荘」(1994年)などで舞台演出、「外科室」(1991年)、「夢の女」(1993年・ベルリン映画祭正式出品作品)、「天守物語」(1995年、主演)では映画監督を務めた。 これまでの功績が認められ、フランス芸術文化勲章最高賞コマンドゥール章など国内外の栄誉ある賞に輝く。2012年には、重要無形文化財(人間国宝)に認定された。
太鼓芸能集団 鼓童
新潟・佐渡を拠点に、太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見い出し、現代への再創造を試みる芸能集団。
1981年にベルリン芸術祭でデビュー以来、50の国と地域で6000回を超える公演を行っています。玉三郎とは2000年の出逢いをきっかけに、2012年から2016年にかけては芸術監督として迎え、毎年1作のペースで新作を発表しています。
シネマ歌舞伎 特別篇『幽玄』
演出・出演:坂東玉三郎
出演:太鼓芸能集団 鼓童、花柳壽輔、花柳流舞踊家
振付:花柳壽輔
能楽囃子指導:亀井広忠
能楽指導:津村禮次郎
能管指導:田中傳十郎
音楽アドバイザー:齊藤栄一
美術:前田剛
照明:増子顕一
音響:内藤博司
舞台監督:穂苅竹洋
製作:松竹/北前船
配給:松竹
協力:Bunkamura テレビ東京 BSテレビ東京
(平成29年9月博多座 坂東玉三郎×鼓童 特別公演として上演されました)
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/
2019年9月27日より東劇ほかにて全国公開