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【華道】生け花流派の特徴や違いを知る!有名な華道流派7選

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華道のはじまり


流派をご紹介する前に、少し華道の歴史についてお話しします。

華道は、四季折々の植物を組み合わせて作品を作り上げ、鑑賞する日本発祥の芸術の一つで「生け花」とも呼ばれています。

華道として確立されたのは、室町時代中期、本堂が平面六角形であることから通称「六角堂(ろっかくどう)」と呼ばれる京都「頂法寺(ちょうほうじ)」の住職が、仏前に花を供える際、様々なアレンジを加えて供えており、これが「華道」のはじまりと言われています。

住職は、代々聖徳太子が身を清めたといわれる池のほとりに住んでおり「池坊(いけのぼう)」と呼ばれていました。

仏前に供える花からはじまり、室町時代後期には「家元」とよばれる流儀を伝承する最高権威者によって、座敷に飾られることが定着しました。

江戸時代初期には、より豪華なものへと進化を遂げたのです。


池坊

[いけのぼう]

池坊は日本最古の流派といわれ「池坊の歴史は生け花の歴史」とも言われるほどで、その歴史たるもの550年以上あります。
家元の祖先こそが生け花の生みの親なので、他の流派のように「◯◯◯◯流」とは言いません。

池坊の理念は、自然のあるがままの姿を生かすということです。
綺麗な葉や花だけを使わず、虫食いの葉や枯れている枝までも、若葉や咲き誇る花と同じ姿と捉え「美」と「和」を見出すことが生ける心であると説いています。

技法は「立花(りっか)」「生花(しょうか)」「自由花(じゆうか)」という3つのスタイルを用いており、技法について簡単に説明します。

「立花」は室町時代に生まれた最も古い技法で、山や川など大自然の風景を草木により表現する技法。
「生花」は江戸時代に確立し、3種類までの花を用いて草木が生きる力強さを表現する技法。
「自由花」は名前の通り、自由なスタイルで活ける技法。

この技法とともに、真・副といった7つまたは9つの役枝とよばれる、様々な意味合いをもつ枝を組み合わせ、生け花を仕上げていきます。

技法でわかるように、伝統的なスタイルと時代とともに変化する新しいスタイルを取り入れる、伝統に固執しない流派ともいえるでしょう。

基礎をしっかり学び、伝統的な生け方からのアレンジもやっていきたいという方におすすめです。


遠州

[えんしゅう]

遠州の流祖は、日本三大茶人のひとり小掘遠州です。

彼は非常に美的センスにすぐれた人物で、庭園や茶室などのプロデュースなどを任されていました。今でいうカリスマ的存在で、流行を生み出すプロでもありました。

それまでの「わびさび」という美意識にとらわれず、まったく新しい美「綺麗さび」を生み出したのです。かの北大路魯山人も遠州の生け花を贔屓にしていたというので、彼の器とのコラボレーションもあったかもしれませんね。

遠州の代表的な技として、くさび撓め(くさびだめ)という技術があります。

この高度な技術を用いて、枝や葉を曲げ、川や滝の流れを表現する「曲生け」と呼ばれる技法は、卓越した華道家も唸らせてしまうほどの難しさ。

高度な技術を学びたいという方にはおすすめです。


小原流

[おはらりゅう]

小原流の誕生は明治時代。初代家元である小原雲心(おはらうんしん)によって生み出されました。

明治時代というと西洋文化が一気に日本に流れ込み、日本の衣食住のスタイルが変わりつつあり、西洋の珍しい花もたくさん輸入されていたのです。

雲心は、この西洋の花に目をつけ、いち早く生け花に取り入れようとしましたが、日本古来の華道のスタイルと西洋の花が合わないことに気がついたのです。

そこで、考案したのが「盛花」というスタイルです。他の流派では、西洋の花を使おうとしなかった時代に、いち早く目をつけて洋館に合うスタイルを生み出していました。

剣山を使うようになったのも小原流が最初と言われています。

小原流の特徴は、浅い器に広がりをつくる手法の「盛花」や、剣山を使わず花瓶に生ける方法など現代の生活に合う新しい技法を生み出してきているところにあります。

日々の生活に生け花を取り入れたい、アーティスティックな作品を作りたいという方には小原流がおすすめです。


古流

[こりゅう]

幼少期から華道を学び、様々な流派で修行をしながら華道を極めた角田一忠は明治33年に「甲新山古流」を創流しました。
そして大正三年には現在の「日本古流」へと改名したのです。

日本古流の特徴は、季節の旬の花や葉を使い、高さのある「三才型」という技法を使います。
三才型は天、地、人を表しており、形としては、不等辺三角形になるように生けており、高さのあるスタイルが特徴的です。

高さのあるダイナミックさと繊細さを求める追求いたいという方にはおすすめです。


嵯峨御流

[さがごりゅう]

嵯峨御流の始まりは、平安時代。

嵯峨天皇が「菊が島」という場所に咲く菊の花を手折り、花瓶に挿されたことが始まりでした。その菊の花は「天、地、人」の三才型となっており、その美しさに感動されたことから嵯峨御流は創流されたといわれています。

嵯峨御流の特徴は、大きく分けると「伝承花」と「心粧華」の二つに分けることができます。

伝承花は、嵯峨御流に昔から伝えられてきた伝統を重んじた生け方。そして心粧華は、植物の美しさを最大限に生かしながら、生ける人の思いを表現する新感覚のスタイルです。

嵯峨御流は、初伝、中伝、奥伝などの階級があり、初心者や経験者でブランクがある方にもおすすめです。

また、仏事、神事、婚礼などのフォーマルな場所を飾る活け方も教えてくれるのでより幅広い知識を身につけたい方にもおすすめです。


草月流

[そうげつりゅう]

草月流のはじまりは1927年と、新しい流派です。
勅使河原蒼風(てしがはらそうふう)によって、創流されました。

お父様が華道家で、幼いころから父親の指導で華道を学んできた蒼風氏は、いつしか堅苦しい形式にとらわれた生け方に疑問を持ちはじめ、全く新しく自由なスタイルの流派を創ってしまおう!と思い、家を出て草月流を創ったのです。

草月流の特徴としては、創立スタイルと同じで、形式にとらわれず、とにかく自由であるということです。
そのためこれが生け花なの?という固定観念を覆す作品が多く、石や金属などを作品に取り入れたりもします。

草月流の歴史は浅いですが、「池坊」「小原流」と並んで三大流派と呼ばれており、華道の代表的な流派のひとつです。

モダンスタイルでダイナミックな生け花を楽しみたい、ショーウィンドウやホテルのロビー、舞台美術など花を仕事に活かしたいという方にはおすすめの流派です。


未生流

[みしょうりゅう]

未生流は、江戸後期に未生斎一甫 氏が創流しました。

この流派は、植物はありのままの姿ではなく、人の手を加えることにより、本来の美しさを引き出すことができると考え、幾何学的理論に基づいた造形美と東洋哲学をプラスした理念を掲げています。

難しい表現ではありますが、美しい造形美は直角二等辺三角形によって作られていると考えたのです。その型を軸に、陰陽五行などの東洋哲学をプラスすることにより、また新しい造形美を生み出すという技法を取り入れています。

未生流の特徴は、この計算され尽くした美しさの黄金比の伝承です。

このバランスで枝を切ればいいということを感覚的ではなく、きちっとした分析で導き出しているため、感覚ではなくきっちり知りたいという正確派にはおすすめです。


龍生派

[りゅうせいは]

龍生派は、池坊から分派した流派です。

明治19年に吉村華芸により創流され「池坊龍生派」と名乗りました。初代家元である華芸が愛知県岡崎市出身で「岡崎城」が別名「龍が城」と呼ばれていたため、その一字をつけたのだそうです。

元をたどれば池坊ではありますが、伝統に基づく「古典華」と形式のない「自由花」の2つのスタイルに分類されます。龍生派の「自由花」は、自分が知っている植物の見せ方に「植物の良さを見せられているのか? 知られざる一面の良さを見せることができているのだろうか?」と疑問をもち、草木でない(野菜など)意外性のあるものと組み合わせるといった、固定概念にとらわれない状態で取り組むスタイルとなっています。

発想力と柔軟性が求められ、新しいことにチャレンジしたい、この花の知られざる見せ方を発見したい!というチャレンジ精神旺盛な方におすすめです。


[五十音順]


まとめ

華道のはじまり、そしてたくさんある流派の中から一部の流派の特徴や違いをご紹介しました。

気になる流派はありましたでしょうか。

流派によって伝統的なスタイルを貫くもの、伝統に捉われず進化したスタイルを打ち出すものと様々です。実際に作品を見てみたり、体験してみるのもいいかもしれません。

華道は自然に感謝し、植物をより身近にライフスタイルに取り入れるということがモットーです。

花を花瓶に一輪さすことも華道です。

花瓶に行けた花がより綺麗に見えると自分も嬉しくなりますよね。難しく考えずに、華道を楽しんでみてください。


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