【茶花】茶席を彩る花! 決まりはあるの? 代表的な茶花を紹介
茶花と生け花の違い
茶室において唯一の命あるものである茶花には、季節感が重視され、自然との調和が求められます。
茶道の大成者である千利休の言葉に「花は野にあるように」「小座敷の花は、かならず一色を一枝か二枝、かろくいけたるがよし」とあるのもこれにあたります。
デコレーションしすぎず1、2種の草花を自然のなかに咲いているような姿で活けることこそ、茶花を飾るときのコツです。ここで茶花と生け花の違いをもう少し詳しく把握するために、以下の3点を紹介します。
[1]投げ入れ
生け花が1本1本飾っていくのに対し、茶花は手のなかで草花を組み合わせ、そのまま花入れに入れる「投げ入れ」の手法で飾ります。これは、摘んだ花本来の姿を保つことが原則とされているからです。
[2]禁花
茶花には「禁花(きんか)」と呼ばれる、茶席にはふさわしくない花があります。主に強い香りのする花や棘のある花、季節感のない花などが禁花として挙げられ、西洋の花もあまり好まれません。
[3]控えめな印象
生け花の場合だと固いつぼみは好まれず、切り落とされることが多いですが、茶花は反対に控えめな印象のあるつぼみが好まれます。特に冬の茶花の代表格と言えるツバキは、つぼみで飾るのが一般的です。
代表的な茶花
茶道では1年を大きく2つの時期に分けることができ、11月から4月までの「炉(ろ)」の季節と、5月から10月までの「風炉(ふろ)」の季節があります。
寒い時期に使用する炉は、畳の下に備え付けられた小さな囲炉裏のようなもので、お客さんの近くでお湯を沸かすことができます。一方、風炉は持ち運びが可能な釜を懸ける道具で、夏の暑い時期にお客さんを火から遠ざけることができます。
茶花は季節ごとに使用されるため、この炉と風炉の季節に合わせて、代表的な花や使用する花入れが変わってきます。
炉の季節
冬から春にかけての代表的な花は、何といってもツバキです。
ツバキは冬の間に寒さに耐えて咲く、気品ある花として重宝されます。他の草花を取り合わせず、1種だけで活けることも可能ですし、マンサクやハシバミなどを添えて飾られることもあります。また、前述したように春の訪れを感じさせるツバキは、つぼみのまま使用されることが多いのも特徴です。
そして、冬の茶花を飾る花入れは、温かみのある備前焼や伊賀焼、信楽焼などがよく使われます。花入れとの取り合わせも、茶花を観賞するうえで重要な点なので、ぜひ確認しておきたいところです。
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風炉の季節
夏から秋にかけての代表的な風炉の花は、木槿(むくげ)になります。
白や薄紅色など数多くの種類があるため、夏を通して楽しめる花になっています。「冬の椿、夏の木槿」と言われるほど代表的な茶花で、暑さのなかで咲く涼やかさとすぐに散ってしまうはかなさから、茶席の花として古くから好まれてきました。
また、爽やかな印象を与えることから、竹の籠花入と取り合わされることが多いのも特徴です。
まとめ
茶席を彩る要素として欠かすことのできない草花。お茶会に招かれた際には、抹茶やお菓子だけではなく、茶花にもぜひ注目してください。
お茶席が、より奥深く楽しいものになります。
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