【漢方】日本の伝統医学! ものづくり精神とアレンジ力で発展
「漢方」と聞くと「中国」を思い浮かべる方が多いのはないでしょうか?
これは半分正解で、半分間違いです。
漢方は厳密にいうと「中国伝統医学に由来する、日本の伝統医学」ということになります。ものづくり精神とアレンジ力で日本の伝統医学として発展した漢方について解説します。
〈執筆〉漢方薬店 緒(いとぐち) 店主:緒形 富雄
中国伝統医学に由来
飛鳥時代(7世紀初頭)小野妹子で有名な遣隋使の一団が、中国から輸入した医学ということを示しています。小野妹子は日本人なら必ず歴史で学んだことがあると思いますが、しかし最終的に脳裏に焼き付く記憶は「妹子なのに男なんだ」という方も少なくないのでは思います。その妹子をアップデートする意味でもお伝えしますが、遣隋使は当時の先進国である隋から、文化や技術はもちろん、医療を伝える重要な役割も果たしていたと考えられています。
日本の伝統医学
中国から輸入した医学を、日本の中でアレンジしていくことで、日本独特の医学にしたということです。そのため、中国では「漢方」という言葉は一般的ではなく、中国でいう日本の漢方に当たるものは「中医学」です。このことは英訳するとわかりやすく、「漢方」はtraditional Japanese medicineで、これに対して「中医学」はtraditional Chinese medicineとなります。
アレンジが得意
戦後、資源の乏しい日本における急速な経済復興は、国際情勢などが後押しをしたこともありましたが、その大きな要因の一つとして、資源自体は輸入に頼りつつも、それを創意工夫し、実に有効に活用したという点が挙げられます。このことは、漢方の歴史にも当てはまります。中国は国土が非常に大きく、東西南北で多様な植物が豊富に分布しており、さらに地続きのインドやアラブ、ヨーロッパ地方との交易もありました。これに比べて日本では、国土は小さく、さらに四方を海に囲まれており、中国で容易に手に入るような植物が日本では手に入りません。そのため、薬の原材料は輸入に頼りつつ、国内で代用できる植物などを模索していたと考えられます。
ものづくり精神
原材料自体が希少となると、薬用量についても中国と同じ量を使うことはできず、日本では中国で使うよりも少ない量を用い、その代わりに生薬を細かく刻むことで、薬を煎じる際の抽出効率を上げる工夫をしていたと考えられています。
伝統工芸や現代産業にも通じる日本のものづくりですが、その精神は医学の分野でも、時間と場所を越えて “わつなぎ” されてきたと言えそうです。
漢方薬店 緒(いとぐち)
店主:緒形 富雄
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