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【空手】沖縄空手から総合格闘技まで、進化を続ける空手!様々な流派と違い

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空手のはじまり

空手(もしくは「空手道」と呼ばれることもあります)は、日本発祥の武道で、かつて琉球王朝時代の沖縄で古くから伝えられてきた格闘技「手(ティー)」が、中国から伝わった拳法の影響を受け、独自の発展を遂げた格闘技といわれています。

もともとは「徒手空拳をもって身を護る武術」として全身のあらゆる部位を使い、受け・突き・打ち・投げを駆使して“攻撃相手から身を護る”ことを目的として創始されたものといわれており、この思想は沖縄の空手を本土に伝えたといわれる空手家・船越義珍が唱えた松濤二十訓(空手二十箇条)のひとつに唱えられている「空手に先手なし」というキーワードで指し示されています。
これは「空手を心得る者は、自ら争いの元を作ってはならず、出来る限り争いを避けなければならない」という行動の規範ともされています。

1900年頃からは沖縄各地で普及発達、中学校や師範学校にも体育の授業に採用されるようになります。1963年には東京オリンビックを契機に全日本空手道連盟が設立、さらに1970年に世界空手連合(WUKO:1993年に世界空手連盟(WKF)に改称)が結成され、第1回世界空手道選手権大会を開催と、世界に向けて一気に広がりを見せる競技となりました。そして1999年には、WKFが国際オリンピック委員会(IOC)に承認され、オリンピックの正式競技として採用されました。

伝統派空手と実戦空手の違い


現存する空手は、大きく伝統派空手と実戦空手の二つに分けられます。

伝統派空手[ノンコンタクト空手]

古伝または伝統的な技術に基づいて、稽古や試合を行う空手道の流派、団体です。一般によく全日本空手道連盟に加盟している流派・団体は伝統派空手(またはノンコンタクト空手)と呼ばれることがあります。

基本的には形、型の伝承と通じ、その習得と研究・応用を進めることを目的としており、組手(対戦)では基本的に実戦空手と対照的に突き、打撃、蹴りなどを相手に直接当てない、いわゆる「寸止め」のルールを採用しています。

実戦空手[フルコンタクト空手]

伝統派空手に対し、直接打撃制ルールの組手競技や、直接打撃制の稽古体系を採用している流派、会派や団体を示しており、開祖となった極真空手のほかにアメリカのフルコンタクト空手、あるいは総合格闘技に近い形による格闘を行う総合空手など、様々なスタイルが存在しており、顔面、急所以外の直接打撃制ルールを採用した組手技術の向上を目指しています。

なお、オリンピックの2020年東京大会で採用された空手は、伝統派空手を踏襲する世界空手連合の決めるルールにて形、組手という二つの種目の競技が行われ、フルコンタクトルールは適用されないことが決定しています。


伝統派空手四大流派

[松濤館流]

しょうとうかんりゅう

沖縄空手を本土に伝えた空手家・船越義珍(ふなこし ぎちん)が開祖となり広まったといわれる流派で、その名は船越が1939年に東京の豊島区・雑司ヶ谷に開いた道場「松濤館」に由来します。また現在多くの会派に分かれて、全世界的にも一番多く人々に学ばれ、ここから韓国のテコンドーが派生したともいわれています。

伸びやかな体の使い方を基本とし、一瞬で大きな衝撃力を生み出すような技を練習、その強烈な技をどのように使っていくかを習得するスタイル(「決め」と呼ばれています)があり、攻撃技、受け技など1つ1つの動作がダイナミック。またノンコンタクト空手では基本的に「1本ルール」がありません(ポイント先取制)が、松濤館流ではこの「1本ルール」が存在しており、これは2020年のオリンピックルールにも採用されています。

[糸東流]

しとうりゅう

沖縄の空手家・摩文仁賢和(まぶに けんわ)によって開かれた流派で、もともと沖縄空手の流派である首里手、那覇手を学びましたが、以降摩文仁はそれ以外の形・技法についても模索し続け、松村派、新垣派などの各派に加えて空手以外の琉球古武道である棒術、釵術を習得、さらに神伝不動流などの本土の柔術も学び、それら全ての技術と精神を融合、融和させて自身の流派としました。

そのためこの流派では、単に突きや蹴りだけでなく投げ、逆技といった技術も含んでおり、総合武道のようなスタイルとなって現存しています。技術的には基本を重視し、型の鍛錬に重きを置きながら、それを応用して組手に結びつけることによって、体系的に技を修められるようになっています。様々な武術を取り入れて発展を遂げた武術でもあり、伝統派空手の中でも飛び抜けて型の数が多いのも特徴です。

[剛柔流]

ごうじゅうりゅう

流派の開祖である沖縄県の空手家・宮城長順(みやぎ ちょうじゅん)が、沖縄空手のひとつである那覇手を習得、それに独自の研究を新たに加えたものを流派の基本としています。宮城は那覇手を習得後、中国の福建省福州に渡り中国拳法を修行しており、流派にはその影響も受けているといわれています。

この流派は守りに優れており、攻撃のための突きや蹴りよりも、守りのための払いや受けを主に訓練します。型も受けで構成されるものが多く、近距離から手で裁いたり、打ったりする接近戦に強いという特徴があります。また1984年に公開された人気映画シリーズ『ベスト・キッド』に登場する日本人・ミヤギが披露する空手として、この剛柔流の型が披露されたともいわれています。

[和道流]

わどうりゅう

松濤館流、糸東流、剛柔流がそれぞれ沖縄出身の開祖であるのに対し、この流派は関東出身の空手家・大塚博紀(おおつかひろのり)によって開かれた流派となっています。もともと大塚は為我流いがりゅう神道揚心流しんとうようしんりゅうといった柔術を習得、その後松濤館流の船越義珍や、日本傳流兵法にほんでんりゅうへいほう本部拳法の本部朝基もとぶ ちょうき、糸東流の摩文仁賢和らに師事しじして空手を学び、さらに古流剣術の体裁きを加えてこの流派を開きました。

柔術の影響が強く、技の中でさばき、流し、押し、引き、入り身、転身などの柔術的な技法が見られるのが特徴です。また投げ技や足技が多く、動き動作で突っ込み、流し突きなどもあり、型についても他の流派に比べて、その影響が顕著に見られるのも、大きなポイントとなっています。

実践空手の主な流派

[極真会館]

きょくしんかいかん

この流派は、伝統派空手の松濤館流、剛柔流を習得した空手家・大山倍達(おおやま ますたつ)により開かれ、対戦相手に技をダイレクトに当てる直接打撃制の提唱ていしょう啓蒙けいもうを行うと共に、異種格闘技・団体との試合や交流を行い技術の吸収を行うことを目指しています。大山の没後には、新極真会、極真会館の二つに分かれています。ちなみに新極真会の歌を、歌手の長渕剛さんが手がけられたのは、有名なお話です。

フルコンタクト空手派としては初めて名乗りを上げた流派であり、他の様々なフルコンタクト流派はここから派生しています。また極真会館では独自の修行として、文字通り100人とフルコンタクトで組手を行う“百人組手”と呼ばれる荒業が存在しており、現在この業を達成した人数は、まだ数えるほどしかいません。

[芦原会館]

あしはらかいかん

極真会館四国(愛媛)支部長を務めていた空手家・芦原英幸(あしはら ひでゆき)開いた流派です。この流派では、芦原が少林寺拳法などを参考にして作り上げた技術体系である『サバキ(捌き)』と呼ばれる技があることが、特徴として挙げられます。

これは従来の空手の“殴り合って力の強い方が勝つ”というイメージから、より合理的にトレーニングをして全身の機能を高めたものが勝つという空手に変えるために生まれた、芦原独自の空手といわれており、相手の攻撃を受け流して死角に入り込み、時には投げなどを使い敵の体を崩しながら打撃を加えて倒す、または制圧するという実戦を意識したスタイルとなっています。また芦原会館オリジナルの型として、サバキの合理的な動き方をマスターするために、会員が一人でも練習できるように作られた「サバキ」の型というものが存在しています。

[正道会館]

せいどうかいかん

この流派は、極真会館芦原道場大阪支部の支部長だった空手家・石井和義(いしい かずよし)が開いたもので、極真会館の組手ルールに対して1秒以内の片手による瞬間的なつかみ、引っ掛けを認めるというルールがあるため、相手を掴んでの攻撃バリエーションが発達しており、より実践的な流派となっています。

プロ大会を含めた様々なオープントーナメントで選手が活躍しているのも特徴で、1993年には「K-1 GRAND PRIX」を初開催し、日本の格闘技ブームの火付け役となったといわれています。この流派には武蔵、佐竹雅昭、角田信朗といった人気K-1ファイターも在籍しています。

[士道館]

しどうかん

極真会館に在籍していた空手家、キックボクサーの添野義二(そえの よしじ)が極真会館より独立し開いた流派です。早くから顔面攻撃や組み技に力を入れた空手団体でもあり、通常のフルコンタクト空手に対して、投げ、絞め、関節技、掴み(3秒間)、寝技(5秒間)掌底による顔面への牽制けんせいをルールとして認めている、あるいは認められるケースがあるのが特徴です。

道場では空手のほかにキックボクシング、総合格闘技も指導、基本的には分離しているものの、出稽古の形で双方の修行を行うこともできます(但し、キックの指導は上級者しか受けられないルールとなっています)。プロレスラーとして活躍した三沢光晴や川田利明も、若手時代はこの流派で修行をしたといわれている一方で、変わり種としては世界的なスーパースターのマイケル・ジャクソンが、士道館公認の名誉五段として認定されています。


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まとめ

一口に「空手」といっても、沖縄が発祥のこの格闘技は、伝統を守りつつ、
時には他の様々な格闘技と融合し発展することで、
現在は多くのスタイルが存在していることが、お分かりいただけたかと思います。

また流派によっては本格的な鍛錬を行うものだけでなく、
型を中心とし健康増進などを目的としたスタイルの入門を受け付けるところもあります。

興味がわいたら、ぜひ一度その門を叩いてみてはいかがでしょうか。


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桂 伸也

桂 伸也

“和”という言葉で表現されるものには、人によって色んなイメージがあると思いますが、私は“整然として落ち着いたもの”という雰囲気を感じ取っています。

普段は芸能系ライターとして活動を行っており、かなり“にぎやかな”世界に生きていますが、その意味で“和”という言葉から受ける雰囲気に、普段から強い憧れや興味をもっていました。

なので、そんな素敵な“和”の世界へ、執筆を通して自らの船を漕ぎ出していきたいと思っています。

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