【仮名】漢字が由来?「ひらがな」「カタカナ」の成り立ち。五十音順といろは順とは
日本語の音「万葉仮名」
別名「男手」とも呼ばれている万葉仮名は、漢字が由来で奈良時代の初期に登場した文字です。漢字の音を借りてできており、漢字自体の意味は全く関係ありません。
現代の例えで言うと、みなさん一度は目にしたことがあるかもしれない「夜露死苦」=「よろしく」です。
漢字の意味と言葉の意味は全くリンクしていませんが、音として「よろしく」と読めますよね。初めて「夜露死苦」という言葉を目にしたときは「音としてはあってるけれど、日本語を表す文字としてどうなの?」と違和感を抱きましたが、まさか万葉仮名の成り立ちがここから来ていると知ると、なんだか親近感が湧いてきませんか?
次に、なぜ別名「男手」と呼ばれているのでしょうか。
これは女性が漢字を学ぶことを禁止されており、男性しか使えなかったことから「男手」と呼ばれていたようです。では女性はどのように文字を表していたのでしょうか。それは次のひらがなの成り立ちでご紹介します。
ひらがなのなりたち
別名「女手」と呼ばれているひらがなは、万葉仮名が由来で平安時代に貴族を中心に使用されていました。
ひらがなは、万葉仮名が草仮名(草書体で万葉仮名を表した文字)に書き崩され、さらに簡略化された文字です。漢字を学ぶことをはばかられていた女性は、このひらがなを使うようになったため、別名「女手」と呼ばれています。
今まで言葉を書き表せなかった女性でも、ひらがなが使えるようになり、日記や手紙、和歌をしたためる女性が増えました。その中で誕生したのが、清少納言の「枕草子」、紫式部の「源氏物語」です。
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カタカナのナリタチ
カタカナはひらがなと同時期に作られました。ひらがなは万葉仮名を書き崩して作られたものですが、カタカナは万葉仮名の漢字そのものや、一部を抜き出して作られました。
例えば「モ」は「毛」が由来とされています。
「毛」は訓読みで『け』音読みで『モウ』と読みます。万葉仮名は音を由来にしているので、そのまま「モ」を採用し、見た目もなんだか似ていますね。「毛」の一部を抜き出しカタカナの「モ」が誕生しました。このように一字一字万葉仮名をベースに作成されたのがカタカナです。
では、カタカナが作られたきっかけは何だったのでしょうか。
それは僧侶が読んでいた経典にあります。経典はすべて漢字で書かれており、読みやすいようにフリガナを万葉仮名でふっていましたが、どうも読みづらかったようです。確かに漢字の隣に万葉仮名でフリガナをふってあっても漢字の横に漢字があるようなものなので、想像しただけでも読みづらいですよね。
これをきっかけに誕生したのが、カタカナです。カタカナは画数も少なく、見やすいのでフリガナをふるにはぴったりの文字ですね。
五十音順といろは順
五十音順とは別名「あいうえお順」とも呼ばれており、国語辞典や書籍の索引など一般的に用いられています。
多くの方はひらがなを学ぶときに、この五十音順で学んだのではないでしょうか。この並び順になった背景は悉曇学(しったんがく)と反切(はんせつ)にあると言われています。
それぞれ簡単に説明しますと、悉曇学とは、日本や中国においてインド系の文字に対する音韻の学問のことです。反切とは、漢字の発音を示す方法のひとつです。これらの発音方法やインド系の文字など様々な影響を受けて今の五十順が成り立っています。
いろは順は「いろは歌」をもとに並べられた順番を指します。
「いろは歌」とは、五七調で作られた仏教と密接な関係にある歌であり、仮名をひとつも重複させずに作られています。そのため仮名を覚えるためにはちょうど良い歌だったのです。
今となっては五十音順が標準になっていますが、日本の法令では、号以下の単位をいろはで表していたり、坂の名前に「いろは坂」と名付け、昇順にいろはとつけたり、今でもいろは順が使われている場面もあります。
一音一文字に統一
万葉仮名は漢字の音を借りてできているため、一文字を表すために多くの文字が充てられていました。
例えば「あ」を表すにも「安」「阿」「愛」と数種類使われていました。画数の少なさや、親しみやすさから種類は数百種類までに精選されていましたが、それでも多いですよね。使う人によって様々な文字の表し方があっては読みづらかったのではないかと思います。
そこで一つに統一するために作られたのが、1900(明治33)年に発表された「小学校令施行規則」です。
この「小学校令施行規則」の発令によって整備されたひらがなこそが、いま私たちが使用しているひらがななのです。現代から遡ること約100年前に正式に作られたと思うと、そこまで昔のこととは思えないですね。
まとめ
毎日当たり前に使っているひらがな・カタカナ。
起源は中国の漢字ですが、時代の流れとともに日本人が使いやすいように試行錯誤を経て今の文字になりました。日本語に使用する文字はひらがな・カタカナ・漢字と3つもあり、世界でも珍しい言語です。
その成り立ちも言語と同様に、世界に誇れる文化のひとつではないでしょうか。
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