【怪談】百物語とは? ルールを破るとどうなる!?注意点に正式なやり方、簡易的なやり方
この記事の目次
百物語のはじまり
百物語は諸説ありますが、室町時代ごろに始まったとされています。
武士の度胸試しとして、または将軍や大名が召し抱えた「御伽衆(おとぎしゅう)※」から始まったというのが有力な説です。
※御伽衆・・・将軍や大名に対し、書物の講釈や政談などを行う語り手のこと。博学で経験豊かな者が選ばれ、豊臣秀吉は多くの御伽衆を抱えていたと伝えられている。
当時語られていた怪談は、妖怪などの魑魅魍魎や、人知を超えた不思議な出来事の話が中心となっていたようです。
大流行した百物語
百物語は次第に武士から町人へと広がり、粋な遊びとして江戸時代に大流行します。
江戸時代に入ると、浅井了意『伽婢子(おとぎぼうこ)』をはじめ、編者不明『諸国百物語』など、百物語になぞらえた怪談本が盛んに刊行されました。
このことからも、百物語がどれほど人々に楽しまれていたかがうかがえます。
そして百物語が流行するにしたがって、怪談の内容も妖怪などの怪異ではなく、恨みをもって死んだ怨霊や幽霊などの話が主となり、よりリアリティのある怪談になっていきます。
こうして百物語は、暗く長い夜を過ごすための娯楽として人々に楽しまれるようになっていきました。
正式な百物語のやり方
1666(寛文6)年に出版された浅井了意『伽婢子』や、1924(大正13)年に発表された岡本綺堂(1872ー1939)の『百物語』には、百物語のやり方について書かれています。
ここからは江戸時代に行われていたと考えられる、正式な百物語のやり方をご紹介します。
用意するもの
● 青い小袖
● 青い紙を張った行灯(あんどん)100個
● 鏡
【正式】百物語のやり方
[1]月の光のない新月の夜に、明かりの一切ない部屋で行う
[2]参加者は青い小袖を着る
[3]青い紙を張った行灯100個の灯心に火を付ける
[4]五間(約9m)ほど離れた奥の書院(部屋)に、行灯と鏡を置く
[5]奥の部屋との間には明かりを置かず、暗がりを探り足で行き来する
[6]1つの物語が終わるごとに部屋へ行き、行灯の火を消す
[7]部屋に置かれた鏡をのぞき自分の姿を見る
[8]99話まで繰り返し、朝を待って終了
簡易的な百物語のやり方
続いて、現代でも再現しやすい簡易版の百物語のやり方をご紹介します。
用意するもの
● ろうそく 10本
【簡易版】百物語のやり方
[1]ろうそくを10本用意
[2]参加者が順に怪談を話していく
[3]怪談を話し終えたら、ろうそくの火を1本ずつ消す
[4]9話終えたら朝を待ち、終了する
百物語を行う際の注意点
注意1
怪談話は必ず99話までで止める
100話目は絶対に語らないようにしましょう。語り終わり100本目の火を消した瞬間、本物の怪異に襲われてしまうと伝えられているからです。
注意2
語り始めたら絶対に最後まで行う
途中で終えてしまうと、参加者に災いが訪れると伝えられています。話が進むにつれて、怪異の前兆(人影や火の玉など)が見えるという説もありますが、途中で止めなければそれらが害を及ぼすことはないようです。
注意3
朝までに語り終える
百物語は、朝までに語り終えなければいけません。暗闇の中で行うというルールは、行灯やろうそくの火以外の光を入れないためです。夜が明けてしまうと、百物語を途中で終えることになってしまうので注意が必要です。
注意4
風が吹き込まない部屋で行う
百物語を行う部屋はしっかりと戸締りをして、風で行灯やろうそくの火が消えないよう気を付けましょう。
100の物語を終えると現れるもの
最後の100話目を語り、行灯の火を消すと現れると言われているのが「青行灯(あおあんどん)」です。
ここからは、青行灯に関する2つの説をご紹介します。
鬼女
一説によると、青行灯は長い黒髪と白い着物にお歯黒を塗った丑の刻参りをする女性の姿で、頭には2本の角を持つ鬼女であると伝えられています。(鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』より)丑の刻参りとは、午前1時から午前3時ごろ、神社のご神木に藁人形に釘を打ち付ける呪術の一種です。
百物語の参加者が実際に丑の刻参りをする女性を見てしまい、暗闇の中に浮かぶ白い着物姿を怪異と見間違えたという説もあります。
百物語を100話目まで語り終えた記録が少ないため、青行灯の姿についても定かではありませんが、他にも大蜘蛛の姿(荻田安静『宿直草』より)をしているという説もあります。
怪異の総称
百物語のルールを破ると現れる怪異を、まとめて「青行灯」と呼ぶ説もあります。
『今昔百鬼拾遺』に描かれている青行灯の絵には「昏夜に鬼を談ずる事なかれ。鬼を談ずれば、怪いたるといへり。」という文が添えられています。
これは「暗い夜に鬼について話してはいけない。話せば怪しげなものがやってくるという。」という意味です。
100話目を語り終わってしまうと、百物語の参加者たちは妖怪や幽霊、人魂などの怪しげなもの、つまり怪異に襲われるとも伝えられています。
つまり青行灯は、鬼女のような特定の妖怪ではなく「怪異の総称」であると解釈することもできるのです。
まとめ
百物語の歴史とやり方、注意点などについてご紹介してきました。
熱帯夜の寝苦しい夜、ひんやりとした気分を味わいたい方は、ぜひ簡易版の百物語を試してみてはいかがでしょうか。
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