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【蚊遣り豚】蚊取り線香の相棒、なぜ豚なの? 歴史的にも古く、様々な説がある

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蚊遣り豚はなぜ豚なのか

ぽってりとしたフォルムでなんとも愛らしい姿が印象的な蚊遣り豚。でも不思議に思った方もいるのではないでしょうか。「なぜ豚の形をしているのだろう?」と。蚊遣器が現在の豚の形として誕生した経緯は諸説あるとされています。

なるほどと思える説から本当かな?と感じる説まで4つご説明していきます。


[1]火伏せの神様説

その昔、豚の祖先でもあるイノシシは火伏せの神様と言われ、火災から守ってくれる存在として信仰されていました。

イノシシは山火事の際、真っ先に気づき逃げると言われています。いち早く火災の危険に気付く習性から、昔の人々はイノシシを火伏せの神様として信仰の対象としたのかもしれません。

もう一つ、イノシシが火伏せのシンボルとして信仰される理由に、陰陽五行説というのがあります。

中国が起源とされる考え方で、「陰陽説」と「五行説」からなるものです。五行説の万物は5つの元素から成り立ち、お互いに影響し循環するという考え方です。

干支を五行に当てはめると、亥は水を表します。相反する火の力を打ち消す意味を持つことから、イノシシは火除の神様として信仰されたという説です。

豚の祖先であるイノシシにあやかって、火を扱う蚊遣器に火除けの祈りを込めて、豚をモチーフとして採用したのも納得できますね。

※「火伏せ」とは、神仏が霊力の力で火災を防ぐこと。


[2]草木を燻した徳利説

蚊遣り豚の歴史は古く、江戸時代後期にはすでに存在していました。

1989年に新宿区内藤町遺跡から発掘され、現在のものと比べるとかなり大きく、中で枯葉やおがくずを燻してその煙で虫を追い払っていました。枯葉などを中に入れるため、サイズを大きく作られたのではと推測されています。鼻の部分は細くイノシシのようにスマートな作りになっており、その姿かたちは徳利(とっくり)を横に倒したような形です。

徳利の形をヒントに、当時の人々のユーモアあふれる柔軟な発想で生まれたのかもしれませんね。


[3]養豚場の土管説

愛知県の養豚場で、豚が蚊の被害を受け困っていたところ、土管の中で藁や蚊取り線香を燻し蚊を撃退していました。しかし、土管の口が広すぎて煙が広がってしまうため、徐々に口をすぼめていってできた形が豚の形だったという説です。

愛知県常滑市は、明治〜昭和にかけて土管の生産が盛んであったため職人たちが工夫を凝らし、より使いやすい形に進化を遂げていったのでしょう。


[4]蚊に刺されにくい説

豚は厚い皮膚や毛に覆われていることから、蚊に刺されにくいとする説です。しかし残念ながら、豚も蚊に刺されるようです。

蚊に対する撃退法が今ほどなかった時代、豚はあまり蚊に刺されていないのでは?と当時の人々は考え、その恩恵に少しでも預かりたいという気持ちの表れが、もしかするとこの説を生み出したのかもしれません。



蚊遣り豚の使い方

蚊遣り豚のタイプは主に2つあります。蚊取り線香を立てるタイプと吊り下げるタイプです。

効果的な使い方は、煙は下から上へと広がっていくため床に置いて使用すること。それと、風上に置いて空気の流れがあるところに配置するというのも大切なポイントです。気をつける点は煙が出るので狭い部屋で使用する場合、目や喉に負担がかからないように換気をしながら使用しましょう。


まとめ

便利な殺虫剤や虫除けスプレーが普及した今、蚊遣り豚を目にする機会は減ってきているかもしれません。しかし、蚊遣り豚のなんとも言えない愛くるしさとその機能性は、唯一無二の存在ではないでしょうか。

蚊取り線香の香りと蚊遣り豚は、日本の夏を象徴するアイテムとしてこれからもあり続けてほしいですよね。まだ使ったことのない方はぜひ、蚊遣り豚を夏のお供に取り入れてみるのも風情があっておすすめです。


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ふくやま ひとみ

ふくやま ひとみ

日本文化と聞くとどこか難しくて敷居の高さを感じてしまいがち…
少し前までは私もそんな一人でした。

意外と知っているようで知らない日本のこと。
自然と歳を重ねるごとに、日本文化を大切にしていきたいなと思うようになりました。日常に溢れる日本文化から伝統文化まで、幅広く興味を持って日々、知識を吸収中です。

趣味は旅行。
知らない街を歩いて巡るワクワク感が好き。旅行の楽しみは、その土地ならではのおいしい調味料や地元の郷土料理を発掘すること。
ご当地ならではの手ぬぐいの収集も趣味。

まずは、明日友達に話してあげようくらいの気軽さで日本文化をより身近に感じてもらえたらと思います。
日本文化を知るきっかけとなるような記事をお届けしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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