【鬼】体の色は「人の悪い心」を表す!?「5色」の鬼の由来とは。色によって持つ武器も違う
この記事の目次
鬼の色の由来
鬼には「赤・青・黄(白)・緑・黒」の合計5色の者がいると言われています。
この色には意味があり、仏教の「五蓋(ごがい)説」と、古代中国の思想「五行(ごぎょう)説」が由来となっているのです。五蓋説とは、仏教において人の5つの煩悩を示す言葉で、煩悩とは人を苦しめ、悟りを妨げる考えのこと。
一方の五行思想は、万物は「火・木・金・土・水」の5つの元素からなると論じた古代中国の自然思想で、それぞれの元素を象徴する色があります。
五行思想の元素の色は、五蓋説と組み合わさり、そのまま鬼の色を表すようになります。
2つの考え方を組み合わせると、次のように対応します。
赤色(火)
貪欲(とんよく)欲望・渇望
青色(木)
瞋恚(しんに)悪意・憎しみ
黄色(土)
掉挙悪作(じょうこおさ)浮ついた心
白色→緑色※(金)
惛沈睡眠(こんじんすいみん)怠惰さ・過食
※「金」の要素の白色は、五蓋説と組み合わせた際に「緑色」になる
黒色(水)
疑(ぎ)疑いの心
つまり、鬼の体の色は人の煩悩、つまり人が持つ「悪い心」を表しているのです。
5色の鬼
ここからは、5色の鬼それぞれが象徴する意味を詳しくご紹介していきます。
5色の鬼について知っておくと、「鬼は外、福は内」でおなじみの節分にも役立ちます。というのも節分の儀式によって、自分が囚われている煩悩を象徴する鬼、つまり直したい悪い心を追い払うことができるからです。
節分でどの色の鬼を追い払いますか? ぜひ考えながら読んでみてくださいね。
赤鬼
赤鬼が象徴しているのは、貪欲(とんよく)です。貪欲とは、身を滅ぼすような欲望や渇望を意味しています。赤鬼を追い払うことで、自分の中の行き過ぎた欲望も取り除かれるはずです。ついつい食欲や承認欲求などに負けがちな欲深いあなたは、赤鬼に豆をぶつけましょう。
青鬼
青鬼が象徴しているのは、瞋恚(しんに)の心。瞋恚とは、悪意や憎しみ、怒りを表す言葉です。憎しみや悪意は、生きていると中々捨てられないもの。そんな自分自身を浄化して清々しく過ごしたいなら、青鬼に豆をぶつけて追い払ってみてはいかがでしょうか。
黄鬼(白鬼)
黄、または白鬼が表すのは、掉挙悪作(じょうこおさ)。浮ついた心や執着など、自身の心の弱さを表します。人の目が気になるのは、和を尊ぶことをよしとする日本人にとっては、普遍的な悩みではないでしょうか。そんな弱い心を奮い立たせて、穏やかな気持ちでいられるよう、黄鬼または白鬼に豆を投げましょう。
緑鬼
緑鬼が象徴するのは、惛沈睡眠(こんじんすいみん)。怠惰さや過食、眠気など、体の不健康さに関する言葉です。不健康の象徴とされる緑鬼。緑鬼に豆をぶつけて、自分自身や家族の無病息災を祈りましょう。
黒鬼
黒鬼が象徴するのは、疑(ぎ)の煩悩。疑いの心や愚痴などの卑しい心を表します。生きていると不平不満は必ず溜まりますが、ネガティブな気持ちを持ち続けるのは辛いもの。もやもやを込めて黒鬼に豆を撒けば、明日から清々しく過ごせそうですね。
色で異なる鬼の武器
「鬼に金棒」ということわざがあるように、凶暴な鬼は武器を持っている印象がありますよね。しかし鬼は色によって、持っている武器が異なることをご存知でしょうか。
鬼の武器
●赤鬼:金棒
●青鬼:刺股(さすまた)
●黄鬼(白鬼):両刃のこぎり
●緑鬼:薙刀(なぎなた)
●黒鬼:斧
青鬼が持つ刺股とは、棒の先にU字形の金具がついた、相手の動きを止めて攻撃する武器のこと。また緑鬼が持つ薙刀とは、長い柄に湾曲した刀が付いたもので、槍とは異なります。南北朝時代に書かれた軍記物語「太平記」によく登場する武器です。
こうして見てみると、粗暴な鬼のイメージに合う武器ばかりです。また、のこぎりや斧など、身近な生活の道具を持っているのも興味深いですね。
鬼の容姿の意味
鬼の姿としてよく想像されるのは、牛のような2本の角と、口元の鋭い牙、そして虎柄のふんどしを身に着けた姿ではないでしょうか。実はこの姿の由来は、「牛」と「虎」がキーワードとなっているのです。
風水では、鬼がやってくる方角は「鬼門」=北東とされています。古くから、日本では方角にはそれぞれ十二支が当てられており、北東は丑寅(うしとら)の方角。そこで鬼の容姿を考える際、牛と虎をモチーフにした化け物を連想したのではないか、という説があるのです。
また他にも、鬼のモチーフは能の「般若」の面ではないかという説もご紹介します。般若とは2本の角をもつ鬼女の面で、 女性の強い嫉妬や怒り、そして悲しみを表す際に使われます。
この2つが結びついた結果、般若のような角の生えた鬼が広く知られるようになったのではないかと言われているのです。
まとめ
物語の中では、情け容赦のない獰猛なイメージのある鬼たち。ですが、人の煩悩を引き受けてくれていると考えると、少し親しみが湧いてくる気もします。
ぜひ節分では、自分の直したいネガティブな心を追い払うためにも、それぞれ鬼の色を想像しながら豆をまいてみてはいかがでしょうか。
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