【富士山登山】初心者が安全に登るために知っておくべき7つのこと
この記事の目次
富士山の概要
富士山は、静岡県(富士宮市、裾野市、富士市、御殿場市、駿東郡小山町)と、山梨県(富士吉田市、南都留郡鳴沢村)に跨る活火山です。標高は、3776.12mであり、日本一高い山です。火口部分が山頂と呼ばれていますが、3,776.12mの地点は、山頂より更に歩いた最高峰の剣ヶ峰が最高標高地点になります。
古来、富士信仰が育まれた霊峰とされ、信仰の対象とし、修行の場ともされています。富士宮市にある富士山本宮浅間大社は、富士山を神体山として祀る神社で、富士山頂には奥宮が鎮座しています。
富士登山は初心者でも難しくない
富士登山は、事前の準備を万全に整え細心の注意を怠らなければ、初心者でも登山は難しくありません。が、準備を怠り、体力に不安がある場合、万が一の恐れがありますので、重要なポイントを見ていきましょう。
最高の装備を準備する
少しづつ本格的な装備を揃えようという考えではなく、初心者だから、機能の優れた装備を用意しましょう。
昼間に快適な登山をする
夜10時ごろ5合目を出発して、途中休憩や山小屋で仮眠とるなどして、頂上でご来光を迎えるというプランをたてる人が多いが、初心者には、夜間の真っ暗な中、ヘッドライトのみの明かりで黙々と歩く事は、非常に危険です。夜間の登山は避け、明るくなり始めてからの出発が、様々な景色も見えて、快適な登山ができるでしょう。
ゆっくり歩き、休みながら登る
標高が高くになるにつれ酸素濃度が薄くなってきます。通常のペースで歩いても疲れが増してきます。無理をせず、ゆっくりと景色を楽しみながら進んでいきましょう。必ずしも頂上に行くのが登山ではありませんので、余裕をもったペースで楽しみましょう。
登山の前に知っておきたい情報
富士山山頂へ登るルートは4ルートあります。
吉田ルート(黄色)
富士宮ルート(青色)
須走ルート(赤色)
御殿場ルート(緑色)
4つの登山ルートは、それぞれの色で表示が決まっています。
登山シーズン(予定)
吉田ルート(山梨県)7月1日0時〜9月10日 ※下山ルートは9月11日の午後まで通行可能
富士宮ルート(静岡県)7月10日9時 ~ 9月10日
須走ルート(静岡県)7月10日9時 ~ 9月10日
御殿場ルート(静岡県)7月10日9時 ~ 9月10日
マイカー規制
自然保護と交通渋滞解消のために登山期間中のマイカー規制を実施しています。規制区間の起点付近に専用駐車場があり、登山口までシャトルバスが運行されます。規制対象の登山口は、吉田口(富士スバルライン)・須走口(ふじあざみライン)・富士宮口(富士山スカイライン)になります。御殿場口ではマイカー規制は実施しません。
富士登山のルールとマナー
五合目より上は国立公園特別保護地区に指定され、自然保護のための厳しい規制がかけられています。
法律で禁止
・動植物の採取禁止
・溶岩や石の持ち出し禁止
・落書きの禁止
・テント設営やたき火の禁止
・ペット等の放し飼い禁止
マナー
・登山道は登りを優先し、互いに譲りあいましょう。
・無理な追い越しはしないようにしましょう。
・落石を起こさないよう歩きましょう。
・落石を起こしたら大声で「落石!」と知らせましょう。
・助けを求めている人がいたら協力しましょう。
・ストックの先端にはキャップをつけましょう。
・山小屋前では静かにしましょう。
・鳥獣の巣には近づかないようにしましょう。
富士山の気象
五合目と山頂とでは、天気や気温の大きな差があり、天候も急変します。登山開始前には必ず気象情報を確認し、天候の急変に備えましょう。
富士登山に必要な服装と装備
服装
帽子 | 日中の強い日差しを避けるためにツバが広めの帽子が良いでしょう。 |
アンダーウェア | 速乾性のものが良いでしょう。 |
防寒着 | 真夏でも零下になることがありますので、フリース・セーター・ダウンジャケットなどあると良いでしょう。防寒用の帽子・手袋もあると体温低下を防げます。 |
雨具 | 上下にわかれているセパレートタイプの雨具が良いでしょう。風が強いためビニール製レインコートやポンチョは避けたほうが良いでしょう。 |
手袋 | 切り傷を防ぐためや保温のために備えると良いでしょう。 |
パンツ | 伸縮性・速乾性のよいパンツが良いでしょう。 |
靴下 | 厚手の登山用ソックスが良いでしょう。予備を忘れずに。 |
登山靴 | 底が硬いハイカットのものが良いでしょう。 |
装備
ヘッドランプ | 夜間行動予定がない場合でも必ず持参しましょう。 |
ザック | 防寒着や飲み物、行動食など入れるため用意しましょう。 |
水(1~2L) | 高山病を防ぐためにもこまめに水分補給しましょう。 |
行動食 | 手軽に食べられるもの。甘くカロリーが高いものが良いでしょう。 水分補給できるものも忘れずに。 |
ゴミ袋 | ゴミは持ち帰るようにしましょう。 |
お金(現金) | トイレのチップ用に用意しましょう。 山小屋での宿泊費、飲料水代などは基本現金での支払いになります。 |
地図 | 登山道は一本道ではありません。地図を用意しましょう。 |
サングラス・ 日焼け止め |
強い日差しもあり、紫外線も強くなります。 |
医薬品・健康保険証 | 常備薬や万が一に備えて健康保険証を持参しましょう。 ファーストエイドキット(応急手当キット)も用意していきましょう。 |
タオル | 汗をぬぐうほか、緊急時にも代用できます。 |
防水バッグ | 濡れて困るものをいれるバックがあると便利です。 |
携帯電話 | 大手キャリアは、山開き期間中、山頂での通信強化を行っています。 念のため予備バッテリーも持参しましょう。 |
富士登山ルートを紹介
富士山山頂へ登るルートは、吉田ルート(黄色)/富士宮ルート(青色)/須走ルート(赤色)/御殿場ルート(緑色)の4ルートになります。それぞれに特徴があり、距離や時間なども踏まえて紹介します。
吉田ルート | 富士宮ルート | 須走ルート | 御殿場ルート | |
登山口標高 | 2305km | 2390km | 1970km | 1440km |
標高差 | 1450km | 1350km | 1800km | 2300km |
往復距離 | 14km | 8.5km | 13km | 17.5km |
登り時間 | 約6時間30分 | 約5時間30分 | 約7時間 | 約8時間30分 |
下り時間 | 約3時間30分 | 約4時間 | 約3時間30分 | 約4時間30分 |
剣ヶ峰往復時間 | 約1時間30分 | 約40分 | 約1時間30分 | 約40分 |
山小屋数 | 18軒 | 9軒 | 12軒 | 5軒 |
吉田ルート(黄色)
富士スバルライン五合目から出発して山梨県側の北側から山頂を目指すルートです。上りの登山道には山小屋の数が多く、もっとも多い18軒あります。山開き期間中、半分以上の登山客が利用するため大変混み合っているルートです。
富士宮ルート(青色)
富士宮口五合目を出発して、静岡県側の南側から山頂を目指すルートです。登山口の標高が最も高いため、登山距離が短く山頂から剣ヶ峰へも近く人気のルートです。上りと下りが同じ道のため、登山者が多い時は、譲り合いが多くなります。
須走ルート(赤色)
須走口五合目を出発して、静岡県側の東側から目指すルートです。登り始めは樹林帯が広がっており、高山植物を見ながら登れるルートです。下りは、砂利の下山道を一気に下る砂利走りができます。八合目からは、吉田ルートと合流するあたりから混雑します。
御殿場ルート(緑色)
御殿場口新五合目を出発して、静岡県側の南東側から山頂を目指すルートです。混雑もなく静かな富士登山ができるルートです。下りの砂走りは非常に楽しめるルートです。出発口から山頂までの距離があり、山小屋も少ないため、体力やトイレなどの注意が必要です。
おすすめの山小屋は?
数の違いはありますが、山小屋は各ルートにあります。登山プランによって使用する山小屋もかわってきますが、おすすめポイントをふまえて一部の山小屋を紹介します。
山頂でご来光を見たい
八合目の山小屋に宿泊して、深夜山頂を目指して出発。
・太子館 吉田ルート(標高3050m)
総檜造りの建物で、万全の体調で山頂を目指していただけるよう定員数を減らしてゆったりとくつろげる山小屋です。衛生面から枕はビニールコーティングしています。ご自身のタオル等でカバー代わりにしていただくとよりくつろげます。救護所も開設していますので、初心者の方でも安心して泊まれます。
●太子館 ●定員:360名 ●宿泊(1泊2食付き):8,500円~ ●予約:0555-22-1947
・富士山ホテル 吉田ルート(標高3350m)
クレジットカードでの支払いができます。宿泊されて、頂上でのご来光へ行かれる方のために、不要な荷物を置いて出発することができます。
●富士山ホテル ●定員:550名 ●宿泊(1泊2食付き):7,100円~ ●予約:0555-22-0237
万年雪の見える山小屋から山頂へ
・ 万年雪山荘 富士宮ルート(標高3410m)
山頂まで約1時間にある山小屋です。裏手には万年雪があり、万年雪の雪どけ水を使って炊いたご飯はここでしか食べられません。女性専用室の用意もあり、女性の登山者も安心です。
●万年雪山荘 ●定員:250名 ●宿泊(1泊2食付き):7,500円~ ●予約:090-7025-2236(シーズン中)・0544-27-2355
山頂へ向かう混雑を避けて、山頂に宿泊。
・山口屋 須走ルート(標高3720m)
●山口屋 ●定員:150名 ●宿泊(1泊1食付き):7,000円 朝食は任意(別料金) ●予約:090-5858-3776(シーズン中)・0550-75-2012 ※受付時間10:00~18:00
・頂上富士館 富士宮ルート(標高3740m)
●頂上富士館 ●定員:300名 ●宿泊(1泊1食付き):7,500円~ ●予約:0544-26-1519 ※受付時間10:00~18:00
ゆったりと富士山を楽しみたい
ゆったり七合目の山小屋に宿泊。ご来光は七合目からも感動。
・東洋館 吉田ルート(標高2910m)
改装されて綺麗で、トイレも清潔感のある山小屋です。夕食はハンバーク定食で、朝食はいなりずし弁当が用意してもらえます。クレジットカード使用できます。
●東洋館 ●定員:320名 ●宿泊(1泊1食付き):8,500円~ ●予約:インターネット予約 0544-22-1040 ※受付時間10:00~18:00(月~金)
・鎌岩館 吉田ルート(標高2798m)
2016年にリニューアルオープンしたため、きれいでリラックスできる山小屋です。部屋は、大部屋タイプのほかプライベートスペースを確保できる個室もあります。個室タイプには、コンセントも完備しており充電可能です。
●鎌岩館 ●定員:320名 ●宿泊(1泊1食付き):8,400円~ ネット予約割引あり ●予約:インターネット予約
幻の富士山パンがある
・本八合目トモエ館 吉田ルート(標高3370m)
・七合目トモエ館 吉田ルート(標高2740m)
富士吉田市で有名なパン屋「サンクルー」と共同開発したオリジナルパンが、トモエ館の営業期間のみ販売しています。八合目トモエ館では「アンパン」七合目トモエ館では「クリームパン」を販売。七合目トモエ館には、シナモン入りマサラチャイがあり、疲れた体に暖かく甘いチャイは癒されると人気です。
●本八合目トモエ館 ●定員:200名 ●宿泊(1泊1食付き):6,800円~ ●予約:0555-24-6511 インターネット予約(クレジット決済可)
●七合目トモエ館 ●定員:250名 ●宿泊(1泊1食付き):6,800円~ ●予約:0555-24-6521 インターネット予約(クレジット決済可)
食事が充実していると評判
・太陽館 須走ルート(標高2925m)
宿泊時の夕食はハンバーク定食で、ご飯と豚汁はおかわり自由。朝食は焼き魚定食で、ご飯と味噌汁のおかわり自由で、疲れた体に美味しい食事は、ご飯がすすむと評判です。
●太陽館 ●定員:150名 ●宿泊(1泊1食付き):10,260円~ ●予約:090-3158-6624
アットホームでリラックスできる
・赤岩八合館 御殿場ルート(標高3300m)
アットホームでスタッフの対応が評判です。夕食のカレーライスはおかわり自由です。
●赤岩八合館 ●定員:150名 ●宿泊(1泊1食付き):7,500円~ ●予約:090-3155-5061
都内でも簡単に富士登山ができます
今すぐには富士山に行けない方に朗報です。都内にも富士山があります。江戸時代、富士信仰にもとづき富士山をまねて作られた親しまれていました。今も都内の7箇所にあり、江戸七富士と呼ばれています。作られた富士山は、正式には富士塚と呼ばれています。
江戸七富士
1・品川富士(品川神社境内)東京都品川区北品川
2・千駄ヶ谷富士(鳩森八幡神社境内)東京都渋谷区千駄ヶ谷
3・下谷坂本富士(小野照崎神社境内)東京都台東区下谷
4・江古田富士(茅原浅間神社境内)東京都練馬区小竹町
5・十条富士(駒込富士神社境内)東京都文京区本駒込
6・音羽富士(護国寺境内)東京都文京区大塚
7・高松富士(富士浅間神社境内)東京都豊島区高松
まとめ
いかがでしたか?
日本一高い山富士山。しっかりとした準備をしないとですね。しっかりと準備をすれば、初心者でも満喫できるのが富士登山です。
コース選びから山小屋選びも余裕のあるプラン作りをするのが良いですね。富士山頂から見る景色。そしてご来光。疲れも忘れてしまいます。お気に入りのルートや山小屋を見つけるのも楽しみですね。
何度登っても楽しめる富士山。さすが日本一ですね。