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【仏像】様々な種類がある仏像!特徴や見分け方も分かる[簡単解説]

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仏像とは

仏像とは仏教における信仰の対象である仏様の像のことです。

現在ではさまざまな種類の仏像がありますが、本来の仏像とは仏教の開祖であるゴータマ・シッダールタ(釈迦しゃか釈尊しゃくそん)をモデルとしたものでした。これを釈迦如来しゃかにょらい像と呼びます。

狭義きょうぎでは釈迦如来像や阿弥陀如来あみだにょらい像などの如来像を仏像としますが、広義こうぎでは菩薩ぼさつ像や明王みょうおう像などの像も仏像として崇められています。

しかし、仏教の発祥後すぐに仏像が造られた訳ではありません。

釈迦本人が「自灯明じとうみょう法灯明ほうとうみょう」(自らを依り所とし、法を依り所とせよ)と教えを説いていたこともあり、釈迦自身を信仰対象とはしていなく、初期仏教には仏像は存在していませんでした。
釈迦入滅後、仏教を広めるために視覚化した信仰対象が必要となり仏像が徐々に造られるようになったのです。


如来

[にょらい]

如来とは、釈迦が悟りを開いた後の姿を表した仏像です。

仏像のなかでは一番位が高いとされています。
悟りの境地にいける人は少ないため、種類としては少なく、元々は釈迦如来しゃかにょらいだけでした。時代の流れとともに、複数の種類がつくられるようになりました。

釈迦如来像以外には、阿弥陀如来あみだにょらい像、薬師如来やくしにょらい像、阿閃如来あしゅくにょらい像、多宝如来たほうにょらい像、宝生如来ほうしょうにょらいなどがあります。

特徴としては華美な装飾品を身に付けず、衣をまとっただけの質素な姿が挙げられます。ただし、薬師如来像は万能薬の入った薬壺を持ち、大日如来だいにちにょらい像は冠をかぶっています。

如来像の髪型は螺髪(らはつ)といったパンチパーマのような渦巻き状で、悟りを開いた仏が人間とは明らかに姿が異なるといった考えの表れです。


菩薩

[ぼさつ]

菩薩像とは、悟りを開くための修行をしている釈迦の姿を表している仏像です。

釈迦は元は王子であったため、特徴としては、冠やイヤリング、首飾りなどの装飾品を身に付け女性のような柔らかい曲線でかたどれていることが挙げられ、髪型は高く結い上げられています。

菩薩像の種類には、聖観音しょうかんのん十一面観音じゅういちめんかんのん弥勒菩薩みろくぼさつ不空羂索観音ふくうけんさくかんのん千手観音せんじゅかんのん如意輪観音にょいりんかんのん地蔵菩薩じぞうぼさつなどがあります。ただし、この中で、地蔵菩薩だけは、髪を高く結い上げてはいません。

元々は修行中の釈迦を表していた菩薩像ですが、苦しんでいる人々を救済するという違う意味もあります。人々を救うため、菩薩は様々な姿で人々の前に現れるとされており、多くの種類がつくられるようになったのです。


明王

[みょうおう]

明王とは、大日如来だいにちにょらいが人々を救うためにこの世に遣わした仏を表す仏像です。

必死で怒ったような形相をしているのが特徴です。
これは、人々を強制的に仏法に帰依させるため、快楽に溺れる人々をこらしめるため、人々を惑わす悪を降伏するためと言われています。

また形相以外にも、動物を従えていたり、武器を持っていたりなど、仏像によってユニークな特徴を持ちます。

明王の種類には、五大明王ごだいみょうおうである不動明王ふどうみょうおう降三世明王ごうざんぜみょうおう軍荼利明王ぐんだりみょうおう大威徳明王だいいとくみょうおう金剛夜叉明王こんごうやしゃみょうおうがあり、他にも大元帥明王だいげんすいみょうおう愛染明王あいぜんみょうおう孔雀明王くじゃくみょうおう烏枢沙摩明王うすさまみょうおうなどがあります。

髪型は逆立ち、炎のような形をしていることも特徴として挙げられますが、不動明王だけは髪を左耳上に集め、左胸にかけて垂らしているといった弁髪べんはつという髪型をしています。


[てん]

天とは、古代インドの神々とが融合し、生まれた仏像です。

如来や菩薩、明王が人々に仏教を説き救済する立場なのに対し、天は仏教を守りその姿を人々に見せる立場です。
このため、本尊である如来や菩薩の脇や周囲にに配置されていることが多いのが特徴です。

天には大きく分けて女性像、武人ぶじん像、鬼神きしん像、貴公子像の4タイプあります。

代表的な女性像は、弁財天べんざいてん吉祥天きっしょうてんです。女性像の多くは天衣てんねと呼ばれる袖の長い中国の唐の貴婦人が着た服をまとい、アクセサリーを身に付けています。

武人像には四天王や十二神像、仁王、金剛力士像があります。甲冑を身に付けるなど戦闘服を身に付けているのが特徴です。

鬼神像は、字のごとく鬼の仏像です。また鳥や動物の頭部を持つ鬼神像もおり、明らかに異形です。有名なものには羅刹像らせつてんぞう夜叉像やしゃぞうなどがあります。

貴公子像は中国の礼服を着ているのが特徴で、帝釈天たいしゃくてん梵天ぼんてんなどが有名です。


羅漢

[らかん]

羅漢とは、釈迦の生前から仏教に帰依きえした釈迦の弟子のことです。正しくは阿羅漢あらかんと呼ばれ、悟りを開いた仏弟子ぶつでし尊称そんしょうとなります。

釈迦が亡くなる際に、枕元に呼ばれた16人の羅漢を十六羅漢じゅうろくらかんと呼び、釈迦より「永久に人間界にとどまり、人々を苦しみから救い、徳を積ませ仏門に入るように手助けをしなさい」と言われたという話があります。

十六羅漢以外にも、熱心な仏弟子は500人いると言われており、総称して五百羅漢ごひゃくらかんと呼びます。

羅漢像には跋羅駄闍尊者ばらだしゃそんじゃ迦諾迦伐蹉尊者かにゃかばっさそんじゃ諾迦跋釐駄尊者だかはりだそんじゃなどがあります。


高僧

[こうそう]

高僧は、宗派の開祖など仏教史において、偉大な業績を残した僧のことで仏像となっています。

特徴は法衣をまとい、笑顔であったり、瞑想していたりなど表情がさまざまです。また、如来像や菩薩が蓮華の上などに座していることが多いのに対し、高僧は、畳の上に座っていたり、椅子に腰かけていたりすることが多いです。

僧なので、剃髪している姿がほとんどです。

有名なものには達磨だるま玄奘三蔵げんじょうさんぞう鑑真がんじん最澄さいちょう空海くうかい法然ほうねん親鸞しんらん道元どうげん日蓮にちれんなどがあります。また開祖ではありませんが、聖徳太子の仏像もあり、高僧同様に崇められています。


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まとめ

仏像の種類や特徴についてご紹介してきました。

仏像の種類によって表している姿や服装、髪型など大きく異なりましたね。

違いを知るとまた仏像の見方が変わってくるのではないでしょうか。
ますます見聞を広められますね。


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ゆずこ

ゆずこ

大学時代に出会った友人の影響で、お寺巡りや仏教に興味を持ちました。それがきっかけで、日本人の思想や日本文化全体に興味を持つようになりました。

日本の建築物や着物、独自の色づかい、和食や和菓子、本当に繊細で美しいものばかりだと思います。そんな日本文化の魅力をお伝えし、皆さんと一緒に楽しめたらなと思っています。

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