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【京都三大祭り】1000年以上の歴史を持つ祭りに都の歴史まつり! 起源から由来に見どころ [葵祭] [祇園祭] [時代祭]

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葵祭

[あおいまつり]


起源と由来

「葵祭」は、約1500年前に行われた五穀豊穣を祈る祭事が起源だといい、古くは「賀茂祭」または「北の祭り」と呼ばれていました。江戸時代に、祭りの当日の内裏宸殿だいりしんでん御簾みす牛車ぎっしゃなどに二葉葵ふたばあおいを飾ることから「葵祭」と呼ばれるようになったといいます。

平安京に遷都してから25年が経った819年に、「葵祭」は律令制度で最も重要な恒例祭祀に準じて行う国家的な行事となり、平安中期になると貴族の間では祭りといえば「葵祭」を指しました。千年の月日が流れても、今なお人々に愛され読み続けられている「枕草子」や「源氏物語」といった文学作品にもその名が記されています。

平安時代以降には、「葵祭」は3度に渡って中断や行列を中止せざるを得ませんでした。それは応仁の乱後の約200年間、次に1871年〜83年の明治維新後の動乱の時代、そして第二次世界大戦真っ只中の1943年〜戦後の復興に向けて動き出した1952年の間です。この期間は残念ながら恒例の「葵祭」を開催することは叶いませんでした。

「葵祭」が復活を遂げて現代まで王朝風俗の伝統を受け継いでいけるのも、平和な世の中で生きる我々の特権だと言えます。


特徴・見どころ

「葵祭」では5月1日からさまざまな前儀が始まり、5月15日には「路頭ろとうの儀」と「社頭しゃとうの儀」で「葵祭」を執り行います。

前儀での見どころは、なんといっても5月3日に開催される流鏑馬神事やぶさめしんじ。この神事は平安末期から幕末時代に武士の間で盛んに行われていた「騎射」がルーツだといわれています。

流鏑馬神事は下鴨神社として親しまれる賀茂御祖かもみおやじ神社の「ただすの森」に設置された、全長約400メートルの馬場で行われます。公家風の装束姿や武家風の狩装束姿の射手いてたちが疾走する馬上から、3つの的を射抜くという神事。地鳴りとともに疾走しながら近づいてくる馬の迫力と、射的の妙技は見学者を興奮の渦に巻き込みます。

射手のかけ声「イン、ヨー」とは「陰陽」を表していて、みごと矢が的中すれば五穀は稔り、諸願は成就すると言い伝えられているのだとか。

そして5月15日「葵祭」当日のみどころは、京都御所から下鴨神社を経て、上賀茂神社へと向かう行列「路頭の儀」。総勢500余名、馬36頭、牛4頭、牛車2基、輿1台がそれぞれにこの祭りを象徴する二葉葵を身につけて、風雅な王朝行列をつくり、およそ8キロの道のりを巡行します。


開催期間

 5月1日〜15日

前儀
5月1日/賀茂競馬足汰式(かもくらべうまあしぞろえしき)
5月3日/流鏑馬神事
5月4日/斎王代禊の儀(さいおうだいみそぎのぎ)
5月5日/賀茂競馬(かもくらべうま)・歩射神事(ぶしゃしんじ)
5月12日/御蔭祭(みかげまつり)・御阿礼神事(みあれしんじ)

葵祭
5月15日/路頭の儀・社頭の儀

会場

賀茂別雷かもわけいかづち神社(上賀茂神社)/ 賀茂御祖かもみおやじ神社(下鴨神社)/ 京都御所


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祇園祭

[ぎおんまつり]


起源と由来

「祇園祭」は、9世紀から受け継がれてきた京都の夏の風物詩。京都市東山区の八坂神社(祇園社)の祭礼で、東京の「神田祭」・大阪の「天神祭」と並び日本の三大祭の一つとされています。

7月1日から1か月間にわたって行われる「祇園祭」は、京の都に疫病が流行した際に、京都市中京区に現存する東寺真言宗寺院「神泉苑(しんせんえん)」に八坂神社の神輿を送り、疫病退散を願った御霊会(ごりょうえ)を行ったことが始まりとされます。

1467年に始まった応仁の乱は、京都を舞台にその後約11年間も続き、その間「祇園祭」も中止を余儀なくされましたが、1500年に町衆の手で再興されました。以降も火災や政治情勢の変化に伴い、「祇園祭」は何度も存続の危機を迎えましたが、その都度町衆が力を合わせて祭を再開し、その伝統を今に伝えています。


特徴・見どころ

「祇園祭」は7月1日の「吉符入きっぷいり」で幕を開けます。これは祇園祭の「山鉾巡行やまほこじゅんこう」で先頭を行く長刀鉾なぎなたぼこの神事始めのことです。

「祇園祭」のハイライトは、7月17日(前祭)と7月24日(後祭)に行われる八坂神社の「神輿渡御みこしとぎょ」と「山鉾巡行」。これらの山鉾行事の起源は明らかではありません。

「山鉾巡行」で巡行される山鉾は全部で33基あり、前祭さきまつりに23基、後祭あとまつりに10基がお目見えします。釘を一本も使わず、縄がらみの伝統技法で組み立てられる山鉾は、どれも美しい刺しゅうや舶来のカーペットで装飾され、その姿は豪華で美しく「動く美術館」と称されます。

「コンコンチキチン・コンチキチン」というお囃子と共に通りを行く山鉾は、京の町の邪気や汚れを清め、「神輿渡御」で神さまが通る道を作るために引き廻されるといいます。

「ホイット!ホイット!」という威勢のよい掛け声と共に市内を巡行する「神輿渡御」は、八坂神社の神様を神輿に乗せて、神さまのお宿といわれる四条御旅所しじょうおたびしょまで渡御とぎょするというもの。神輿の重さは約2トンもあるといい、600人もの男たちによって担がれます。

「京都祇園祭の山鉾行事」は2009年にユネスコ無形文化遺産に登録され、この祭りを一目見ようと、日本国内はもとより、海外からも大勢の人たちが訪れます。


開催期間

 7月1日〜31日

前祭
7月14日〜16日 宵山行事
7月17日 巡行

後祭
7月21日〜23日 宵山行事
7月24日 巡行

会場

京都市内各所


時代祭

[じだいまつり]


起源と由来

初めて「時代祭」が開催されたのは1985年のことでした。平安神宮が創建されたことをうけて、神宮の管理と保存を担う市民組織「平安講社」が作られ、その記念事業として行われた祭りが現在の時代祭です。この祭りは平安遷都1100年を記念するものでもあり、盛大な祭りにするためにかつての京都の風習を遡る装束に身を包んだ人々が京都市内を闊歩したため、「時代祭」と称されるようになりました。

現在では約2000人にものぼる市民によって行列がなされ、参加者の一人一人がそれぞれの時代の衣装やヘアスタイル、そして祭具にいたるまでを忠実に再現して京の町を彩ります。全長2kmにも及ぶという行列は、明治維新時代から平安京の造営された8世紀頃の装いへと、時代を遡って続きます。


特徴・見どころ

「時代祭」は、多くの人から特別な祭りと評されます。各時代の中心であった京都市にしかできない特別な祭り。約3時間の行程で京の町を練り歩くという行列を通して、1100年の時代の流れを、肌で感じることができる特別な祭り。そして京都市民にとっては、市民が主体となり、また市民をあげて行う特別な祭りなのです。

「時代祭」の見どころは、なんといっても歴史上の人物に会えること。もちろん京都市民がそれぞれの人物に扮装しているわけですが、十二単じゅうにひとえに身を包んだ清少納言や小袿こうちきをまとった紫式部、馬にまたがる織田信長や羽柴秀吉、そして桂小五郎や西郷隆盛の勇姿と、タイムスリップしたような錯覚さえ覚えます。

行列の中には、京の町衆の風流踊りを再現した「室町洛中風俗列」や京の町中で花などを売り歩いた「白川女しらかわめ」や、頭に薪や芝を乗せて行商に歩いた「大原女おおはらめ」などの姿も目にすることができます。「時代祭」では、時代を彩った庶民たちも京のまちによみがえります。

行列の中でも一際目立つのは、鼓笛隊が奏でる「ピーヒャーラドンドンドン」という音と共に勇ましく行進する「維新勤皇隊列いしんきんのうたいれつ」でしょう。明治維新の際、丹波の国北桑田郡山国村(現:京都市右京区京北)の有志が山国隊を組織し、官軍に参加した当時の行装を模したものです。鼓笛隊の勇壮な音は、「これぞ時代祭」と思わせるほどインパクトがあるといわれています。


開催期間

10月15日〜23日

10月15日: 参役宜状授与祭さんやくせんじょうじゅよさい
10月21日: 前日祭
10月22日: 時代祭、神幸祭しんこうさい行在所祭あんざいしょさい、行列進発、還幸祭かんこうさい
10月23日: 時代祭後日祭

会場

平安神宮 / 京都御所


まとめ

どの時期に訪れても、魅力溢れる京の町。

もうすでに何度も訪れているという人も多いことでしょう。三大祭りはいつもとは違う京都の魅力を感じられる絶好の機会です。

「人混みは苦手」という人も、是非一度京都三大祭りを目で、そして耳で感じてください。


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井筒屋

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