【平岡祐太】加賀れんこんが紡ぎ出す絆! 映画『種まく旅人~華蓮のかがやき~』[インタビュー]
この記事の目次
地域の農業に人間らしさ
――本作品の台本を最初に読んだ時の印象を教えてください。
最初は地域に根付いた映画だなという印象でした。
金沢出身のプロデューサーの方が制作するということで、“地元の方々にご協力いただいて作る映画” という印象でしたね。
――脚本を読んでから役へのアプローチや準備をしたことはありますか?
今回は準備の時間に余裕があったので、何回も繰り返し脚本を読むという作業をしました。
地域の農業映画というだけではなく人間らしさも表現したいと思い、町工場やその雰囲気を取り入れる為の研究もしましたね。
また、主人公の良一は銀行員としての顔もあるので、そういった場面では仕事モードに見えるような佇まいで、畑に入った時には自然を感じて、風を感じて、土のにおいを感じて、心から喜びを表現する、そういうキャラクター作りにしたいと考えていました。
周りの環境によって動かされる
――良一とご自分との共通点はありましたか?
父方のおじいちゃんがお米を作っていて農業が身近にあったので、そういう点では良一と似たような感覚は理解できました。恋人とぶつかり合いたくない所は良一と近いかもしれないですが、同級生とワイワイするシーンなどは良一の方がフランクな人なのかもしれないなと思いましたね。
映画に出演するにあたっては、役と自分との共通点ってどこだろうって考える事が少なくて「作品から得られるものに共感できるかどうか」が大切かなと思い向き合っていますね。
――映画の中では平岡さん世代が直面するリアルな悩みが描かれていました。演じてみていかがでしたか?
覚悟を持って自分の道を決めるって勇気がいることですよね。
自分も今までは色々な職業に興味を持つ時期もありましたが、コロナによる自粛期間中に「この世界で自分に何ができるだろう」という事をとても強く思い、考えました。ある意味、この世界で生きてくという覚悟を見つけたような時期でもありました。
良一もそうですけれど、周りの環境によって人は動かされるものだというのを感じましたね。
決断するって何かを捨てなきゃいけない。それはすごく大変なことだなと思いました。
うちの蓮根美味しいんだよ
――大自然の中での演技で印象に残ったエピソードなどはありますか?
画面からはなかなか伝わらないと思うのですが、実際の畑は泥のにおいがけっこうきついんですよ。(笑) その上、お芝居する必要もない位、泥の中は歩きづらかったので、頭で考えずとも自然が教えてくれるようなところはありましたね。
スタッフさんとかみんな泥で遊んだ記憶がある世代なので、誰かが泥の中で転んだりすると喜んだりして、気持ちが童心に帰りました。
――やはり撮影中は蓮根をたくさん食べたのでしょうか?
ロケ中のお弁当には毎回蓮根が入っていましたし、採った蓮根をその場でいただいたりしました。
現地の方も蓮根の映画を撮っていると言うと「うちの蓮根美味しいんだよ!」ってたくさん蓮根を持ってきてくれて、ありがたかったですね。
撮影が終わってから現地の方々と親睦会をやった時に100人位集まってくれて、ああ、こんなに多くの方が関わってくださったんだと驚きましたし、嬉しかったですね。
ハイテク農業も楽しそう
――畑の撮影で楽しかったことや苦労したことはありますか?
蓮根が畑のなかで育つ事も知らなかったので、掘り返した蓮根を消防士が使っていそうなホースでどんどん洗っていく作業は初めての経験で楽しかったです。
でもこのホースが重くて(笑) それは大変でしたね。
――今回の撮影を通じて日本の農業について感じたところや印象が変わった点はありますか?
農作業服が若い人向けのデザインになったり「農業女子」という言葉が浸透したりして、農業の印象もここ数年で変わってきたのではないかと思います。
国や農家の方達が若者でも入りやすい環境作りに取り組んでいるんだなと思いましたね。
ドローンを飛ばしたり、機械を使って全自動で作業をしてくたり、もっと工業要素が入った「ハイテク農業」に進化すると更に楽しそうですよね。
視点を変えてみると楽しい
――日本の文化で興味がある事を教えてください。
少し前から興味を持っているのが、日本画ですね。日本画家の福井江太郎さんと知り合ったのをきっかけに、日本画に興味を持ちました。
――絵がお好きだったんですか?
元々絵を描く事が好きでしたし、部屋に飾る絵を探して飾ったりもしていたんです。今まではアメリカのポップアートがずっと好きでしたが、最近、日本画に興味を持ち始めた感じです。
――絵画のなかでも日本画の見方は難しそうですね。
例えば “画家さんが描いている視点” というもので絵を見るとさらに楽しめるんです。
作家の視点というのは、筆を手に持ってその手を伸ばした時に、描いている目線というのが、画家が見えている目線だと。“視点を変えてアートを見るとさらに楽しい” ということを福井先生に教わりました。
知れば知るほどおもしろい
――ご自身でも描かれたりしますか?
日本画にはまだ挑戦していないのですが、アクリルでは描いたりしますね。
日本画は使われている絵具が天然石から作られているもので “呼吸をしている” から、文化財で残っている作品は色褪せないそうです。
それは知らなかったと思って感動したんです。日本画ってすごいですよね。
――日本画は奥が深いですよね。
今までは気づかなかったけれど、葛飾北斎が描く着物の絵などは色使いも含め前衛的な柄なんですよね。
なんて北斎先生はファッションのセンスがいいんだという気づきがあったりして。日本画は知れば知る程おもしろい世界だなと思いました。
地元山口の食はおすすめです
――日本酒は召し上がりますか?
日本酒は好きです。
僕の地元は山口県なんですが、家から40分位の場所に獺祭の工場があって見学に行ったりもしました。山口県からすごいお酒が出てきたなと思って誇らしかったですね。
――日本酒にまつわるエピソードありますか?
もったいなかったと後悔した事があります。プレミアの十四代を1本飲めなくしてしてしまったんです。
日本酒って寝かせてもOKだと思っていたけれどダメなんですね。蓋を開けたら、なるべく早く飲んだほうが良いです。ものすごく後悔しているので皆さんも気をつけてください(笑)
――地元を思い出す料理はありますか?
日本酒の他にはフグとかですかね。
おじいちゃんの家に帰ると、よく親戚のおじさんが「フグ食わしたるわ」ってお正月に用意してくれるので、フグの印象はとても強いですね。
――故郷の味はやはり特別ですよね。
そうですね。
和菓子だともみじ饅頭もおすすめですよ。山口県では「月で拾った卵」っていう、仙台の「萩の月」に似ているお菓子があるんですよ。それもおすすめです。
農業が身近にある環境で育った平岡さんでも蓮根を育てる工程の大変さには苦戦したようです。地元の皆さんの支えもあって映画の中で蓮の花は見事に実りました。
「食」の大切さが見直される今、この映画を通じて野菜作りにどれだけの手間と愛情が注がれているのかを改めて感じる事ができます。
「種まく旅人〜華蓮のかがやき〜」ぜひ、劇場でご覧ください。
平岡 祐太 Hiraoka Yuta
生年月日:1984年9月1日
出身地:山口県
身長:178cm
血液型:A
2002年第15回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを獲得。2004年映画「スウィングガールズ」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2010年には大河ドラマ「龍馬伝」に陸奥宗光役で初出演を果たし、2016年にはNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」にも出演。「東京タラレバ娘」(日本テレビ・2017)、「ホリデイラブ」(テレビ朝日・2018)「警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室 THIRD SEASON」(テレビ東京・2018)、NHK BSプレミアム「ファーストラブ」(2020)「今野敏サスペンス機捜235」(テレビ東京・2020)など出演作が多数あり、「新・浅見光彦シリーズ」(TBS)では4代目・浅見光彦を演じる。
[ヘアメイク]MIZUHO(vitamins)
[スタイリスト]石橋修一
【衣裳協力】
Iroquois/イロコイヘッドショップ
[問い合わせ先]
イロコイヘッドショップ 渋谷区恵比寿南3-8-3
03-3791-5033
種まく旅人〜華蓮のかがやき〜
3月26日(金) 石川県先行公開
4月2日(金) 全国順次公開
[出演]
栗⼭千明 平岡祐太 ⼤久保⿇梨⼦ ⽊村祐⼀(特別出演) 永島敏⾏ 綿引勝彦
野由志⼦ 柴やすよ 駒⽊根隆介 ⼩久保寿⼈ 平⼭祐介
[監督] 井上昌典
[脚本] 森脇京⼦
[公式HP] https://tanemaku-tabibito.jp/
[配給] ニチホランド/[配給協力] トリプルアップ
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