【三浦貴大】伝統行事 “川内大綱引”地元の思いを大切に! 映画『大綱引の恋』それぞれの愛の物語。[インタビュー]
綱引するんだろうな…が
ーー鹿児島県薩摩川内市で秋に開催される祭事「川内大綱引」の事はご存知でしたか? またこのお祭りに対しての印象を教えてください。
このお話を頂くまでは「川内大綱引」を知りませんでした。
イメージでは「綱引するんだろうな…」ぐらいに思っていたのですが、実際にこのお祭りを見に行ってからは、これは面白いなと思いました。よくよく考えたら、お祭りで勝ち負けがあるってけっこう珍しいのではないかと思って。とても斬新だと思いましたね。
僕が宿泊していたホテルのフロントにも数年前に川内大綱引で使われた綱を切ったものが飾られていたり、ポスターが町中に貼られていたり、このお祭りが町の人々の生活に自然と浸透しているんだろうなという印象でしたね。
ーー撮影を通して「お祭り」に対するイメージに変化はありましたか?
実際にこのお祭りに参加してみて、毎年色々な人の思いをのせてこのお祭りが行われているんだなという風に考え方が変わりました。
ただ単純に行われている行事という事ではなく、いろんな人の思いがあって、いろんな人が裏で関わっていて、こういう風にお祭りが出来ているんだなというのを知りました。タイミングが合う時には絶対に見に行こうと思うようになりましたね。
地元の思いを大切に
ーー主人公の「武志」を演じるにあたって心掛けた点はありますか?
「川内大綱引」は鹿児島の薩摩川内市に伝わる、伝統のあるお祭りです。
そういう面で地元の人たちが「このお祭りに対してどういう思いでいるのか」という事を知るべきだと思い、撮影前に鹿児島へ行って、地元の人たちと色々なことを話しました。
“地元の人たちがすごく大切にされているお祭りである”とか、“主人公の有馬武志が務める「一番太鼓」というポジションに対して、実際にみんながどういう感情を抱いているのか”とか。そういった事を理解してしっかり落とし込んでいかないと、この物語自体が成り立たなくなってしまうし、この祭りを描くにあたって失礼になってしまうと思いました。
それに、こういった地域に密着した映画を撮る時には、その地域の方に応援してもらわないと始まらないので、そこは大切にしようと思いながら撮影に臨みましたね。
分けて考えられる
ーー家族関係や仕事、恋愛に悩む主人公の武志とご自身との共通点はありますか?
家族、仕事、恋愛というのはすべて生活の一部ですから、完全に切り離すというのは難しいところはあるんですけれど、僕はスッパリ分けて考えられるタイプなんです。
家族は家族、仕事は仕事、恋人は恋人、みたいな感じでパン!パン!パン!と分けられるタイプなんですよね。
疲れていたり、時間的な問題で、実家に帰れなかったりと物理的なことはありますけど、意識の中では切り替わっています。結構、さっぱりしているかもしれないですね。
ーー「家族のあり方」もこの作品のテーマの1つで、画面からはとても自然な雰囲気を感じました。現場の様子はいかがでしたか?
佐々部監督が現場にいたというのが、すごく大きいですね。
監督が作る現場というのは、役者だけではなくて、撮影スタッフ全部まとめて家族みたいな感じになるんですよ。それが佐々部監督の素晴らしいところで、僕は大好きなところです。
飯食ったらそりゃ飲むでしょ
ーー地元の方々との交流で印象に残るエピソードなどはありますか?
撮影は、新型コロナウィルスの感染が広がる前だったので、地元の人たちと毎日のように飲みに行っていました。共演者の方がいる時もありましたけれど、だいたい地元の人たちと交流していましたね。
鹿児島の人は、わざわざ「飲みに行こう!」という感じではなくて、「飯食いに行こう!」“飯食ったらそりゃ飲むでしょ” みたいな流れなんですよね。
ーーお酒では何が一番印象に残っていますか?
やはり焼酎が飲みやすくて良かったですね。
お酒が地域に密着しているところというのは本当にいいですよね。ただ、映画で描かれているように、お父さんが酔ってベロベロになって帰ってくることもあると思うので、昔ながらのご家庭の奥さんは大変だろうなとも思いましたね。
ーー印象深かった食べ物はありますか?
甑島で食べたきびなごがとても美味しかったですね。
甑島にフェリーで着くと「キビナゴン」っていう着ぐるみを着た、きびなごのゆるキャラみたいなのがいるんですけど、たぶんそのぐらい名物なんだと思います。(笑)
すごく美味しかったです!
本当にありがたかった
ーー太鼓を叩くシーンがありましたが練習はしましたか?
過去に一番太鼓を叩いていた方に、こだわりなどを聞きながら教えて頂きました。
ご自分も仕事があるのに、その合間を縫って練習に付き合ってくださったりして、すごくお世話になりましたね。
ーー地元の皆さんの協力は心強いですよすね。
そうですね。こうして地元の方々にご協力いただいて、本当にありがたかったです。
“協力の仕方” が他の映画の協力とは比べられないくらいの協力でした。(笑)「何でこんなにもみなさんが快く手伝ってくださるんだろう」って思うほどで、本当に心強くて嬉しかったです。
言葉で仕事をしている人間として
ーー日本の文化で興味があることやチャレンジしてみたいことはありますか?
「俳句」とか「短歌」は昔から興味がありました。国語が好きだったので、国語ばかり勉強していたんです。(笑)
短いフレーズやひとつの言葉の中にいろんな意味合いを持たせたり、語尾の一文字が変わるだけでもずいぶんと意味合いが変わってきたりというのが、言葉で仕事をしている人間としては興味がありますね。
ーー俳句に興味を持ったきっかけはあるんですか?
初めは種田山頭火が好きだったんです。
山頭火を知ったのは『まっすぐな道でさみしい』という一句で「深いな〜」と思って。この句を初めて読んだのは高校生ぐらいだったのかな。どこかでその句を見て種田山頭火の本を買ったんですよ。
自分で俳句を作ろうとまではしませんでしたが、その頃からずっと興味はありましたね。
「種田山頭火」は、五・七・五に季語を入れて詠む定型にこだわらない自由律俳句を代表する俳人で、出家して各地を巡り歩きながら多くの句を詠んでいます。「まっすぐな道でさみしい」は、山頭火の代表的な句のひとつでもあり、わかりやすい言葉で解釈も様々。興味が湧いて、探究してしまいますね。
俳句への探究心は、「言葉を扱う仕事だからこそ」と話す表情からは、1つ1つの仕事に丁寧に向き合い、取り組む真面目なお人柄が伺えました。
また、マンガも好きで、自宅に7000冊くらいあるそうです。オススメのマンガは?と伺った時も、“多すぎて簡単に答えられない”と真剣に考えていただけました。
薩摩川内市の伝統行事 “川内大綱引”に真剣に向き合い、地元との人たちの思いを大切に「有馬武志」を演じた映画「大綱引の恋」。
川内大綱引のシーンでは、実際のお祭りの映像も使用されています。臨場感あふれる川内大綱引の映像と、魂のこもった一番太鼓の音色をぜひ劇場でご覧ください。
三浦 貴大 Miura Takahiro
生年月日:1985年11月10日
出身地:東京都
身長:178cm
2010年、錦織良成監督「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」で俳優デビュー。
第35回報知映画賞新人賞、第34回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
近年の主な出演作に映画『四月の永い夢』『栞』(18)『ダンスウィズミー』『ゴーストマスター』(19)『初恋』『実りゆく』(20)『大コメ騒動』(21)、ドラマ「神酒クリニックで乾杯を」「TWO WEEKS」「ひとりキャンプで食って寝る」「いだてん~東京オリムピック噺~」(19)、連続テレビ小説「エール」(20)『六畳間のピアノマン』(21)など。今後『連続ドラマW 東野圭吾 さまよう刃』が5月15日からWOWOWでスタートし、今夏に映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』が公開される。
[ヘアメイク]KEN
[スタイリスト]涌井宏美
【衣装】
ジャケット、パンツ、スニーカー
全てROL吉祥寺店 0422-20-4555
シャツ
スタイリスト私物
大綱引の恋
5月7日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座他 全国公開
※新型コロナウイルス感染症の影響により、予定が変更になる場合がございます。詳細は劇場までお問い合わせください。
[出演]
三浦 貴大 知 英
比嘉愛未
中村優一 松本若菜 西田聖志郎 朝加真由美 升 毅 石野真子
金児憲史 金井勇太 伊㟢充則 安倍萌生 月影 瞳 小倉一郎
恵 俊彰(友情出演) 沢村一樹(友情出演)
[監督] 佐々部 清
[企画・原案] 西田聖志郎
[脚本] 篠原髙志
[主題歌] AI「Story」
[製作] 映画「大綱引の恋」フィルムパートナーズ
[製作] パディハウス [制作協力] シネムーブ
[配給] ショウゲート
[公式サイト] ohzuna-movie.jp
Ⓒ2020映画「大綱引の恋」フィルムパートナーズ