【チケットプレゼント】東京都指定有形文化財「百段階段」で映画のワンシーンを体感「線は、僕を描くat百段階段 ~色彩空間で観る水墨画の世界~」
この記事の目次
エントランス&エレベーターホール
霞/篠田湖山(劇中登場作品)
椿/篠田千瑛(劇中登場作品)
十畝の間
[じっぽのま]
荒木十畝によって23面の襖仕立ての鏡板に四季の花鳥画が描かれ、黒漆の螺鈿細工が随所に見られる重厚な造りの部屋。
水墨画の世界
映画の世界に入る前に、水墨画の歴史や、道具、技法などをご覧いただく会場です。はじめて水墨画の世界に触れる方々にもこの後登場する作品がどのような技法を用いているのかなど興味の幅を広げます。
[左]遠山雪/下村観山 [中]寒山拾得/狩野芳崖 [右]江邊楼閣図/橋本雅邦
寒雀/竹内栖鳳
勇鷹図/小林東雲
牧牛図/小林東雲
飛天図/小林東雲
養老の滝/小林東雲
白鹿/小林東雲
水墨画技法
【元隈】
根元を濃く描くことで花びらの重なりや色の変化を効果的に表現
【片隈】
片側を濃く描くことで物の立体感や奥行を表現
【先隈】
先端を濃く描くことで物の立体感や色の変化を表現
【両隈】
両側を濃く描くことで物の輪郭を強調
【内脈】
線の中央に濃い中心線の濃淡を入れる
【擢筆】
穂で紙を叩くようにして打つ
【割り筆】
水量を少な目にして、穂先を捻じってバラバラにして素早い運筆で表現
【直筆】
穂先が線の中央を通るようにする
【側筆】
筆の腹を使って描く
【潤筆】
穂に含ませる水の量を多くしてゆっくりと運筆する
【渇筆】
穂に含ませる水の量を少なくして素早く運筆する方法
【刷筆】
穂の腹を使ってこするように描く
【心字点】
絵全体の調子を整えるために打つ点
漁樵の間
[ぎょしょうのま]
室内はすべて純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられ、彩色木彫と日本画に囲まれた絢爛豪華な部屋。
四君子
水墨画の基本的技法である四君子。百段階段をはじめ、旧目黒雅叙園の美術工芸品にも多く用いられています。映画では大学に水墨画サークルが発足、そのレッスンシーンで登場した作品をはじめ、小林東雲氏による四君子以外の吉祥植物の作品や、原作者である砥上裕將氏の作品も展示。
四君子
水墨画の世界では、花や常緑の植物などの画材は画家が好んで描く対象のひとつです。
その中で、松、竹、梅は「歳寒三友」と呼ばれています。松と竹は霜や雪の中でも葉が青々としていますし、梅は寒風の中で毅然として花を咲かせるなど、冬の寒さを恐れないものとされています。とりわけ書画で自分の心の思いを表現し伝えようとする文人たちにとっては、松、竹、梅は擬人化され、それらが同一画面に一緒に描かれたり、ひとつだけで描かれたりするとき、作家や創作する時の心境によって、その中にこめられる意味は異なっています。後に、梅と竹は、菊と蘭とともに「四君子」という画題になりました。
君子とは、人柄やおこないの立派な、道徳と修養をそなえた知識人のことを言います。
古い絵画の中の「四君子」とは、梅、蘭、竹、菊の四種類の植物のことで、これらに画家が特別な心情をよせていたことがわります。
四君子の描き方の中には基本的な筆づかいが凝縮されていて、これらを学ぶことで水墨画の基本描法を習得することができるのです。
[竹] たおやかで、張りがある表現
[蘭] しなやかで、やさしい表現
[梅] 力強く、すがすがしい表現
[菊] 気高く、かぐわしい表現
クレマチス/砥上裕將
菊(水墨画サークル手本)(劇中登場作品)
菊 青山霜介(劇中登場作品)
菊図/小林東雲
竹(水墨画サークル手本)(劇中登場作品)
牽牛花と竹/小林東雲
雪竹と風竹/小林東雲
梅(水墨画サークル手本)(劇中登場作品)
蘭(水墨画サークル手本)(劇中登場作品)
吉祥植物 松竹梅/小林東雲
吉祥植物 牡丹/小林東雲
吉祥植物 菖蒲と桜/小林東雲
草丘の間
[そうきゅうのま]
格天井、欄間に礒部草丘の四季草花絵、瑞雲に煙る松原の風景が書かれ、障子建具が手の込んだ面越組子の部屋。
師の教え
霜介と師匠となる湖山との出会いのシーンとなる湖山揮毫の作品、そしてドラマチックな演出で描かれる湖峰の揮毫作品が一堂に会する会場です。
[左]龍図/篠田湖峰(劇中登場作品)
[右]鷹図/篠田湖山(劇中登場作品)
悲母観音菩薩図/小林東雲
Fairy /小林東雲
風神雷神/小林東雲
静水の間
[せいすいのま]
天井や欄間が橋本静水に描かれ、格天井の秋田杉には池上秀畝の鳳凰・舞鶴、欄間四方には小山大月の金箔押地秋草が描かれた部屋。
原作の世界
砥上裕將氏の原作『線は、僕を描く』。 静水の間、星光の間は自身も水墨画家である砥上氏の作品とともにご覧いただきます。
『線は、僕を描く』あらすじ
墨と水。そして筆だけで森羅万象を描き出そうという試み、水墨画。
深い喪失の中にあった大学生の青山霜介は、巨匠・篠田湖山と出会い、水墨画の道を歩み始める。湖山の孫娘・千瑛ら同門の先輩をはじめ、素晴らしい絵師との触れ合いを通し、やがて霜介は命の本質へと迫っていく。第59回メフィスト賞受賞作。 (講談社文庫版『線は、僕を描く』より)
砥上裕將(とがみ・ひろまさ)
1984(昭和59)年生まれ。福岡県出身。水墨画家。
『線は、僕を描く』で第59回メフィスト賞を受賞しデビュー。同作品で、ブランチBOOK大賞2019受賞。
2020年本屋大賞第3位に選出された。近著は、新人視能訓練士の成長を描く『7.5グラムの奇跡』(講談社)。
春蘭/砥上裕將
薔薇図/砥上裕將
星光の間
[せいこうのま]
奥の間の床柱は北山杉天然絞丸太で、次の間の床柱は槇出節、両室とも格天井・欄間いっぱいに板倉星光の四季草花が描かれた部屋。
森羅万象
砥上裕將氏による原作及び、水墨画監修、漫画を堀内厚徳氏によるコミックス版『線は、僕を描く』この会場では、砥上氏の作品とともにコミックスの名シーンもご覧いただきます。
葡萄図/砥上裕將
コミックスシーンとともに
山葡萄図/砥上裕將
菊図/砥上裕將
清方の間
[きよかたのま]
美人画の大家、鏑木清方が愛着をもって造った落ち着いた静かな茶室風の部屋。
霜介の椿
劇中の随所に登場する、湖山のアトリエを再現。
湖山のアトリエ
頂上の間
[ちょうじょうのま]
天井画は松岡映丘門下の作品です。前室、本間ともに格天井で、本間の床柱は黒柿の銘木を使用した部屋。
線は、僕を描く
特製掛軸型のモニター
映画『線は、僕を描く』
大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。
白と黒だけで表現された「水墨画」が霜介の前に色鮮やかに拡がる。
深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、変わる。
巨匠・篠田湖山に声をかけられ「水墨画」を学び始める霜介。
「水墨画」は筆先から生み出す「線」のみで描かれる芸術。
描くのは「命」。
霜介は初めての「水墨画」に戸惑いながらもその世界に魅了されていく―
[キャスト]
横浜 流星
清原 果耶 細田 佳央太 河合 優実
矢島 健一 夙川アトム 井上 想良 / 富田 靖子
江口 洋介 / 三浦 友和
2022年10月21日(金)全国東宝系にて公開
砥上 裕將/講談社 2022映画「線は、 僕を描く」製作委員会
[URL]https://senboku-movie.jp/
[Twitter]https://twitter.com/senboku_movie
[Instagram]https://www.instagram.com/senboku_movie/