【東出忠昌】ロマンがないと面白くない! 独自のアイデアで立案・問題解決。オフィスにバーカウンター設置[神田明神]
オタクなんですよ。と爽やかに笑いながら、大手企業の新規事業戦略立案や社会問題の取り組みを語る東出忠昌さん。
東出さんは、秋葉原にオフィスを構える株式会社アルコバレーノの代表取締役を務め大手企業やメガベンチャーの新規事業戦略やDX戦略、事業立案からプロジェクトマネジメントまでを行うほか、もう1社代表取締役を務め、取締役1社、社外取締役5社、NPO理事1社、社団法人理事2社、顧問1社とご本人も数えながらでないとわからなくなるほど幅広い活動を行っています。
そんな東出さんは、オフィスに1日1組限定のバーカウンターを設置。面白い企画が生み出されています。社会問題への取り組みや「ロマンだから」と言って、今取り組んでいる神田明神とのコラボ企画をご紹介します。
新たな企画立案、問題解決のために東出さんとつながってみませんか。
熱気を体感
──神田明神とのはじまりを教えてください
4年ぶりの神田祭を開催する頃、神田明神禰宜の岸川さんをご紹介頂きました。新型コロナウイルス感染拡大防止の規制が解除となっても、全国の神社さんでは夏祭りを開催していいのか?どのように開催するのが良いかわからないという不安を多く聞くと伺いました。それでは神田祭という大きな祭礼が全国的にも早い時期に行われるから、神田祭にあわせて行政、医療関係者、開催・運営する関係者でトークイベントを開催しませんかとお話ししたんですよね。
民間初のワクチンパスポート(ワクパス)の責任者をやらせていただいていた関係もあって、東京都医師会の尾﨑治夫会長に声がけさせていただき、小池百合子都知事、樋口高顕千代田区長、山本泰人中央区長、千代田区観光協会の藤井隆太会長のほか、知人でもある島谷ひとみさんにお越しいただき、ここを気をつければお祭りを開催して良いんだよというメッセージを発信するトークイベントを開催したんです。
このイベントが神田明神さんとご一緒させていただくきっかけでしたね。
──神田祭はいかがでしたか
神輿を見たことはあったんですけれど、神田明神に来て見るということは初めてだったので、感情の高ぶりを覚えました。担ぎ手たちの熱気が凄まじくて、このために生きているんじゃないかと思えるぐらい凄かったです。
私は身長(約190㎝)が高すぎて神輿を担ぐと負荷かがかかりすぎちゃって担げないんですよ。あの熱気を体感するとすごく羨ましく思いましたね。
純粋にオタク
──東出さんの業務について教えてください
株式会社アルコバレーノの代表取締役を務めさせていただいています。当社はコンサルファームで、大手や外資系コンサルファームで多くの実績を積み上げてきた10名程の精鋭たちと、大企業やメガベンチャーの新規事業戦略やDX戦略、事業戦略の立案からそのプロジェクトマネジメントまで、幅広くご支援するというポリシーのもと活動しています。
私個人で言いますと、さまざまなスタートアップ企業の取締役や社外取締役も何社か務めさせていただいております。特に社会問題。例えば廃棄の問題とか、セカンドキャリアが無い職種の人を支援する会社の社外取締役を複数社やらせていただいています。
ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が創業者の、グラミン銀行というバングラデシュの銀行なんですが、貧困支援のための銀行で、そこの日本法人の顧問もやらせていただいています。ライフワークとして貧困支援を現場で活動しています。
──趣味や興味のあることを教えてください
純粋にオタクです。小さい頃からアニメ、漫画、ゲームが大好きというインドアな子でしたが、小学校1年から大学卒業までずっと剣道もやっていていました。
あとは、“宗教”も大好きですね。
特定の信仰があるわけではないんですけれど、神道だったり、仏教だったり、キリスト教だったりと、新しいものからトラディショナルなものまで、さまざまな宗教団体の方と会話をするのが大好きです。
神職とかお坊さんとか教団職員の方とかと話しをして、例えば、LGBTQについてどう考えているのかとか、AIについてどう思っているのかとか。そういう話をみんなで飲みながら話すのが趣味ですね。
環境が大事
──オフィスは秋葉原ですね
オタクなので(笑)。
もともとは大手のコンサルファームに勤めていて、その後ベンチャーファームの立ち上げなどもしていたのですが、5年前に独立をしたんです。
最初は神保町に小さいオフィスを借りたんですが、やはり夢は秋葉原だったんです。
仕事柄、他社さんは、六本木や丸の内なんかが多いのですが、“やぁもうオタクなので” ただその一念だけで秋葉原にしましたね。
当社メンバーからは、なんでこんな場所に…と、顰蹙を買っています。笑
神田明神さんには昔から定期的に参拝していたので、いろいろとご一緒できるのは嬉しい限りです。
──オフィスにバーカウンターがありますよね
オフィスに1日1組だけ来ていただいてお酒を出しながらお話をするバーカウンターを作ったんです。
コンサルタントとして、様々な企業の経営レベルにまで入り込んでご支援をさせて頂くにあたり、会議室でちゃんとした格好で話をしていると、出てこないものもあるんです。
賛否両論のアイデアだったり、実は言語化出来ていないだけだった本心だったり。
そういったものが出せる場所は、少人数で、肩の力が抜けた状態で、自分の思っていたことが恥ずかしくなく発露できる場所だと考えているんです。そういった環境が大事だと思ってバーカウンターを活用していますね。
そこでは、徹底してバーのマスターをしています。笑
ロマンだから
──神田明神とコラボ企画が進行中とのことですが
とある有名な漫画の作者の先生と弊社のメンバーが仲良くさせていただいていて。飲みながらお話しをしていた時に、その漫画が誕生から50年経っていることもあって、何かフィギュアとか限定のものを作りたい。神田明神さんとコラボしてオリジナルデザインのフィギュアを作ろう、という話になったんですよね。
だた、それを作って売るっていうだけじゃ面白くないよねと。ならば、1本の木から1体を掘り上げる最高級品のオリジナルデザインを限定で作りましょうと楽しい話になりました。
富山県に井波彫刻という彫刻のプロフェッショナル集団がいるんですけれど、今、その彫刻家の方々とオリジナルデザインのラフを作成いただいているところで、神田明神さんと漫画のコラボ企画が進行中です。
──1本の木からですか
最初にCADとかで造形して形状や強度の問題など調整するんです。どうしても強度・安全性を考えると加工して組み合わせたほうが良いと井波の方にも言われて、皆さんにもそうしようと言われていたんですけれど。
それは、絶対嫌だ!それはロマンだから。1本木がロマンだ!って言い張って1本の木から彫刻する方法になりましたね。さすがに、みんな「はぁー」って呆れている感じもありましたね。笑
ロマンがないと面白いものって出来ないかなと思うので、ここだけはこだわっていきたいですね。
幸せのサイクルを構築
──最近取り組んでいる業務を教えてください
当社が新規事業の一環として、福島県大熊町の震災復興のご支援をやらせていただいています。
福島第一原発があるところで、震災から10年経って、ようやく復興が始まったんですよ。ある時、町役場の方と話していると、工場も誘致できて企業もたくさん入ってくるんですけれど、町として移り住んでくれる住人が増えないのが課題なんだと。家族ができて、子どもが生まれて、町で育ってというサイクルが戻らないと復興には程遠いよねと。何かないかな?って飲みながら話していたんですよ。
私はグラミン銀行で格闘家になりたい人たちの支援を一時期プロボノでしていまして。新型コロナウイルス感染拡大防止の時に興行や試合ができなくなったんですよね。ジムでの仕事や警備関係の業務も無くなって、このままだと自分のキャリアも年齢的にも厳しいという相談を受けていたんです。なので、毎日、私のオフィスに来て貰って、2週間。ずっとコンサル教育をしたんです。ある程度基礎動作が出来るようになったら、知り合いのコンサルファームやスタートアップに紹介料なんていらないから働かせてやってくれと言って紹介をする活動をやっていたんです。
その活動経験があったので、格闘家の方々を大熊町に移住していただいて、その方々が農業とかシステムの保守運用とかをしながら格闘技を頑張って、強くなったら東京とかでも活躍。そろそろ引退だなと思ったら、また福島に戻ってきて、農業とかシステムの保守運用をやるってサイクルいいんじゃないですかって話したら、すごく面白い!やりましょうということで動いています。
──今後取り組んでみたい業務はありますか
一生懸命生きてきたけれど、自分のキャリアが思うように描けない方々ってたくさんいらっしゃいます。そういった方々がデジタルでキャリアを描けるようなBPOサービスを立ち上げたいねっていう話しをしています。
少し具体的に話すと、例えば、ナイトワーカーと呼ばれる夜の仕事をされている方々もどこかのタイミングで昼間の仕事に移行したいと思うことも多くあります。いきなり昼間の仕事に転職してしまうと年収がガクンと下がっちゃってまた夜の仕事に戻ってしまうという負のスパイラルみたいなのがあるんです。ならば、夜間帯のシステム管理業務を行うんです。そこでスキルを磨いて段階的に昼間の業務に移行するのが良いのではないかという話です。
デジタル業務であれば、車いす生活の方も在宅ワークでパフォーマンスが変わらないんですよ。障がいを持っているお子さんがいらっしゃる親御さんは、お子さんにつきっきりになって世界が狭くなってきちゃうことが多くあります。数時間でもいいからデジタル業務を通して社会とのつながりを持つことも幸せのスパイラルになるかなと考えてサービスを作っています。
戦っている人を応援
──今後どのような方と仕事したいですか
ご本人が強烈な問題意識があるとか、何とかしたいとか、本当に困っているという方と仕事がしたいと思っています。戦う人って、かっこいいじゃないですか。そういう人を支援したいです。
私が自信を持って誇れるのは、周りにどの領域でも優秀な人材が自社他社関わらず揃っていることです。こんなことしたいなとか、こんな難しいもの誰ができるんだろうって状態でもご相談いただければ意外となんとかできる気がしています。
──伝統工芸技術の継承の相談は可能ですか
もちろんです!その場合は、あなたはどうしたいの?ということを問いますね。
担い手があった方がいい。では、その時どのポジションになりたいのか。どう変えたいのか。本気で変えていきたいのであれば微力ながらお手伝いします。
不退転の覚悟じゃないですけれど、そこまでの覚悟がないと飲み屋での愚痴になってしまうと思うんですよね。
おわりに
オフィスのバーカウンターにはどのような方がいらっしゃるんですか?と伺ったところ、「大臣から無職までって言っているんですよ。さまざまな方が来ていただけるんですけれど、ここだけの話っていう話も持ってきてくれるんですよ。当然、墓場まで持っていくという話ばかりですね。笑」と。話せる環境を整えたから人が集まってくるのではなく、そこには、東出さんがいるからではないでしょうか。つながりには「人間味」が大事ですね。
「これは他にない面白い企画だけれどな」「この問題解決したいけれど方法が」と思いのある方、ぜひ、東出さんと肩肘はらずに話して解決の糸口を見つけてください。
お問い合わせフォームよりご連絡お待ちしています。