【伊藤翼】新しい可能性を創出! 秋葉原を使用した“リアルプロモーション”実施、新世代のプロレス仕掛け人[神田明神]
人々とコンテンツをつなぎ新しい可能性を創出する“株式会社コラボ総研”の代表取締役 伊藤翼さん。
伊藤さんは、現場での感覚を大切にした“リアルプロモーション”を数多く実施。国内に限らず、世界的規模で、アニメ、漫画、ゲーム、音楽、ファション、アイドルなど 趣味文化 “秋葉原カルチャー” を活用した事業を展開しています。また、新世代のプロレス仕掛け人と言われるほど、プロレスを知らない人にプロレスを知ってもらう仕掛けを行っています。
そんな伊藤さんは、5歳にして挫折感を味わいその後の経験が今の事業に大きく関係したそうです。今の事業につながる経験、流行の前を歩く見極め力をご紹介。神田明神とのコラボ企画もお届けします。
神田明神とコラボ
──神田明神とのはじまりを教えてください
『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』という、現実に存在する科学的事象を物語の骨格として組み込んだSFサスペンス作品「科学アドベンチャーシリーズ」の第2弾として、2009年10月に発売されたゲームがあるんです。テレビアニメ化、劇場アニメ化に加えて、舞台化、コミカライズ、ノベライズ、続編ゲームの発売など様々なメディアミックス展開されている作品なんですけれど、そのシュタインズ・ゲートのスタートとなるXbox360ゲームの発売前からプロモーションに関わらせていただきました。秋葉原を舞台にしている作品なので宣伝用に外観や名称の使用許諾をとったり、“新聞の一面ジャック”と言われるようなプロモーションを行っていました。
神田明神さんとは、ARスタンプラリーでのコラボや、節分の豆まきにシュタインズ・ゲートのヒロイン牧瀬紅莉栖の声優の今井麻美さんをアテンドするなどが始まりですかね。その後、続編となる『STEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ)』アニメ化のタイミングで神田明神の資料館でシュタインズ・ゲート ゼロのパネルと秋葉原の文化・歴史を振り返る展示を行い、トークイベントも開催しました。
時を同じくして、初代タイガーマスクとのコラボお守りも制作させていただいて、今、4種類目なんですよ。
──神田明神でプロレスイベントも開催していますよね
秋葉原にあるゲーム会社の株式会社アクワイアが発売した『AKIBA’S TRIP(アキバズトリップ)』という、秋葉原を舞台にしたゲームがあるんです。その宣伝まわりをお手伝いすることになって、打ち合わせの中で “成功祈願をやりたい” という話があったんです。普通に成功祈願をやるだけでは面白くないと思って、神田明神境内の明神会館内にプロレスのリングを組んで、成功祈願の奉納試合を行いました。
アキバズトリップはアキバストリップとも読めて、ざっくりとした説明ですが“町にいる吸血鬼の女の子の服を脱がして日光に当てて倒す” というゲームなので、奉納試合でも女子レスラーにマジックテープを使った脱がしやすい衣装を着てもらいリアルアキバズトリップマッチにしました。由緒ある神社でこのような奉納試合が開催できたのは大変ありがたかったです。
仕掛け人
──伊藤さんの業務について教えてください
株式会社コラボ総研は、18年前に僕が立ち上げた会社です。アニメやゲームのプロモーションやブランディング、秋葉原の街全体を使った秋葉原ジャック企画のようなリアルプロモーションを行っていく会社で、コロナ前はサンリオピューロランドやジョイポリス、閉園前のとしまえんなどでも年間100本くらいのイベント企画・運営をさせていただいていました。また、豊島区や中野区、地方自治体と連携してイベントを行っています。
さらに、プロレス格闘技メディア「バトル・ニュース」も運営しており、僕自身も記者として執筆・運営を行っています。その繋がりで、プロレスラーさんを使ったイベントも数多くやらせていただいていますね。
個人としては、2.5次元舞台の株式会社Office ENDLESS(オフィスエンドレス)やアパレルメーカーなどの顧問を複数社やっています。基本的にはコラボ総研がやっていることと同じで、異なる業種同士の仲介役。調整や交渉、ブランディングをやっている感じですね。
──新世代のプロレス仕掛け人って言われていますね
“初代タイガーマスク“佐山サトルは、”昭和の過激な仕掛人”新間寿が作り上げたもの。新日本プロレスでその後を継いだと言われているのが、弊社バトル・ニュースの編集長、ゴマシオ親父こと“平成の仕掛け人”永島勝司です。バトル・ニュースの関係もあり、僕がサンリオピューロランドでのプロレスや山手線一周プロレス、選手をバットマンの舞台に出演させるとか仕掛けてきました。
今までのプロレス仕掛人ってプロレス界をどう広げていくかというものを仕掛けていたんですけど、僕は、インターネット・SNS社会で趣味が多様化し、プロレスの知名度が低くなっている中で、プロレスを知らない人にプロレスをどう知ってもらうかという仕掛けをやっているんです。プロレス界の外に向けた新しい仕掛けを一番やっているのが僕になると思うので、そう言われているんだと思います。
つながる経験
──幼少時代から多くの経験をされているそうですが
実は、僕の仕事のベースは2歳から始まっているんです。2歳から英才教育を受けて、週5〜6で塾に行っていました。幼稚園に入ってからも変わらず教育を受け続けていると、5歳の段階で “僕は選ばれし者なんだ” と厨二病を発症して、小学校受験で見事に全て失敗。周りから受けていた期待が一気にさーっと引いていくのを感じました。5歳で絶望と挫折というものを味わいました・・・。その後、小学生時代も塾漬けの毎日で中学受験は無事合格したのですが、12歳で人生の8割をかけていたものが終わりを告げ、ゴールを感じて燃え尽きていました。
学校に通ってみると、表参道にある学校だったせいか金銭感覚のズレや価値観の相違を感じました。
でもある時、お金のある人たちのお金の使い方や流行の移り変わりを生で見られる機会なんだと気がついたんです。そんな折、礼拝の時間のOBによる講義で「君たちは高度経済成長期の中で事業が大きくなっていったのと同じように、デジタルの世界の成長期をリアルに体感できる世代だ。ちょうどポケベルから携帯になって3和音になって。またパソコンが誰も持っていない時代から95になって98になって。移り変わりというものを体験できるんだから、それは本当にビジネスとしても貴重な経験だから、その経験を大切にした方がいい」という話を聞いて、すごく印象に残りましたね。
そこから、流行ったものを後追いするのではなく作り上げる、または流行っているものがメディアにのって世間にどう広がっていくか。口コミで広げていくのか。お金を持っている人がどうやって使っていくか。を意識して見て体感していました。
その経験が、今私が行っているリアルプロモーションにつながっていると思います。
──常に流行の前を歩いていますよね
そうなることが多いんですよ。秋葉原ARというものを、2013年にNTTさんと共同で作ったんです。ただARが流行ったのが2015年以降で、実証実験レベルでのお付き合いをさせていただいた感じでしたね。うちの会社って実証実験に関わることが本当に多くて、今で言うとVRとかメタバースとかもです。コロナ禍では、2020年3月に緊急事態宣言が出た後の5月に、コラボ総研、2.5次元舞台のオフィスエンドレス、チケットペイのメタップスペイメント、zoom日本支社と組んで『ファンキャス』という配信制作プラットフォームを作っていました。
これからこれ流行るからこれをやろうっていう部分のスタートは、おそらく他社よりかなり早いと思います。
アニメ作品とかも “ビッグタイトルに関わっていますね” ってよく言われることが多いんですけれど、関わった段階ではビックじゃないことや、最初だけ関わっているから実は違うんだよっていうことの方が多いですね。流行っちゃうとそこからは大手プロモーション会社がやるようになるので(苦笑)
そういった面では、状況や予測を鑑みて、見極める力というものを学生時代からずっと鍛えていたおかげです。
──リアルイベント開催で注意していることはありますか
僕は、流行っていないものを流行らせる事を考えてやっていますが、流行っているものを安定して行っていくという事も大切にしています。現場でやってきたからこそ見えるリスクを事前にどう減らしていくかを考えていますね。なので秋葉原ジャックは、街全体で人がどう動くかどこのタイミングで人が食事をして休憩するか。ここに人が集まるから、ノベルティを多めに用意しておくとか。街の位置関係とかコラボするキャラクターによって配置を考え、現場を知っているからこそできる準備をしています。
あとは商店街さんの日常を守らないといけないと思っています。
イベント開催時に対応する従業員やバイトの負担を軽減する方法とか、店舗内が混乱しないように分散させるルート作りとか、『参加者がたくさんくれば街が盛り上がるでしょう?』という押し付けた考えでプランニングはしていません。
僕は基本的には怒られたくない。5歳でめちゃくちゃ苦い思いをしたので。おそらくトラウマとして植え付けられていますね。笑
面白いものを
──今後どのような方とお仕事したいですか
面白いと思えるものをやっていきたいですね。例えば、インターネット広告みたいなものは、ネット広告制作会社さんにお願いすればいいと思っていて、インターネット広告でもTikTokで面白い動画を作りましょうみたいに、ちょっと違うものをワンクッション入れられる遊びを持った方々とぜひお仕事をご一緒させていただきたいです。
あとは、すれすれな部分を攻めても会議で怒らない。実際にやるかは置いておいて、会議の場ではすごく尖った突飛なものと真面目なもの両方言うので、そこで引かない方が良いです。
ただ、コロナ後は面白いだけでビジネス感をまるっと無くしたイベントも多くなってきているので、予算の面では苦労しない形でお仕事ができる所とご一緒したいなと思います。
そう言った部分で、プロレスはリングを作ることによって少し離れても見られるし、見映えも良いし、実はステージ作って音響、照明をセッティングしてというより総合的に安く運営できるんです。
──合理的で効率化も大事なんですね
そこのマインドを理解していただける方とお仕事という部分ではご一緒していきたいと思いますね。新しいものをやっていきたい、面白いものをやっていきたい。そこに関しては職種を問わないので、自治体さんとも地下アイドルの方々とも飲食もありますし。秋葉原のゴーゴーカレーコラボは、弊社が1番多くやっている案件です。コラボカレーとかは、ほぼ僕らが作っています。ゴーゴーカレー中央通りの上の壁面広告を管理させていただいていて、昭和通り口のお店と中央通店のコラボがセットでついてくるんですよ。
秋葉原ジャックをやっている中でゴーゴーカレー秋葉原店オーナーとも仲良くなって、その経験はピューロランドイベントでのコラボメニュー開発にも役立ちましたね。
おわりに
伊藤さんは知識欲が高く、知らない事を知りたいというのが強いらしいです。
今後予定している事を伺ったところ、「コラボ総研を立ち上げたころから“47都道府県のなにがしと仕事をしたい”という思いがあって、関わればより深く知ることになり現地でしかわからない事も知れるのかなと。」知識欲を満たせるか期待しているそうでした。
新しい事を知った先には、新たなコラボが生まれてきそうですね。
ただ「やったことのない事を成功させる」には、アイデアだけではなく繊細な構築や準備が必要だと考えさせられました。様々な経験をされてきた伊藤さんだからこそなせる事なんだと思います。
ぜひ「面白いビジネス」やって見ましょう。お問い合わせフォームよりご連絡お待ち申し上げます。