【NEWS】超話題作『紫苑物語』が満を持して登場!「巣ごもりシアター」無料配信[新国立劇場]
この記事の目次
私の人生を射抜くのは魔の矢か…
石川淳の骨太の美学をオペラ化
新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
『紫苑物語』(1956 年発表)は昭和を代表する作家・石川淳が平安王朝期に舞台をとって書いた小説で、歌の家に生まれた国司の宗頼が歌を捨て弓の道を見出し、己の鏡ともいうべき仏師・平太と出会い、その仏を射ると岩山もろとも崩落するという物語。簡潔な文体の象徴的な短編に、石川淳ならではのダイナミズム、壮大な世界観が満ちています。
迷いながら自己克服をしていく主人公・宗頼、裏切りの野心に燃える藤内、情欲と権力欲の象徴うつろ姫、実は狐の化身である謎の女・千草、父や叔父との確執、そして乗り越えざるを得ない自己の鏡である平太といったキャラクターの人物造形、さらに岩山の崩落という大スペクタクル、崩壊の後に残る“鬼の歌”、殺戮の後に咲く紫苑(“忘れな草”)と桃源郷に咲く“忘れ草”といった印象的なシーン――『紫苑物語』はいにしえの日本を舞台としながらも、世界へ発信するオペラの題材にうってつけの今日性と普遍性を持ちます。幻想的な異界と現実世界が交錯する物語は、オペラでこそ表現できるもの。
スピーディーで求心力に満ちた音楽劇は、観客の心を捉え、一瞬の隙もなく終結まで導きます。
新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
劇場をイリュージョンに包む
世界屈指のクリエイターが新作オペラ『紫苑物語』に集結
新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
世界的指揮者であり、欧米オペラ界の最前線で活躍している大野和士が新国立劇場のオペラ芸術監督に就任した際、最初の柱として掲げたのが、日本人作曲家の新作オペラの世界発信でした。その第1弾として企画されたのが『紫苑物語』。日本を代表する現代音楽の作曲家・西村朗、西村と長く共同作業をしている詩人の佐々木幹郎(台本)、三島由紀夫の最後の弟子として昭和期の文化の真っただ中を生き、渡欧後はピーター・ブルックらと世界で活躍、東西の芸術に通じた俳優、演出家として活躍する笈田ヨシとの激しい共同作業によりオペラ『紫苑物語』が誕生しました。
クリエイターチームには、キリアンやフォーサイスのデザインを経て欧州各地の舞台美術で活躍するトム・シェンク、あの『ライオンキング』でトニー賞を受賞し、世界の一流劇場の話題作の数々を手掛けているリチャード・ハドソン、写真家出身で世界的アートイベントのライティングで活躍する照明家ルッツ・デッペが集まりました。精神的葛藤や暴力的な衝動、官能、崩壊、鎮魂と象徴的なシーンが次々展開する幻想的な舞台は、まさにイリュージョンです。
新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
超絶技巧を駆使した音楽
大野和士のもと、高度な音楽表現に世界が驚嘆
新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
作曲した西村自ら「猛烈なアリア」「ヴィルトゥオージティ(達人的技巧)を限界まで見せる」と述べた『紫苑物語』は、コロラトゥーラ(速く装飾的な旋律)はもちろん、複雑な跳躍、巻き舌や子音を強調した発語等、最高難度の声楽テクニックが必要とされる、難作品でもありました。
ドイツ・キール歌劇場専属歌手として活躍する髙田智宏、美声と感情表現に定評あるソプラノ臼木あい、 日本を代表するメゾソプラノとして躍進中の清水華澄、日本のトップ・テノールの村上敏明ら日本を代表する歌手たちが『紫苑物語』に集結。難作品と文字通り汗にまみれて格闘し、克服しました。ソリストのみならず、エネルギッシュに、幻想的に舞台を彩った新国立劇場合唱団、俳優としてダンサーとして黒子として笈田ヨシの美学を表現した助演俳優達、そしてオーケストラピットで躍動感に満ちた演奏を聴かせた東京都交響楽団の演奏に、取材に訪れた欧米のメディアも驚嘆し、「霊感に満ちた演奏」「あっという間に時間が過ぎ、心揺さぶられる」「大音響のシーンもあれば静かに思索に満ちたシーンもある」「音楽と演出、聴覚と視覚、物語と表現の高度な融合」と絶賛されました。
国内外の数々の賞を受賞!
『紫苑物語』は数々の賞を受賞し、日本を代表する音楽雑誌「音楽の友」誌の年間コンサート・ベストテン第8位にランクイン、台本を手掛けた佐々木幹郎氏は第1回「大岡信賞」受賞、そしてロンドンに事務局を置き世界のオペラの功績を表彰する「International Opera Awards」の2020年World Premiere(新作)部門のファイナリストに選出されました(受賞作発表は2020年9月)。
文字通り、音楽界を超え、国内外から評価された世界的話題作です。
オペラ『紫苑物語』ゲネプロダイジェスト映像
巣ごもりシアター オペラ『紫苑物語』
新国立劇場創作委嘱作品・世界初演
(2019年2月24日上演)
[配信日程]5月22日(金)15:00~5月29日(金)14:00
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/sugomori-asters/
全2幕 日本語上演/日本語字幕付
[原作]石川 淳 [台本]佐々木幹郎 [作曲]西村朗
[指揮]大野和士 [演出]笈田ヨシ
[出演]髙田智宏、大沼 徹、清水華澄、臼木あい、村上敏明、河野克典、小山陽二郎 ほか
[合唱]新国立劇場合唱団 [管弦楽]東京都交響楽団
[英語版『紫苑物語』]
https://www.nntt.jac.go.jp/english/productions/opera/project/nntt-at-home-asters.html
※巣ごもりシアター『紫苑物語』は、日本語版視聴サイトでは日本語字幕付き、英語版視聴サイトでは英語字幕付きで配信します。
[新国立劇場「巣ごもりシアター」]
https://www.nntt.jac.go.jp/sugomori/
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新国立劇場
新国立劇場は、 日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場として、オペラ、 バレエ、 ダンス、 演劇の公演の制作・上演や、 芸術家の研修等の事業を行っています。
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[新国立劇場公式YouTubeチャンネル]
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