【まんじゅう大帝国】夢を実らせる!? りんご農家を舞台に息子と父の物語。映画「実りゆく」[インタビュー]
まんじゅう大帝国
[竹内 一希](左)
生年月日:1994年4月27日
出身地:東京都
日本大学藝術学部落語研究会
第12回、13回全日本落語選手権
「策伝大賞」決勝選出 岐阜市長賞受賞
第7回てんしき杯学生落語トーナメント 準優勝
[田中 永真](右)
生年月日:1993年3月30日
出身地:北海道
東京理科大学落語研究会
第5回てんしき杯学生落語トーナメント 優勝
未完成映画予告大賞に受賞
ーー未完成映画予告編大賞の応募作品への思い。また、受賞した時の気持ちを教えてください。
[竹内一希]
マネージャーである八木さんには、“映画を撮りたい”というひとつの夢がありまして、応募用作品を作りたいから手伝ってほしいと言われたので、夢実現のため、応援の意味も込めて協力しました。
グランプリを受賞すると実際に映画制作ができちゃうコンテストだったので、「八木さん。がんばれ!」って感じでした。
結果が発表される時は、発表の時間に合わせて“出るか、出るかっ!”とサイトの更新を待っていました。残念ながらグランプリは別の作品でした。“あぁグランプリ逃したかぁ” って思っていたら、審査員である堤幸彦監督の「審査員賞 堤幸彦賞」を受賞していたんです。
“きた!八木さんやった!これなんかあるっしょ。よかったなぁ。” って嬉しさと共にほっとしました。
他の作品はどうなっているだろうって見ていたら、男優賞に竹内って自分の名前と顔が出ていたんですよ。“お?!俺も何かもらっている。どうしよう。どうしよう。” って不安になって、すぐ相方に「なんか賞をもらっちゃいました」ってLINEしました。
[田中永真]
そうなんですよ。“受賞した” っていう連絡が届いたんです。思わず、“こわっ” って思いましたね。嘘かもしれないから、一度見なかった事にして、気が付かないふりしていろって言いましたね。笑
マネージャーであり監督
ーー映画化が決まって、本作への出演はどのように伝えられましたか。
[田中永真]
ちゃんとした連絡なかったよね。
[竹内一希]
ないんですよ。ふわっとしているんですよ。
[田中永真]
「まぁまぁ…。二人はそのまま出演ですけれど…。」
「いやいや、そんな訳ないでしょう。」
「いや、まあまあ…。」
って、ふわっとしたやり取りのまま、“スケジュール決まりました”って見てみると映画の予定が入っているんですよ。その時に、本当だったんだって気がつきました。
僕らのスケジュール押さえるのが早いんですよ。マネージャさんなんで。
[竹内一希]
そうなんです。確認する相手が自分なんでね。笑
ーー監督としての八木さんはいかがでしたか。
[竹内一希]
監督って、演者からしたら一番緊張する相手だと思うんですよね。
その人が、僕らからしたら一番知っている人なので「ここ分からないです」とか「ちょっとできないです」って、監督に弱音を吐けるんです。
すごく楽な気持ちで撮影に取り組めました。
[田中永真]
僕も同じで、「わからないんすけれど」「できていましたー?」とか「どうやればいいっすか」って、気軽に聞ける関係のまま撮影できたので、すごくやりやすかったですね。
だからこそ、演じる部分で出来る事も増えていきました。
舞台は長野県松川町のりんご農家
ーー現地に行かれてみていかがでしたか。
[竹内一希]
僕はずっと東京なので。「自然だなー」「空間が広いな!」って思いましたね。
東京にいるとあまり土を踏まないじゃないですか。“土だ!ぬかるみだ!” って、テンション上がって楽しかったです。
あと、夜が真っ暗なのもびっくりしました。
ある夜、玄関から出て建物の裏に停めてある車まで行こうとしたら迷子になりましたね。声かけられても、真っ暗で何も見えないんですよ。笑
地元の方は真っ暗でも平気らしいです。
[田中永真]
みんな早く寝ているから暗くても気にならないし、問題ないんだろうね。10時、11時には寝ていたね。
僕は出身が北海道なので牧草地とかは見ていたけれど、一面に果樹園がある景色は見たことがなくて、「おー果樹園!長野県きたー!」って気持ちが高ぶりましたね。
ーー撮影に入る前にりんご農家で研修されましたが、いかがでしたか。
[竹内一希]
農作業の効率の良さにびっくりしました。
朝7時くらいに仕事が始まるんですけれど、のってきたなぁって頃に「お茶にするよ!」って言われて、まだ出来るけれどなぁって思いながら休憩するんです。そして、また作業始めてしばらくすると「お昼にするよー」っていう感じに、集中していてまだ出来るよってところで休憩になるんです。続けて作業するのが2時間とか3時間くらいですけれど、これがとても作業効率が良いんですよ。
“疲れたなぁ” とか “やだなぁ” とか思う事もなく毎日続けられるんです。
このシステムは誰が考えたんだ!?先人たちの知恵なのか!?と驚き考えさせられました。
感情をぶつけるシーン
ーー竹内さん演じる “実” が、台風の中、お父さんと言い合うシーンは、心に響くものがありました。演じてみていかがでしたか。
[竹内一希]
そのシーンは、台本を読んだ時に一番難しそうだなって思ったんです。
普段、感情を爆発させるということがあまりないので、どんな感じでお父さんに気持ちをぶつけるのが良いかか不安がありました。
台風のシーンなので、現場ではホースで大量の雨を降らせて大型の扇風機2台で風を吹かせたんですけれど、雨も風もすべて僕に直接当たってくるんです。
感情を爆発させる以前に、息ができなくて「死ぬっ。生きたい!」って思いで必死でした。結果的に必死な感情で演じる事ができ、お父さんに気持ちをぶつけられたかなと思います。
寒くて息もできず壮絶でしたが、良いシーンになってラッキーでした。笑
ーー田中さん演じる “エーマ” が “実” と喧嘩をするシーンも感情のぶつかるシーンでしたがいかがでしたか。
[田中永真]
普段、コンビ間で喧嘩する事もないですし、ネタでもめる事もない。自分自身、思いっきり感情をぶつける事もないので難しいシーンでしたね。
ただ、“エーマ” 自身の気持ちや “実” に対する思いを考え、想像をふくらませてぶつけていきました。
作中で “エーマを演じている”というのが一番強く感じる場面で、印象に残ったシーンです。
ーー “実” は、農家を継ぐか夢を追うか悩みますが、実際、芸能活動をはじめる時はいかがでしたか。
[竹内一希]
僕の親は「やりなさい。頑張りなさい。」でした。
プロになる前から相方がいて、高田文夫先生に事務所(タイタン)を紹介していただいた経緯もあって、「あんた。恵まれているわよ。やったほうがいいから、相方さんにお願いしてきなさい。」という感じでした。
“実” とは違いましたね。
学生時代は落語研究会
ーー落語研究会に入った経緯や落語をはじめるきっかけを教えてください。
[田中永真]
僕ら大学は違うんですけれど、お互いにお笑いが好きで、お笑いサークルを探したけれど無くて、一番近いものが落語研究会だったんです。それで、落語研究会に入りました。
いざ入ってみたると、「落語やらないとダメだよ。」って言われて、“そうなんだぁ” でやったのがきっかけですかね。
実際、やってみると“こんなに面白いものだったんだ” “思ったより砕けているな” とやっているうちに楽しくなって、気がついたら4年間、落語やっていました。
ーー好きな演目は何ですか。
[竹内一希]
「近日息子」と「愛宕山」ですね。
この演目で、賞をいただいて、テレビにも出させていただいたので思い出が詰まっています。
近日息子は、息子が親父に、“近日というのは近いうちに” だと教わり、少しは気を利かせなければダメだと説教される。親父が「お前と話していると体が悪くなってしまう」というと、気を利かせて、医者や葬儀屋、坊主を手配、町内の人が悔やみに来て…。と言う話で、愛宕山は、那が太鼓持ちと愛宕山に登って、かわら投げをしているうちに小判を投げ始める。太鼓持ちが「あの小判はどうするんですか」旦那が「拾った奴のモノだ」と言うと、太鼓持ちは、谷底めがけてふわーっと降りて…。と、はちゃめちゃでドタバタな噺が好きなんです。
同じ話を昔の人も好きで楽しんでいたと思うと感慨深いですね。
[田中永真]
「粗忽長屋」ですかね。
粗忽長屋は、身元不明の行き倒れが出て、死体の知り合いを探している。見てみると同じ長屋にいる奴だ。「人違いかどうか本人を連れてくる」と言って長屋に帰って「お前死んでいた」と伝えると「自分は死んでしまったのか」と…。
お笑いとして面白い噺です。
落語って、古いものというイメージで興味を持っていなかったけれど、この噺を知って「あっごめんなさい。落語ってすごい!面白いものだぞ」と気づかされました。それからは、他の演目もこれはどんな噺だろうと調べたり、話し方とか面白い部分とかを追求したりと落語に向き合うようになりました。
そんなきっかけを作ってくれた演目でもありますね。
メッセージ
ーー最後に、「夢を実らせる」がテーマのひとつの映画です。どのような方に見ていただきたいですか。
[竹内一希]
出来るだけたくさんの方に見ていただきたいです。
素晴らしい映画にしようと、監督の思いや共演者、松川町の方達の協力によって良いものになっていると思いますので、ぜひ、1回見てみてください。そこから、りんご農家や芸人さんとかに興味をもってください。
そして、僕ら「まんじゅう大帝国」も知ってもらえたら嬉しいです。
まず、1回見て、良かったら他の人に進めてね。
[田中永真]
自分のやりたいことと置かれている現状との間で悩む主人公もみて欲しいですし、お父さんの気持ち親目線で主人公を見るというのもすごく感動や共感できる部分があると思います。
夢を追いかけている人やそのお父さん世代にも見てもらえたらいいなと思います。
撮影期間中、松川町でご飯を食べにいくと、「あっ!主演よ」とか「たくさん食べてって」と温かく迎え入れてくれて嬉しかったと話していました。
お二人の人柄が、なごやかな空間をつくるのだろうなと思いました。
そんな二人が、普段見せない表情で “実” と “エーマ” を演じています。
夢を実らせることができるか?
映画「実りゆく」、ぜひ、劇場でご覧ください。
鑑賞の後は、漫才コンビ「まんじゅう大帝国」を楽しむのもオススメです。
映画『実りゆく』
10月2日(金)より長野県先行公開
10月9日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
[出演] 竹内一希(まんじゅう大帝国) 田中要次 田中永真(まんじゅう大帝国)
橋本小雪(日本エレキテル連合) 三浦貴大 鉢嶺杏奈 小野真弓 島田秀平
爆笑問題(特別出演) / 山本學
[監督・脚本] 八木順一朗(タイタン マネージャー)
[エグゼクティブプロデューサー ] 太田光代(タイタン 代表取締役)
[製作] 「実りゆく」製作委員会
[制作プロダクション] 株式会社geeksight
[配給] 彩プロ
[後援] 長野県 長野市 長野県下伊那郡松川町 長野県下伊那郡豊丘村 ほか
ⓒ「実りゆく」製作委員会
[公式サイト]
https://minoriyuku-movie.jp/