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【庭園】枯山水とはなにか? 自然界を表現! 魅力に種類を紹介

 2021/12/13 造形 芸術
 
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枯山水とは?

日本庭園には大きくわけて3つの種類があります。

水を取り入れた庭を順路に従ってめぐる「池泉庭園」、茶室までの道に自然の景観を織り込んだ「露地(茶庭)」、そして「枯山水」です。

枯山水は水を一切使わずに岩や石、砂などを用いて自然界や生命、禅の精神世界を表現した庭です。また、仮山水(かさんすい)、故山水(ふるさんすい)、乾仙水(あらせんすい)、涸山水(かれさんすい)、などの別名がありますが字を見てお気づきのようにどの呼び名も水がない状態を表しています。

枯山水のたのしみ方は一般的な庭園のたのしみ方とすこし異なります。

庭の中を散策しながら植栽や風景をたのしむ多くの庭園とは違い枯山水では室内から庭を鑑賞したり瞑想したりする「座視鑑賞式」が採られているからです。

枯山水を鑑賞することは “すなわち心を落ち着かせ自分自身と向き合う修行の一環でもある” ともされておりこれが草木を眺めてたのしむ庭と枯山水との違いです。


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枯山水の歴史

枯山水がいつごろから作られるようになったのかは定かではありません。

しかしながら平安時代に橘俊綱(たちばなのとしつな)により編集された日本最古の庭園書「作庭記(さくていき)」に枯山水の記述があることから、平安時代にはすでに枯山水の庭があったことがわかります。

このころの枯山水はあくまでも平安時代の主流であった浄土式庭園の一部でしかありませんでしたが、鎌倉時代に禅宗が伝来・普及するとともに枯山水のみの庭が作られるようになりました。その後、室町時代8代将軍・足利義政を中心に禅宗の影響を色濃く受けた東山文化が栄えると枯山水の庭は貴族の間にも広がっていきます。

それまでの庭は広い土地に加え池や泉などの水のある場所に作られるものであり、こうした庭を持てるのは権力と財力のある貴族に限られていました。

しかし1467(応仁元)年の応仁の乱により多くの貴族が没落、土地の広さを問わず水も必要としない枯山水の庭が好まれるようになったとも考えられています。

なお庭の分類上、室町時代以前に多く見られる庭の一部を枯山水にした庭を「前期式枯山水」、室町時代以降に多く見られる全体が枯山水の庭を「後期式枯山水」と呼びます。


枯山水が表現しているもの

ここからは枯山水が表現しているものを見ていきましょう。枯山水とは水を使わずに岩や石、砂などで自然を表現しているとお伝えしましたが、表現されているものを理解するために知っておきたいのが石組み(いしぐみ)です。

石組みとは石の配置のことで枯山水の代表的な石組みにはつぎの3つがあります。


①三尊石(さんぞんせき)組み

枯山水に限らず多くの日本庭園で見られる石組み。
大中小と大きさの異なる3つの石を仏教の仏像の配置(釈迦三尊や阿弥陀三尊)になぞらえて置く。
庭の守護の意味もある。


②須弥山(しゅみせん)石組み

仏教の世界では世界の中心にそびえ立っている山で仏様が住んでいる聖なる山。
枯山水では須弥山に見立てた大きな岩を庭の中心に配置する。
また須弥山の周りには九山八海(くせんはっかい)が広がっているとされ、九山八海を意味する石もいっしょに置かれることも多い。


③七五三石組み

日本では古来、奇数は「陽」の意味を持つ数、永遠の命を表す数、とされてきた。
なかでも七五三は縁起のいい数とされ七・五・三と組み合わせて15個の石を置いた京都の龍安寺は枯山水を代表する石庭として有名。


枯山水の種類

枯山水にはつぎのような種類があります。
それぞれ代表的な寺院もあわせて紹介しますので枯山水巡りの参考にしてみてください。

平庭式枯山水

[ひらにわしきかれさんすい]

平らな敷地に作られた枯山水。京都市の龍安寺が有名で先ほどご紹介した「七五三の庭」や「虎の子渡しの庭」との別名でも呼ばれています。


準平庭式枯山水

[じゅんひらにわしきかれさんすい]

平らな敷地の一部に築山や斜面などがある枯山水。京都市の大徳寺瑞宝院の蓬莱石組みの枯山水は蓬莱山があるという不老不死の世界を表現しています。


枯池式枯山水

[かれいけしきかれさんすい]

水を使わずに石組みで池泉を表す枯山水。徳島市の旧徳島城表御殿庭園(千秋閣庭園)では当地名産の青石がふんだんに使われていてまさに水を見ているかのような心地になります。


枯流れ式枯山水

[かれながれしきかれさんすい]

水の流れを小石や砂紋で表す枯山水。枯池式は池そのものを、枯流れ式は水流を、表していることで区別されます。大阪府堺市の南宗寺の枯山水は国の名勝指定庭園であり千利休が修行をした場所としても有名です。


築山式枯山水

[つきやましきかれさんすい]

傾斜のある地形をそのまま生かして作られた枯山水。世界遺産でもある京都市の西芳寺(苔寺)が有名で枯山水庭園にある亀石組みや枯滝石組みは苔の風情とともにたのしめます。


特殊形式枯山水

[とくしゅけいしきかれさんすい]

白砂だけで作られた庭、または上記のどれにも属さない枯山水。京都市の銀閣寺にある向月台(こうげつだい)と銀紗灘(ぎんしゃだん)の美しさは格別です。どちらにも京都特産の白川砂が使われています。


まとめ

ひとくちに枯山水と言っても石組みや砂の模様により表現される世界は果てしなく広がります。

おなじ枯山水を見ても100人の人がいれば100通りの自由な解釈ができるのも枯山水のおもしろいところです。

静寂にして雄弁な枯山水。

自分自身と向き合い見つめ直す空間でもあります。機会がありましたら、ぜひ実際の枯山水を堪能してみてください。



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