【備前焼】炎の芸術! 備前焼の歴史と特徴に技法、その魅力を紹介
備前焼の歴史と特徴
備前焼は、古墳時代の「須恵器(すえき)」の製法技術がもとになっています。須恵器は朝鮮半島から伝わった技術で作られた硬質な土器で、備前焼はこの流れを汲み、平安時代に日用品としての生産が始まったと考えられています。
その後、大窯やロクロの発達により大量生産が可能になり、室町時代以降には茶道の発達とともに茶道具として利用されていきます。
備前焼の特徴である地肌の風合いは、「ひよせ」と呼ばれる田畑の下から採掘される粘土によるものです。ひよせは室町時代の終わり頃から使用されており、粘り気が強く焼成による収縮率が高いため、焼きあがったときに水が漏れないという特徴があります。
さらに、黒土や山土などと混ぜ合わせることによって、含まれる鉄分や燃料となる灰との化学変化により陶器の表面にさまざまな模様や色が表れます。
窯変の種類について
窯変(ようへん)とは、窯のなかで焼き物に起こる変化のことを言います。
変化の種類によって、「胡麻(ごま)」や「緋襷(ひだすき)」というように固有の名称も付けられています。代表的な備前焼の窯変を紹介します。
①胡麻
[ごま]
胡麻とは、窯のなかで陶器の表面に付着した灰が溶け、それが自然釉となって、胡麻をふりかけたような模様になることです。
部分的に黄色くなるのが代表的な色合いですが、緑色や糸状の模様になったもの、さらには「流れ胡麻(玉だれ)」と呼ばれる、たくさんの灰が雫のように流れ落ちて固まったものもあります。
②緋襷
[ひだすき]
緋襷とは、器の表面に赤みがかった線が、たすきのようにかかった模様です。
藁を巻いた陶器をサヤという容器に入れて焼成すると、全体はうす茶色に焼け、藁を巻いた部分だけが赤く発色するようになります。
もともとは器同士の接着を防ぐために藁を巻いていたのですが、なかに含まれるアルカリ分が土の鉄分と化学反応を起こし、独特の模様を形成するのです。
③棧切り
[さんぎり]
器の一部が灰に埋もれ、グレーや黒色に変化することを棧切りと言います。
陶器が灰に埋もれると空気の流れが悪くなり、還元焼成(いぶし焼き)されるため、黒みがかった模様となるのです。
棧とは窯の内部を仕切る壁のようなもので、この近くで焼かれると灰が溜まりやすく、独特の模様が表れやすかったので、棧切りと呼ばれるようになりました。
まとめ
備前焼の景色は、今回紹介した胡麻や棧切り、緋襷など変化に富んでおり、1つとして同じ模様はありません。1200度から1300度の高温でゆっくり焼しめた器は、土の性質や窯への詰め方、焚き方の工夫などによって様々な表情を見せてくれます。
決して派手さはありませんが、使い込むほどに味が出ると言われる備前焼は、多くのファンを虜にしています。
ぜひ、みなさんも自分のお気に入りの一品を探してみてはいかがでしょうか。
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