【正倉院宝物】いまここに1300年の技がよみがえる! 御大典記念 特別展「よみがえる正倉院宝物 ― 再現模造にみる天平の技 ― 」開催[奈良国立博物館]
この記事の目次
みどころ1
再現模造の逸品を一堂に集めて公開するおよそ20年ぶりの展覧会
天皇陛下御即位をはじめとする皇室の御慶事を記念し、明治時代からおこなわれてきた正倉院宝物の再現模造事業で製作された数百点におよぶ作品の中から、調度品・楽器・染織品・仏具など 多彩な分野から選りすぐりの100点近くが出品されるかってない規模の展覧会です。
みどころ2
人間国宝ら伝統技術保持者の熟練の技に触れる展覧会
およそ1300年の時を経て、正倉院宝物の製作当初の鮮やかな姿が、現代の名工たちの技によってよみがえります。また、正倉院宝物に見ることのできる特殊な技法や素材に焦点を当て、模造製作の際の映像や関連資料なども作品とともに紹介し、再現模造事業を通じて継承された日本の伝統技術もご覧いただきます。
みどころ3
技法と芸術性の完全再現を目指した究極の伝統工芸品
明治・大正・昭和・平成と続き今日にいたる再現模造事業では、継承された伝統の技に加え、CTスキャンなどの最新の技術が融合することにより、内部構造までも再現した逸品が次々と製作されています。本展では平成最後の年に8年がかりで完成した「模造 螺鈿紫檀五絃琵琶」を筆頭に、近年製作された再現模造作品も紹介します。
現代の名工たちが、伝統工芸と最新の科学技術を融合させて再現した天平美の芸術的深みや品格が最大の見どころです。
第1章
楽器・伎楽
正倉院宝物は、聖武天皇の御遺愛品が東大寺の大仏に捧げられたことに始まります。献納された品々は調度品、楽器、遊戯具など多彩です。本章では正倉院宝物の中から様々な工芸技法によって美しく装飾された「螺鈿紫檀五絃琵琶」をはじめとする楽器類の模造をご紹介いたします。また、大仏開眼会の際に演じられた伎楽の面や衣装などの模造も展示されます。鮮やかな色彩でよみがえった天平の精華をご覧ください。
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶[らでんしたんのごげんびわ]
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ) 正倉院事務所蔵
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶の螺鈿に線彫りを施している様子
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)の螺鈿に線彫りを施している様子
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶 表[らでんしたんのごげんびわ おもて]
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶 表(らでんしたんのごげんびわ おもて) 正倉院事務所蔵
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶 裏[らでんしたんのごげんびわ うら]
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶 裏(らでんしたんのごげんびわ うら) 正倉院事務所蔵
模造 酔胡王面[すいこおうめん]
模造 酔胡王面(すいこおうめん) 正倉院事務所蔵
第2章
仏具・箱と几・儀式具
奈良時代の社会では、律令制と仏教による護国体制が敷かれました。宮廷では国の統治のための儀式がとり行われ、大仏を擁する東大寺では壮麗な儀礼と仏前への献物が盛んに行われました。正倉院に伝来した、年中行事に関わる儀式具、東大寺ゆかりの仏具や箱・几の数々は、こうした世相を背景につくられたものです。多様な素材・技法が駆使された品々は、たしかな技術と美意識に裏付けられた天平工芸の水準の高さを物語ります。
模造 黄銅合子[おうどうのごうす]
模造 黄銅合子(おうどうのごうす) 正倉院事務所蔵
模造 黄銅合子の表面を削っている様子
模造 黄銅合子(おうどうのごうす)の表面を削っている様子
模造 蘇芳地金銀絵箱[すおうじきんぎんえのはこ]
模造 蘇芳地金銀絵箱(すおうじきんぎんえのはこ) 正倉院事務所蔵
第3章
染織
養蚕は今から約5〜6000年前に中国で始まったと言われています。やがて養蚕や絹織物は大陸の東西へと広がり、日本においても奈良時代になると全国的に養蚕が行われていました。絹織物の基本ともいえる平織りの絁(あしぎぬ)、綾、羅、そして複雑な文様を表した錦など多彩な織り技法による復元品をご紹介します。また『国家珍宝帳』の筆頭に記載された聖武天皇御遺愛の袈裟である「七条織成樹皮色袈裟」ほか袈裟に関わる一連の由緒ある品の模造をご覧ください。
模造 七条織成樹皮色袈裟[しちじょうしょくせいじゅひしょくのけさ]
模造 七条織成樹皮色袈裟(しちじょうしょくせいじゅひしょくのけさ) 正倉院事務所蔵
模造 赤地唐花文錦[あかじからはなもんのにしき]
模造 赤地唐花文錦(あかじからはなもんのにしき) 正倉院事務所蔵
模造 赤地唐花文錦(文様部分) 正倉院事務所蔵
第4章
鏡・調度・装身具
正倉院宝物の種類はじつに多種多様ですが、なかでも鏡をはじめ薫炉くんろ・厨子・双六局などの調度品や、帯・刀子などの装身具は、その技術の高さにおいて宝物を代表するものと言えます。こうした宝物を、材質・形状・文様・技法等あらゆる面で忠実に再現することは、天平の工芸品の息吹をいまに伝えるだけでなく、後世の日本の工芸を発展させる原動力ともなりました。
模造 黄金瑠璃鈿背十二稜鏡[おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう]
模造 黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう) 背 正倉院事務所蔵
模造 螺鈿玉帯箱[らでんぎょくたいばこ]
模造 螺鈿玉帯箱(らでんぎょくたいばこ) 東京国立博物館蔵
第5章
刀・武具
正倉院は古代の武器・武具の宝庫でもあります。争乱の続いた奈良時代、正倉院から武器が出蔵されることもありました。55口残る大刀のなかには、装飾を凝らした儀仗用の大刀がある一方、実用本位の大刀も少なくありません。多数伝わる矢は、矢羽根の多くが失われていますが、模造により当初の姿が復元されました。武器・武具が示す華麗な装飾はもちろん、優れた機能美の世界をご覧ください。
模造 金銀荘横刀[きんぎんかざりのおうとう]
模造 金銀荘横刀(きんぎんかざりのおうとう) 奈良国立博物館蔵
模造 金銀鈿荘唐大刀[きんぎんでんかざりのからたち]
模造 金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんかざりのからたち) 正倉院事務所蔵
第6章
筆墨
奈良時代の役所は文書によって運用されていました。文書行政の実態は、660巻余り伝わる正倉院文書にうかがうことができます。正倉院文書は東大寺写経所が伝えた帳簿群が中心ですが、よそで不要になった紙の裏を使うケースが多かったことから、多種多様な文書が残りました。展示では多色コロタイプ印刷による精緻な模造によって、正倉院文書の全体像に迫ります。
模造 続修正倉院古文書 第20巻
模造 続修正倉院古文書 第20巻 国立歴史民族博物館製作・正倉院事務所蔵
御大典記念 | 特別展
「よみがえる正倉院宝物 ― 再現模造にみる天平の技 ― 」
2020年7月4日(土)〜9月6日(日)
※会期中に展示替えがあります。
[会場] 奈良国立博物館 東・西新館 〈〒630-8213 奈良市登大路町50(奈良公園内) 〉
[開館時間] 午前9時30分~午後5時、毎週金曜日は午後7時まで ※入館は閉館の30分前まで開
[休館日] 毎週月曜日、8月11日(火) ※ただし、8月10日(月・祝)は開館
[観覧料金]
当日 / 一般1500円、高校・大学生1000円、小・中学生500円
前売・団体 / 一般1300円、高校・大学生 800円、小・中学生300円
[展覧会公式サイト] https://shosoin.exhibit.jp/
[奈良国立博物館] https://www.narahaku.go.jp/
「奈良国立博物館・新型コロナウイルス感染拡大予防対策について」をご確認ください
https://shosoin.exhibit.jp/measures/
※今後の諸事情により、開館時間や休館日等について変更する場合がございます。公式サイト等でご確認ください。