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【落語】漫画・アニメにドラマで人気の昭和元禄落語心中!登場する落語演目のあらすじ解説13選

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野ざらし

[あらすじ]

長屋の隠居の尾形清十郎は向島に釣りに行ったときに野ざらしになっている骨を見つけてかわいそうだと思い「野を肥やす骨をかたみにすすきかな」という手向けの句を詠んで酒をかけてあげました。

すると骨の主であるとても美人な女の幽霊がお礼に長屋に来ました。

それを聞いて羨ましくなった八五郎は、隠居の竿を借りて釣りに行きました。しかし騒いで他の釣り人の邪魔をしたり、骨に酒をかけて自分の長屋の場所を教えるなどご隠居とは大違いです。

骨に話しているところを聞いた幇間ほうかんが女と会う約束だと思いこみ祝儀にありつこうと八五郎の長屋を訪ねます。

いい女の幽霊がくると思いきや口の悪い男がしゃべるので「いったいお前は誰だい」と尋ねると、「へぇ、新朝という太鼓で」という答えが返ってきて、「なに、新町の太鼓。しまった昼間のは馬の骨だった」というのがオチです。

[解説]

明の末期に書かれた「笑府」の「学様」が原話と言われています。

二代目林家正蔵がこの演目を作りましたが、不完全だったので初代三遊亭円遊が現在の形に完成させました。
尾形清十郎は実は円生の本名を使ったもので、円遊は彰義隊の生き残りと設定されています。江戸から関西に伝わって関西では骨つりとして演じられています。歌を歌うタイミングが違ったり、最初に釣りに行くのが堂島の若旦那、釣りに行くのも木津川だったりして面白いです。江戸では失われてしまいましたが、関西の骨つりは、冒頭下りが長くて、本来の野ざらしの形を残しているそうです。

作中では、小夏に菊比古(八雲)が野ざらしをやってと頼まれて歌の部分が苦手であまり稽古していないというシーンがあります。完璧な落語をやる八雲の意外な一面が見られて面白いです。


寿限無

[あらすじ]

熊さんは子供が生まれましたが、名前を付けるのに迷ってお寺の和尚さんに相談に行きます。

子供がいつまでも健康で長生きできるようにと考えて、めでたい名前をいくつも教えてもらいました。
その中から選ぼうということになりましたが、結局決めきれずに全部つけてしまいました。

「寿限無 寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助」

子供は病気も怪我も全くせず成長します。

やがて近所の子供とけんかしたときに、その子供がこぶができたと父親のに訴えに来ます。やり取りをしていると何度も名前が繰り返されるので、そうしているうちにいつの間にかこぶが引っ込んでいたというのがオチです。

[解説]

前座が修行を兼ねて覚える話です。

子供や初めて聞く人向けに演じられることはありますが、落語会や寄席で真打が演じることは少ないです。
また、オチや話の流れをアレンジされていることも多いようです。

寿限無のような長台詞を言い立てといい、言い立てがあるほかの演目は、延陽伯、たらちね、東の旅、金明竹などがあります。

作中では、小雪が与太郎に勧められて子供たちに落語をやるシーンで寿限無を演じています。またあの世に行った八雲があの世の寄席で寿限無をやるシーンもあります。


出来心

[あらすじ]

泥棒でもやってみようと思い立った泥棒は、泥棒の親分のところへ行って泥棒のやり方を教わります。

ところがとても要領が悪く失敗続きです。

教わったとたん親分の隣の家を盗もうとしたり、蔵に穴をあけて忍び込んだと思ったら墓場の壁に穴をあけていたり、忍び足をするようにと教えられると家を出るときから忍び足を始めて忍び込もうという家に着くころには朝になっていたり、さらにはこじんまりして電話の一本もある家を狙えと言われると交番に入ったりするという始末。

やっとのことで忍び込んだ家も家主が帰ってきてしまい慌てて床下に隠れます。
貧乏人の家主は泥棒が入ったことを察知してこれを利用しようとして大家さんに家賃待ってもらうことにします。話を聞いた大家はお上に盗難届を出してやると言って盗まれたものはないかと尋ねます。

貧乏人の家主は見栄を張って着物、布団、黒羽二重、帷子、蚊帳、しまいには先祖代々の刀、大判の金貨銀貨等もとからありもしないものを報告します。

その嘘を聞いた泥棒が腹に据えかねて怒って出てくる。うっかり出てきてしまってしまったと思っている泥棒に大家がなんで泥棒をしたのか尋ねてオチにつながるという話です。

[解説]

泥棒ばなしという種類の代表的な演目です。

寛政頃の絵本噺山科巻二・「品玉」が原話とされています。最初のほうの泥棒のポンコツなところと、家主が少しでも高い品物を盗まれたと報告しようとするけれどよくわかってなくて大家に突っ込まれるやり取りが見所です。


あくび指南

[あらすじ]

町内にあくびの指南所ができました。

ある男が一人では行きづらいので友達に付き添ってもらっていきました。
指南所ではいろいろなあくびを教えてもらえます。まずは春夏秋冬四季のあくびのうち夏のあくびを練習します。
夏に舟遊びをしているときに船頭に「舟を上手にやってくんねえ」「1日舟に乗っていると退屈だ」といいながらあくびをする場面を練習するのです。

しかし何度やってもぎこちなく教えてもらったことを中々できません。

そうしているうちに見学していた友達のほうがあくびをするというほのぼのとした話です。

[解説]

元々は大阪の噺で、上方落語ではあくびの稽古とも言います。
ぎこちないあくびを繰り返した後自然に出たあくびをするのであくびの仕草が拙いと面白くなくなってしまう技量の必要な噺です。


大工調べ

[あらすじ]

うすのろだけど腕のいい与太郎という大工がいました。

棟梁が仕事を持ってきたのですが、なんと大家に仕事道具を家賃のかたとしてとられたと言うのです。
ためた2両2分800のうち棟梁が2両2分払いますが800を払うまで道具は返さないと強情な大家

。怒った棟梁は「目も鼻もねぇ丸太みてぇな野郎だから丸太ン棒てぇんだ。呆助、藤十郎、ちんけえとう、株っかじり、芋っ掘りめぇっ」という啖呵を切って奉行所に訴えて……

江戸っ子らしいさっぱりとした啖呵が見所の話です。

[解説]

啖呵を切るところで本当に切ってしまうと客が怒られているように感じるし、
切りすきないと詰まってしまうところをうまく演じるというのが腕の見せ所です。

小気味いい悪口を浴びせる啖呵を楽しみましょう!

居残り佐平次

[あらすじ]

佐平次という遊び人は胸の病気を持っていました。
その病気には品川が海と近くて良いと品川の女部屋に上がります。

散々飲み食いしたあげく金がないと言い出し友達も既に帰ってしまいお金の払いようがなくなってしまいました。
自らその宿で働きだしますが、座もちがうまく祝儀を稼ぎだすので他の若い衆は面白くありません。

苦情が出て困った主人は佐平次に暇を出しますが、その後佐平次は実はあちこちの遊廓で居残りを商売にして回る男だったと知れて……という話です。

[解説]

緩急と起伏に富み佐平次のしたたかで調子の良いところと本当に病気で哀愁漂うところを演じ分けないといけない大作です。


錦の袈裟

[あらすじ]

吉原で遊んでいたところ、隣町の若い衆に馬鹿にされました。

なんとか仕返しをしようと話し合った結果質流れの錦を褌にして裸踊りのときにびっくりさせてやろうというのです。
ところが褌が10人分しかなく、与太郎の分が足りません。

奥さんに案を出してもらって寺のお坊さんに明日返すという約束で錦の袈裟を借りてそれを褌にします。
吉原では錦の褌を見てえらい人達が身分を隠して遊んでいると勘違いします。

中でも与太郎だけおっとりしていて錦の袈裟を褌にしたせいで前に白い輪がぶら下がるのでどこかのお殿様がお忍びで遊んでいると思いこみ、与太郎だけもてます。
ふられた他の人がぶつぶつ言っている間、与太郎を殿様と思い込んだ女達が与太郎を離そうとしません。そして女達が「今朝(ケサ)は返しませんよ」と言ったとき与太郎が「袈裟(ケサ)は返さねぇとお寺をしくじる」と言う気持ちいいオチです。

元はちん輪という名前で演じられて江戸から伝わった上方落語では袈裟茶屋と呼ばれています。

品川心中

[あらすじ]

品川新宿の白木屋で板頭をはったという「おそめ」、さすがに寄る年には勝てず客足が減ってしまいます。

くるわ紋日もんびにも事欠くという始末で困っています。おそめは勝ち気な性格をしていたのでこんな有様になるなら死のうと考えました。

しかし貧乏が原因で死ぬより好きな人とともに死ぬ方が体裁を保てると考えて偶然通りがかった貸本屋の金蔵と死ぬことにします。

おそめに口説かれた金蔵は騙されているとも知らずに喜んで家や家財道具を売ってしまいました。
そしてさぁ飛び込もうとなった時に金蔵は怖くなりなかなか飛び込めずにいます。

おそめが金蔵を突き落とした後、おそめが飛び込もうとするところに、店の若い衆が番町の旦那が50両を用意して待っていると告げに来ます。
おそめは金蔵に金ができたから死ぬのは一時見合わせると言い残して去ってしまいました。

大変なのは金蔵のほうで血だらけで仲間のところへたどり着きましたが博打場混乱します。

[解説]

この話はここでオチを言って終わることが多いのです。

この後さらに金蔵の仕返しがあります。
いつも世話になっている親分が策を考え、おそめの前に青白い金蔵が現れたかと思えばそこには誰もいなく戒名を書いた紙が落ちています。
それを見たおそめは金蔵が幽霊になったと思い込んで恐くなって五両出すという流れです。

一つ目のオチは元は古い「軽口話どり巻二・享保12・浅草のかたきうち」にあったものが使われております。


明烏

[あらすじ]

時次郎はいつまでたっても堅物のままでまったく遊ばないのを見た父親の半兵衛は心配します。

そこで町内の悪を自称する源兵衛と大助に遊びを教えてもらうように預けます。
二人は時次郎を吉原に連れていくことを観音様の裏手お稲荷さんにおこもりすると言いましたが、察しの良い半兵衛は身なりが悪いと御利益ないと言っていい服に着替えさせて、金を持たせて送り出します。

吉原に連れていかれたことに気づいた時次郎は帰ろうとしますが、吉原のルールで吉原を一人で出ようとすると番所で止められると聞いて仕方なく二人についていきます。

浦里という名前の絶世の美女と言われる18歳になる花魁がいました。

時次郎を見てああいう若旦那に出てみたいと思い、花魁のほうから指名されます。
時次郎は花魁と楽しく過ごしますが、ふられてしまった源兵衛と大助はふてくされて、先に帰りますよと言います。

すると時次郎は先ほどの言葉をお返しに「先に帰れるもんなら帰ってごらんなさい。大門でとめられる」とオチを言うという流れの話です。


たちきり(たちぎれ)

[あらすじ]

ある若旦那は道楽が過ぎて親戚に百日の間蔵の中に閉じ込められていました。
ところが、この若旦那に思いを寄せる芸者小糸がいました。

彼女は毎日のように手紙を若旦那に出していましたが、ある日「この手紙がついて来てくださらなければこの世のお別れです」という内容の手紙が届きます。
天満の天神にお参りをすると言って出してもらった若旦那は小糸のところへ行きます。
ところが着くと小糸は若旦那の身を案ずるあまり病気になり若旦那にもらった三味線を弾きながら死んでいったと聞かされます。そして仏壇に手を合わせて位牌に線香を上げていると例の三味線の音がひとりでに鳴り出しました。

若旦那が女房を一生持たないというと三味線の音が鳴り止みます。
そして「若旦那、小糸はもう三味線弾かしません」「なんでや」「ちょうど線香が立ちきれました」と言って落ちます。

[解説]

昔の芸者は線香が一本立ちきれると花代を加算したという前提をオチに使っています。
今では馴染みがないのでこの文化を知らない人が多くよくまくらに解説がつけられています。上方落語では桂米朝などが代表的な演じ手で江戸落語には三代目柳家小さんが持ち込みました。


子別れ

[あらすじ]

大工の熊五郎は吉原の遊廓で遊んびに行って四日後に帰ってきました。

女房に言い訳をしているうちに女郎とののろけになってしまい仲人が入っても怒りは収まりません。
とうとう女房は息子亀吉を連れて家を出てしまいます。熊五郎は女郎を連れ込んで暮らしたりしましたが結局うまく行かず別れてしまいます。

熊五郎は一人になり、反省して真面目に働き始めます。
信用ある大工として世間に認められるようになった頃に仕事に行く途中に亀吉と偶然に会いました。
元女房が一人で内職をして子供を育てていることを聞いた熊五郎は小遣いをあげ次の日に一緒に鰻を食べることを約束する。元女房に帰ってきた亀吉はお金を見て誰からもらったのか問いただされ、言わないので玄翁でぶたれそうになります。
とうとう白状し、翌日に鰻屋の二階で久しぶりに対面した夫婦はめでたいことによりを戻しました。
三人の最高に幸せな瞬間です。

女房がしみじみとよりを戻したのは亀吉のおかげだ、「子供は夫婦の鎹ですねぇ」と言うと子供が「道理で昨日玄翁でぶつと言った」と言うのがオチです。東京の人情噺の代表です。

夫婦のよりが戻って泣けるシーンの後によく考えられた爽快なするオチで締めるよく考えられたなんとも言えなく心地の良い噺ですね。


芝浜

[あらすじ]

主人公の魚屋の勝五郎は酒飲みで怠けぐせが出て得意先を次々と失う甲斐性のない魚屋でした。

ある時、やる気のない勝五郎を女房が励まし魚の仕入れに朝早く魚河岸へと送り出しました。
しかし女房が早めに起こしたためにまだ魚河岸は開いていません。

魚河岸が開くまでの間、芝浜の岸で顔を洗っていると磯に洗われている財布を見つけます。
家に帰って空けてみると大金が入っていました。

勝五郎はこれだけあれば一生働かずに暮らせるとすっかり気をよくして仲間と酒を飲んでどんちゃん騒ぎ。
翌朝女房に仕事に行くよう言われて芝浜で拾った金があるから行かなくても大丈夫というと「芝浜で拾った金?何言ってんだい。昨日の金が欲しいと思ってるからそんな夢を見る」と言われます。

そこで実は金を拾ったことは夢で酒を飲んで騒いだことだけ本当だったと思い出してとんでもないことをしたと改心します。

生まれ変わったかのように一生懸命毎日朝早くから働くようになり表通りで店まで構えるようになります。

そうしてちょうど三立った大晦日夕飯を食べていると女房が見てもらいたいものがあると言って古い財布を取り出しこれに見覚えがないかと尋ねます。昔そんな財布を拾った夢を見た音があるという勝五郎に女房はそれは夢じゃなくて本当の話で、女房はあえて夢だと言って諦めさせて奉行所に届け出ていたのが持ち主が出てこなかったため拾った勝五郎の物になったと話します。

それを聞いた勝五郎は女房のおかげで改心できたと非常に感謝するという話です。

[解説]

人情噺の代表的な演目です。

元は幕末の三題話(客に三つお題を出してもらって即席で話を作ること)を三遊亭円朝がさらに手を加えて今のオチを付けたと言われています。
円朝によって旦那が心機一転するところや気の利くよくできた女房が描かれて、六代目尾上菊五郎によって歌舞伎化されるほど非常に完成度の高い名作となりました。

夢だと言って諦めさせる話は「かの子ばなし上巻・元禄3・にわかぶげんはいっすいの夢」などにもあることからそれを念頭に作られたのかもしれませんね。

作中では、助六とみよ吉が四国に駆け落ちし、それを探しに来た菊比古と東京に戻って落語を再開しようというときに当面の生活費を稼ぐために行った落語会で助六がこの芝浜をやりました。
助六の状況と非常に似ていて余計に泣けます。


死神

[あらすじ]

借金で暮らすのが苦しい男が自殺しようとしていたところを死神に金もうけの方法を教えられます。

その方法とは、医者として病人の寝ているところへ行って診察して、枕元に患者がいれば呪文を唱えれば病気が治るが、枕元なら助からないと言われます。
それを聞いてやってみると、死神がいつも足元にいるため大儲けし名医の評判が立ちます。

そのお金で、妾を持ったり、上方見物をしてしまい、また一文無しになりました。

そこで、再び医者をします。ところが今度は、いつも枕元に死神がいるので全く儲かりません。

あるお金持ちで診察したときに、お礼欲しさに枕元の死神が居眠りしてる間に寝床の枕元と足元を逆にしてしまいます。
病人は回復しお礼をたくさんもらいましたが、死神は怒って洞窟に連れていかれます。

そこにはたくさんのろうそくがあり、その中で消えかかっているのが男のだと言われます。

しかしもう1つのろうそくにうまくつなげれば助かるとも言われ、震える手でつなごうとしますが、なかなかつきません。死神が「消えるぞ~消えるぞ~」と言い、最後に男が「あぁ、消えた」と言うのがサゲです。

[解説]

この落語は特殊で、最後に落語家が倒れた状態で幕を下ろします。三遊亭円朝がイタリアのミュージカルの靴直しクリピスノを参考にして作ったそうです。

昭和元禄落語心中では、この演目が物語の鍵を握っており、作中に何度も登場しています。シリアスさが漫画の雰囲気と非常にマッチしていて何とも言えないですね。


まとめ

昭和元禄落語心中に出てくる落語は、花魁などが出てくる「廓噺」に分類される演目も多く出ています。

人間国宝の坂東玉三郎さんによると、歌舞伎の世界では花魁や遊女の役をするときにうちわを持つ手の小指だけを得の部分に掛けるそうです。

落語でも男の人が、女の人を演じるときに、いかに細部にまでこだわって表現しているかが楽しいところです。

昭和元禄落語心中は漫画、アニメ、ドラマのそれぞれで見るとまた少しずつ味が違い、さらに作中での落語と比べて本物の落語家の表現を見るのも面白いかもしれませんね。


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