【和菓子】季節の移ろいを感じる!春夏秋冬の伝統的な和菓子を紹介
春の和菓子
鶯餅
[うぐいすもち]
餡を求肥(ぎゅうひ:もち粉に水あめや砂糖を加えたもの)で包み、上から青大豆のきな粉をまぶしたお菓子が鶯餅です。
青大豆のきな粉は「うぐいすきな粉」とも呼ばれ、淡い緑がかった色とほんのりとした甘みが特徴になっています。
春を告げる鳥である鶯に似せた形になっていることが多く、求肥の両端を少しとがらせ、くちばしと尾を表現したデザインになっています。
桜餅
[さくらもち]
桜餅は、桜を連想させる淡いピンク色の餅の周りに塩漬けした桜の葉をかぶせたお菓子です。
関東と関西で作り方が異なっており、餡を小麦粉などの生地でクレープ状に巻いた関東風に対し、関西では道明寺粉(どうみょうじこ:もち米をつぶつぶの触感が残るように荒く引いたもの)で餡を包んだ、まんじゅう状の桜餅がよく食べられています。
関東風を「長命寺(ちょうめいじ)」、関西風を「道明寺」と呼ぶこともあり、出身地によって馴染んだ形が異なる面白いお菓子にもなっています。
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夏の和菓子
柏餅
[かしわもち]
柏餅は、小豆やみそで作った餡を餅でくるみ、さらにその周りを柏の葉で覆ったお菓子です。
5月5日の端午の節句に食べられる理由は、新芽が出ないと古い葉が落ちない柏の葉の特徴から、跡継ぎが途絶えることなく子孫繁栄に結び付く縁起物として考えられていたためです。
ちなみに、西日本では端午の節句に葛や餅を笹の葉でくるんだ「ちまき」を食べることが定番になっています。
水無月
[みなづき]
京都を中心として、1年のちょうど折り返しにあたる6月30日に、白い三角形のういろうの上に小豆をのせた水無月というお菓子を食べる風習があります。
半年間の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を願う「夏越の祓(なごしのはらえ)」に基づくお菓子で、いまでも関西を中心とした多くの和菓子屋さんで水無月が販売されています。
三角の形は氷室に貯蔵された氷を模しており、暑気払いの意味も込められたあっさりとした味わいのお菓子です。
秋の和菓子
亥の子餅
[いのこもち]
亥の月(旧暦10月)の亥の日の亥の刻(午後10時頃)に食べると、万病から逃れると言われるお菓子が亥の子餅です。
イノシシの子どものうり坊を模した形になっていることが多く、三本筋の焼き印が入っていたり、きな粉をまぶして茶色い体を表現したりしているものがよく見られます。
また、イノシシは陰陽五行説で水性にあたるため、火災を逃れるという思想から茶道の世界では、炉開きのお菓子としても重宝されています。
冬の和菓子
花びら餅
[はなびらもち]
正月の定番お菓子として重宝される花びら餅は、甘く煮たゴボウと白みその餡を半月型の餅で包んだお菓子です。
ゴボウを使うのは平安時代から続く「歯固めの儀式」と呼ばれる宮中儀式に由来し、もともと鮎の塩漬けを使っていましたが、後に簡略化されゴボウを鮎に見立てたお菓子になりました。その後、明治時代になると裏千家が初釜のときに利用することを許され、新年のお菓子として定番になっていきます。
なお、表千家では白小豆を緑色に染めた餡が入った常盤饅頭(ときわまんじゅう)が正月のお菓子として広く使われています。
おわりに
和菓子は季節感をもった食べ物として、現代でも多くの人に親しまれています。
鶯餅や桜餅などのお菓子を食べることで、春夏秋冬の訪れを実感できる日本の文化は、とても豊かなものと言えるのではないでしょうか。
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