【日本酒】升酒の魅力!「木升」に「塗升」升酒の正しい飲み方。もっきりとは?
この記事の目次
升酒の升とは
升酒の升は、昔計量に使われていた器具のことです。歴史は古く、飛鳥時代の大宝律令制定時には、基本単位として1升が使われています。
1升の量は時代により異なり、飛鳥時代1升は現在の4合~6合に相当するといわれており、1升が現在の約1.8Lに定められたのは江戸時代初期です。1959(昭和34)年にメートル法が採用されるまで、米や醤油の販売などさまざまな取引に升は使われていました。
升は木を組み合わせて作られることから、「気を合わせる」に通じるとされ、現代でも升は縁起物として大切に扱われています。結婚式やお正月などおめでたい席で升酒が好まれるのは、このような背景があるからです。
ちなみに、升酒で使われる枡のサイズは約180mlです。
升の種類
升酒で使われる升には、「木升」と「塗升」があります。
木升は、杉やヒノキで作られた升のことです。以前は杉で作られた升が好まれていましたが、現在は杉と比べ丈夫で香りが強いためヒノキの升が好まれています。
ぬくもりのある見た目に、木の香りが日本酒に移り独特の風味と木升ならではの日本酒が楽しめます。
塗升は、木升に漆を塗って仕上げたもので、別名漆升とも呼ばれます。木だけのものより丈夫だとされていますが、手入れが大変です。
現在は本来の漆升の代わりに、樹脂製の升にウレタン塗装をしたものが、よく塗升として販売されています。木升・漆升は湿気や乾燥に弱く手入れが大変ですが、樹脂製の塗升にはそのような手間がかかりません。衝撃にも強く、気軽に升酒を楽しみたい人におすすめです。
升酒の正しい飲み方
4本の指で持つ
持ち方ですが、利き手の人差し指から小指で升の底部を支え、親指を縁に添えて持ちます。親指を角にかけてしまうと飲みにくいので、必ず縁にかけるようにしましょう。片手で持っても良いですが、もう片方の手を升に添えると安定して持てます。特になみなみとお酒が注がれている場合は両手で持った方が良いです。
升は、おちょこやグラスのように、つかんで持つものではないので気をつけましょう。
縁から飲む
升は四角で、角の部分と平らな縁の部分があります。
お酒を飲む場合、縁から飲むのがマナーです。角から飲むとこぼれやすいので、必ず縁から飲むようにしましょう。升をわずかに傾け、ゆっくりとすするようにして飲めばこぼれませんので、飲む際は音を立てずに静かに飲むようにしましょう。
升でお酒を飲むのは慣れるまで少し大変ですが、ポイントをおさえたら簡単です。
もっきりとは
升の中にグラスを置き、その中に日本酒を溢れるほど入れて飲むスタイルのことです。
グラスから溢れた日本酒は升の中に入ります。昔の居酒屋では1合ずつお酒を提供していましたが、グラスが小さければ1合のお酒はその中に入りきりません。そこで、グラスの下に器や升を置き、1合のお酒を全てお客さんに提供するというもっきりが生まれたといわれています。
現在でも、居酒屋のパフォーマンスとしてもっきりは残っています。升にどれだけ入れるかはお店により違うのですが、「日本酒を存分に楽しんで欲しい」というおもてなしの心はどのお店にも共通しています。
もっきりの語源は「盛り切り」だと考えられています。昔、日本酒は酒屋の樽から升に直接注がれて販売されていました。この販売形式を盛り切りといい、それがもっきりに変化したといわれています。
もっきりの正しい飲み方
グラスの日本酒から飲む
もっきりで召し上がる場合、まずグラスのお酒を飲みます。
グラスのお酒はなみなみ注がれ持ち上げにくいはずですので、グラスをわずかに傾け少しだけ升に移します。もし、グラスにも升にもいっぱい注がれているようでしたら、置かれたグラスに直接口を付け、少し飲んでも構いません。適量になったら、グラスを持ち上げお酒を普通に飲みます。
升にお酒が残ったままだからといって、慌ててグラスのお酒を飲む必要はありません。ゆっくり香りや味を堪能しながら楽しみましょう。
升の日本酒をグラスに移す
グラスのお酒が少なくなったら、升のお酒をグラスに移して飲みます。グラスを使わずに升のまま飲んでも大丈夫です。
グラスに移す・升から飲む、どちらもマナー違反ではないので、好きな方を選びましょう。升から飲む場合は、4本指で升の底を支え、親指を縁にかけて平らな部分から飲むのが正しいです。
まとめ
升を使うといつもの日本酒がちょっと違う風味で楽しめます。また、升の縁に塩を乗せ、それを嘗めながら飲むという独自のスタイルも楽しめます。
お気に入りの升があれば、升酒ももっきりも自宅でできるので、ぜひ挑戦してみてください。
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