【ラムネ】愛され続けている夏の飲み物! ラムネの歴史にビー玉の秘密。サイダーとの違いは?
“ラムネ”名称の由来
「ラムネ」とは玉入りのビンに入った炭酸飲料水の呼称です。
語源は英語の「Lemonade(レモネード)」であり、英語圏でレモンライムとして親しまれている柑橘系の甘酸っぱい炭酸飲料水が日本におけるラムネとなります。ここで気をつけたいのがラムネとはあくまでも玉入りのビンに入っている飲みものの呼称だということ。たとえおなじ味の炭酸飲料水でも玉入りのビンに入っていなければラムネを名乗れません。
現在ではレモン風味だけではなくさまざまな風味のラムネが登場しています。
ラムネの歴史
ラムネの歴史については諸説ありますが、中でも有名なのが1853年アメリカのペリー提督が浦賀港に来航したときに幕府の役人にふるまったという説です。積み荷の中に炭酸レモネード(ラムネの原型とされている)があったそうで、黒船と共にラムネも日本にやってきたのです。
幕末になるとラムネは長崎や横浜にも持ち込まれるようになり、明治初期には日本でのラムネの製造販売がはじまりました。
ラムネは映画館やお祭り、銭湯、観光地などを中心に人々の間に広がり、日本を代表するソフトドリンクの地位を確立していきます。
しかし時代と共に缶入り飲料水の登場、自動販売機の設置、ビンの回収を行う小売店やラムネビン製造業者の減少などが進み、ラムネは店頭から徐々に姿を消していきました。
現在のラムネの生産量は最盛期のおよそ5分の1です。とはいえさまざまなご当地ラムネが登場していますし、レトロブームの影響で昔ながらのラムネの人気が高まっています。また国内だけではなく海外での人気も高くラムネの輸出量は増加傾向にあります。時代が変化してもラムネが親しまれ続けているのですね。
“ラムネ”ビー玉ビンの誕生
幕末から明治初期にかけて日本に持ち込まれたラムネはワインとおなじくコルクで栓がされていました。しかしコルクはとても高価でしたし、炭酸が抜けやすく長期間の保存には向きませんでした。
そこでコルク会社のセールスマンであったイギリス人のハイラム・コッドがガラス玉で栓をするタイプのビンを発明。そのビンこそがラムネビン(英語でコッド・ネック・ボトル)です。
ラムネビンはアメリカで特許を取得、明治20年ごろになると日本にも輸入され、その後、日本でも国産のラムネビンの製造がはじまりラムネは全国各地で飲めるようになりました。
こんな味まで? ご当地ラムネ
ご当地ラムネとはその土地ならではの名産品や歴史・文化を活かして作られたラムネのことです。観光地で目にしたことのある人もいるのではないでしょうか?個性的なラムネの一部をご紹介します。
【北海道】
小樽 青の洞窟ラムネ / とうきびラムネ/ ハスカップラムネ/ ラベンダーラムネ/ クリオネラムネ
【神奈川】
よこすか海軍カレーラムネ
【大阪】
みかん水ラムネ/ バラの香りのラムネ/ たこ焼風ラムネ/ キムチ風ラムネ
【広島】
大和ラムネ/ 塩ラムネ
【沖縄】
シークヮーサーラムネ/ パイナップルラムネ
おいしそうなラムネから味の想像がつかないラムネまで……名前を見ているだけでその土地に行った気分になれますね。みなさんもぜひ地元や旅先でご当地ラムネを探してみてください。
ラムネとサイダーの違い
ラムネは語源が「Lemonade(レモネード)」レモン風味の炭酸飲料水です。一方のサイダーの語源は「Cidre(シードル)」りんごを発酵させたお酒です。またラムネはコルク栓から玉入りのビンですが、サイダーは王冠で栓がしてありました。
ラムネはレモン風味の飲みものでビー玉栓のビン入り、サイダーはリンゴ風味の飲みもので王冠のついたビン入りと区別されていました。
しかしいつからかラムネとサイダーの味のはっきりとした区別はなくなり、現在ではビー玉入りの容器(ビンやペットボトル)に入ったものをラムネ、それ以外をサイダーとしています。
ラムネの開け方と飲み方
昔ながらのラムネビンでは栓であるビー玉を、店頭にある器具などでビンの中に押し込んで開けていました。
1980年代以降になるとビー玉を押し込む専用のプラスチック器具「ラムネ開け(玉押し)」つきのラムネが販売されるようになります。
2000年代になるとペットボトルのラムネも登場しますが開け方はおなじく「ラムネ開け(玉押し)」を使用します。
*現在ではゴミ分別のためガラスビンもペットボトルもキャップ部分が取りはずせるタイプが主流。ビー玉も簡単に取り出せる。以前はビー玉を取りだすためにビンを割られたり、ビンの中に吸い殻やゴミなどを入れられたりとラムネビンにとっては受難の時代が続いていた。
ラムネを開けるときに盛大に泡が吹き出してしまったことはありませんか?
これを防ぐためにはまずはラムネをよく冷やすこと、ビー玉を落としてからも炭酸が落ち着くまでは飲み口を手で押さえておくこと、がポイントです。飲むときにはビー玉が飲み口をふさいでしまわないようにラムネビンのくぼみ部分にビー玉がはまるようにして飲みましょう。
まとめ
ラムネの登場に歴史で習ったペリー提督が関係していたとは驚きました。
それからおよそ170年間で容器の材質や中身のバリエーションは当時とは比べ物にならないほど増えましたが、ずっと日本人に親しまれ続けているラムネです。
大人になるにつれラムネを飲む機会が減ってしまいがちですが、ときどきは昔を思い出しながらラムネを飲んでみませんか?