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【詩歌】五・七調の俳句、川柳に短歌!はじまりから特徴やルールを紹介

 2019/08/10 伝統 芸道
 
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俳句

歴史

現在では“世界一短い定型詩”と言われていますが、その歴史は古く、室町時代頃まで遡ります。

元々は「俳諧連歌」と呼ばれる、複数の作家の共同作業によって創作されるものでした。
一人目が上の句である「五・七・五」を詠むと、そこに二人目が下の句である「七・七」を詠み足し、更に次の人がまた五・七・五を数珠繋ぎに詠み足して行くという吟詠を繰り返し、時には百句から千句、万句にまで連なる「長連歌」と呼ばれる大作も存在しました。

そして江戸時代に入ると、次第にこの規格が変わって行きます。
連歌の最初の一句目は「発句」と呼ばれ、この発句のみを一つの作品として認めるというスタイルになって行ったのです。

そしてその一翼を担ったのがかの有名な松尾芭蕉でした。彼の活躍によって「俳句」は現在知られているものへと姿を変えて行ったのです。

その後時代を経て、この「発句」を独立した文芸として扱って行く事を推し進め、「俳句」と名付けたのが正岡子規です。

特徴・ルール

俳句には、五・七・五十七音という決まりの他に、句の中に季語をひとつ入れるという決まりがあります。

これを『有季定型』といいます。

季語とは、その句がどの季節を表現したのかを表す言葉の事で、「歳時記」は俳人にとって欠かせないアイテムです。

その他にも詩情や文学的情緒、自分が見たものや聞いたこと、感じたことを正確に描写するための写実性や具体性、そして視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚の五感、時には季節の中にある切なさや儚さを感じ取る第六感の全てをフル活動して、五・七・五の短い世界に落とし込んで行く事が大切と言えるでしょう。


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川柳

歴史

俳諧連歌から派生した近代文芸で、俳句と同じ五・七・五の音数律を持ちますが、俳句が発句から独立したのに対し、川柳は連歌の付け句の規則を、逆に下の句に対して行う「前句付け(※1)」が独立したものでした。

江戸時代中期頃になると、季語も切れ字も用いない自由な口語詩として流行しました。

より世俗的になり、仏や僧や古典の有名人を卑俗化したり、性的な事を露骨に表現したりと内容や表現などはかなり砕けたものとなって行きました。

『川柳』という言葉が定着したのは、明治時代後半頃からで、この名称は江戸中期の俳諧の前句付け点者だった「柄井川柳」の名に由来しており、世の中を風刺した滑稽味の強い句の作品が多く、庶民の間で大流行して行きました。

明治三十年代頃から始まった「川柳革新運動」などを経て、現在まで伝承されています。

(※1)前句付け・・・七・七の短句に五・七・五の長句(付句)を付けユーモアを競い合った文芸の一つで、江戸時代に庶民の娯楽として流行した。

特徴・ルール

形式は俳句と同じ五・七・五の十七音ですが、俳句にみられる季語や切れ字の約束がなく、現在では口語が主体であり、字余りや句跨りの破調、自由律や駄洒落も見られるなど、規律に囚われない言葉遊びの要素が多く含まれています。

最近では「サラリーマン川柳」や「シルバー川柳」、「ブラック企業川柳」などに見られる様に、社会への鋭い風刺、シニカルな笑い、時には自虐などを盛り込み、自分の置かれた状況の侘しさや滑稽さなどをユーモアたっぷりによむという形式が主流になっています。

ちなみに俳句では句を作る事を「詠む」と言いますが、川柳では「吐く」と言ったりもします。

自分の中に溜まりに溜まった澱を“吐き出す”といったニュアンスが川柳には内包されているのです。


短歌

歴史

短歌は奈良時代末期(700年代)に編集された日本最古の歌集である「万葉集」が原点となりました。

平安時代には、日本最初の「勅撰和歌集」・「古今集」、鎌倉時代には「新古今和歌集」が編集され、貴族の嗜みとして詠まれるようになって行きました。しかし室町時代などに時代が移って行く過程で少しずつ廃れて行きました。

また、俳諧やその後に生まれた俳句などの登場も短歌が表舞台から姿を消して行くのに拍車をかけたと思われます。

しかしその後、明治から戦前にかけて正岡子規らが起こした『和歌革新運動』によって現在の短歌の地位が獲得されて行きました。

現在でも短歌は、恋愛は勿論、日常生活や社会問題に至るまで様々な事象がテーマとして詠まれ根強い人気を保っています。

特徴・ルール

先ず俳句と大きく違う所はその字数です。

俳句は十七音ですが、短歌は五・七・五・七・七の三十一音になります。また、季語は必要としません

俳句は季節の情景を中心として表現の対象を「私」から切り離し目の前のものを写実的に描写するのに対し、短歌は作品を通じて他者が作者と同じような追体験ができるようによむのが特徴です。

しかし四季折々の情感、恋愛や離別、日々の暮らしの中にある哀愁や悲喜交々を題材によむという点においては非常に共通するものがあると言えるでしょう。

その他には社会問題、物語や幻想までどんなテーマでも受け入れられます。既にある数多くの和歌集や題目分類の傾向を参考にしてみるのもいいかもしれません。


まとめ

「俳句」「川柳」「短歌」と五・七調の文芸の良さは何も道具が要らないという事です。

基本のルールを学んだら、材料はあなたの周りの全てです。

あなたの五感を使って鼻歌を歌う様に、気楽な気持ちでやってみてはどうでしょうか。
それができるのが詩歌という文芸の魅力です。


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