【茶道】初釜ってどんなお茶会? 初釜で食べるお菓子や茶碗は?
この記事の目次
初釜は特別な茶事
初釜の習慣は、昭和に入ってから一般化するようになったと言われています。1年の稽古初めとなる大切なお茶会であり、年明けに初めてお湯を沸かすことを「釜を開く」と言うことから、初釜という名称が付けられました。
正式には元旦の早朝に汲まれた若水(わかみず)を用いてお茶が点てられ、新たな気持ちでお稽古に打ち込めるような節目のお茶会です。
茶事の流れ
初釜をはじめとする茶事では、炭火のつぎ足しから、食事と喫茶までがセットになったお茶のフルコースが提供されます。一般的な初釜の順序は、以下の通りとなります。
[1]席入り
茶室に入り掛け軸などのしつらえを見てから席に着く。
[2]初炭
炉に炭が入れられる。
[3]懐石
料理が振る舞われる。
[4]主菓子
お菓子を食べる。
[5]中立ち
客はいったん席を立ち、主人が席を改めるまで腰掛待合(休憩所のような場所)で待機する。
[6]濃茶
再び席入りし、抹茶を飲む。
[7]薄茶
干菓子と少し薄めのお茶を飲む。
初釜で食べるお菓子は?
初釜の主菓子は、新年最初の茶事にふさわしく、鮮やかな色合いと正月の華やかさを表すお菓子がよく使われています。代表的なものが、表千家で定番の「常盤饅頭(ときわまんじゅう)」と裏千家の「花びら餅」です。
常磐饅頭は、一見すると白い饅頭ですが、なかに白小豆を緑色に染めた餡が入っています。2つに割ると断面がとても鮮やかで、雪をかぶった松に例えられることも多いお菓子です。
一方、花びら餅は甘く煮たゴボウと白みその餡を、赤く染めた薄い餅と白餅で半月型に包んだお菓子です。もともとは新年の宮中儀式に由来すると言われており、「長寿」や土の中に根を張る特徴から、「家の基礎がしっかりしている」という意味合いでごぼうが使われているようです。
初釜で使う茶碗は?
濃茶を飲むときに使われる茶碗にも、初釜ならではの特徴的なものがあります。
嶋台(しまだい)は大小2つの茶碗を重ねて使い、内側が金と銀に塗られています。一回り小さい金の茶碗は鶴を表し、高台(器の足の部分)が陽=日を意味する五角形になっています。
一方、亀を表す銀色の茶碗はやや大振りで、高台が陰=月を表すとされる六角形になっています。その縁起の良さから、嶋台茶碗はお正月の定番として、現在でもよく使われます。
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初釜に出かけるときの服装は?
最後に初釜に招かれた時の服装を紹介していきます。もちろん和装に越したことはありませんが、持ち合わせてない場合、茶事にふさわしいフォーマルな服装を意識してください。
男性は暗めな色のスーツに白の靴下、女性の場合、座った時に膝が隠れるような丈のワンピースやフレアスカートを着ることが一般的です。また、茶器を傷つける可能性のある時計やアクセサリー、さらにお香や抹茶の匂いを打ち消してしまうような香水をつけていくことはマナー違反になるので、注意してください。
おわりに
1年を通して、いろいろな茶事があるなかで、稽古初めとなる初釜は特別な行事です。参加する際は、ある程度知識を蓄えたうえで、臨まれることをお勧めします。
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