【弓道】初心者のための基本動作『射法八節』まずはここから覚えよう
弓道の基本ルールは、「弓で矢を飛ばして、的に命中させるものでしょ?」と思っていませんか?
もちろん、的に矢を当てることも弓道の大切な要素です。しかし、初段・弐段の審査では、的中そのものだけで合否が決まるわけではありません。
「的に当てることだけが目的ではないの?」
そんな疑問の中に、弓道ならではの大切な考え方があります。
弓道に興味があってこれから始めてみたい方や、弓道を始めたばかりの初心者の方に、弓道の基本となる「射法八節」についてご紹介します。
射法八節とは
[しゃほうはっせつ]
弓道の理念を表す言葉のひとつに、「真・善・美」があります。
「真」は偽りのない射を求めること、「善」は礼や平常心を大切にすること、そして「美」は正しい射や心から生まれる美しさを表します。弓道では、的中という結果だけを追い求めるのではなく、心を安定させ、身体を整え、正しい射を行うことが大切にされています。その基本となるのが「射法八節」です。
射法八節とは、弓矢を持って射を行うときの基本となる一連の動作のこと。一本の竹に八つの節があるように、一つの射の流れの中に、八つの大切な動作があります。
足踏み → 胴造り → 弓構え → 打起し → 引分け → 会 → 離れ → 残心
八つの動作はそれぞれ独立したものではなく、互いにつながり合って一つの「射」をつくります。
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足踏み
弓を射るときの最初の足構え。
的に向かって正しい位置に立ち、両足を踏み開いて身体の土台をつくります。両足先は的の中心と一直線上になるようにし、足先をおよそ60度に開きます。足の間隔は、自分の腕の長さを基準とした「矢束(やづか)」を目安にします。一見すると単純な動作ですが、この足踏みが、このあとに続くすべての動作の基礎となります。
胴造り
身体の重心を整え、安定した姿勢をつくる構え。
足踏みした両脚の上に上体を正しく置き、腰を据え、うなじをまっすぐに伸ばします。呼吸を整え、身体の重心を安定させることで、次の動作へとつながる土台をつくります。全身の均整を整える大切な段階で、射の良し悪しにも大きく関わります。
弓構え
射に移る直前の準備動作。
「取懸け(とりかけ)」「手の内」「物見(ものみ)」という三つの動作があります。右手を弦にかける「取懸け」、左手で弓を持つ「手の内」を整え、両肘を張ってゆったりと構えます。そして頭を的の方へ向け、視線を定める「物見」を行います。身体だけでなく、心も射へ向かう準備を整える段階です。
打起し
弓矢を持った左右の拳を上へ持ち上げる動作。
胴造りの姿勢を崩さないようにしながら、弓矢を静かに持ち上げます。力任せに動かすのではなく、呼吸に合わせてゆったりと行うことが大切です。
引分け
打ち起こした弓を左右に引き分けていく動作。
左手で弓を押し、右手で弦を引きながら、左右均等に引き分けていきます。単に腕の力で弓を引くのではなく、身体全体を使いながら、弓と身体が一体となるように動作を進めます。
会[かい]
弓を十分に引き、矢を放つ直前の状態。
ここまで積み重ねてきた動作を保ちながら、身体を天地左右へ伸ばしていきます。ただ止まって的を狙う時間ではありません。心・身体・弓矢が一体となり、充実した状態をつくっていく大切な段階です。
離れ
十分に伸び合った状態から、矢が放たれる瞬間。
「会」で力が充実し、その流れの中から「離れ」が生まれます。自分から無理に矢を放つのではなく、正しい動作と伸び合いの結果として、自然に矢が離れていくことが理想とされています。
残心
矢を放ったあとの姿勢と心。
弓道では、矢を放ったら終わりではありません。矢が離れたあとも姿勢を保ち、心を乱さず、その射を締めくくります。精神面を「残心」、身体に現れる形を「残身」と表します。矢を放ったあとの姿にまで射手の心や射のあり方が現れる――。「残心」は、弓道という武道の特徴をよく表している言葉のひとつです。
まとめ
「射法八節」を見ていくと、弓道が単に「的に矢を当てる」だけのものではないことがわかります。足を踏み開くところから、矢を放ったあとの残心まで。八つの動作を一つひとつ積み重ね、一連の流れとして正しい射を目指していきます。初段・弐段の審査でも、的中だけではなく、こうした基本の動作や射のあり方が大切にされています。もちろん、弓を持てば「的に当てたい!」と思うのも自然なこと。
けれど、的中という結果だけを追いかけるのではなく、心と身体を整え、正しい射を積み重ねていく。その先に的中があるという考え方に、弓道の奥深さがあります。
「真・善・美」という言葉も、そんな弓道の世界を知っていくことで、少しずつ身近に感じられるようになるのかもしれません。
