【論語】実はなじみ深い!伝来以来、多大な影響を与えた“論語”の名言を分かりやすく解説
論語とは
出典:Wikipedia 朱熹『論語集注』八佾
中国の春秋時代に活躍した思想家・孔子(前552/前551~前479)の言行を記録した書物です。孔子の没後に孔子の弟子たちが編纂したとされます。
論語の内容は、道徳論や文化論、政治的論議にいたるまで多岐に渡ります。
南宋の時代に「朱子学」という学問を大成した学者・朱子が儒学の聖典「四書※」の第一に論語を挙げるなど、古来より儒学の古典として非常に重んじられてきました。
とても古い書物なのでとっつきにくいと思われるかもしれませんが、実はそうではなく、現代人にとっても人生の指針になるような教訓がとても活き活きと書かれている魅力的な書物です。
まさに「生きた古典」と言ってよいでしょう。
※ 四書=古来より重んじられてきた儒学の四つの古典「論語・孟子・中庸・大学」のこと。
日本人と論語
論語が日本に伝来したのは日本書紀によると応神天皇の時代で、百済の王仁という人物が持ち込んだのが最初とされています。
それ以後、仏教の僧侶や公家の学者などによって学ばれ、江戸時代になり幕府が儒学の学習を奨励してからは武士のみならず庶民にも広く普及するようになりました。
例えば、町人出身の儒学者・伊藤仁斎は論語を特に重視し、「最上至極宇宙第一の書」とまで激賞しています。
幕府や各藩の学校の基本科目は儒学でしたが、仁斎のような在野の儒学者が市井に塾を開いて教授したので儒学が庶民にも広まることになりました。そこでもっとも熱心に学ばれていた書物の一つが論語でした。
心に響く論語の名言
では、論語の中から現代に生きる私達の心にも響く名言をご紹介します。一度は耳にしたことがある言葉だと思います。
短く印象的なフレーズなので、覚えておくと人生のふとした瞬間に役立つ名言です。
名言[1]
《己の欲せざる所は人に施す勿れ》(顔淵篇)
[現代語訳]自分がして欲しくないことは、他の人にもしてはならない
これは人としてとても大切なことですね。似たような言葉として「自分がして欲しいことを他人にもしなさい」というものがありますが、自分がして欲しいことは必ずしも他人がして欲しいこととは限らないので、まずは相手がして欲しいことが何かを的確に知る必要があります。
一方、自分がされて嫌なことを他人にもしないようにしておけば、少なくとも取り返しのつかない事態になることを回避できると思います。
そういう意味で、「己の欲せざる所は人に施す勿れ」は人生の「黄金律」と言ってよい言葉だと思います。
名言[2]
《義を見てせざるは勇無きなり》(為政篇)
[現代語訳]人として踏み行なうべき正義を知りながら、それを実行できないのは勇気がないからだ
何が正しいのかを単に知っているだけではなく、実際に踏み行なうことが大切だという教えです。
これも身につまされる言葉です。現代人の生活でも、この言葉の大切さが痛感させられる場面は多いのではないでしょうか。
「目の前に困っている人がいたら助けるのが道理」と分かっていても、それを実際に行なうには勇気が必要になります。困っている方がいたら勇気をもって助けられるようにしたいものですね。
名言[3]
《夫子の道は忠恕のみ》(里仁篇)
[現代語訳]孔子が大切にしている道は忠(まごころ)と恕(おもいやり)である
これは孔子ではなく、孔子の弟子の曾子が孔子の人物像について述べた言葉です。
「忠」とは「まごころ」、「恕」とは「思いやり」です。
「孔先生の大切にされるのは、まごころと思いやりである」というほどの意味になります。
この言葉で、孔子の人柄が伝わってくる気がします。
「忠恕」とは、人として最も大切な心掛けを一語で表現した素晴らしい言葉と言えるでしょう。
まとめ
ご紹介した名言は論語の中でもほんのごく一部です。論語には人生の気づきを与えてくれるような、たくさんの名言があふれています。
興味を持たれた方は、これを機にお読みになってみてはいかがでしょうか?論語を学ぶと日本文化への理解もより一層深まるはずです!