【東福寺】圧倒的スケール、すべてが規格外!東福寺初の大規模展覧会 特別展「東福寺」開催[東京国立博物館]
この記事の目次
修理後、初公開
重要文化財 五百羅漢図
初めて全貌が明かされる、明兆畢生(ひっせい)の大作
水墨と極彩色とが見事に調和した、若き明兆の代表作。1幅に10人の羅漢を表わし50幅本として描かれた作で、東福寺に45幅、東京・根津美術館に2幅が現存します。東福寺の伽藍再興運動のなか、1386(至徳3)年に完成したことが記録により判明する基準作としてもきわめて貴重です。14年に渡る修理事業後、初めて現存する全幅が公開されます。
重要文化財 五百羅漢図のうち
吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3(1386)年 京都・東福寺蔵
(中)第1号幅 展示期間:3月7日(火)~3月27日(月)
(右)第20号幅 展示期間:3月28日(火)~4月16日(日)
(左)第40号幅 展示期間:4月18日(火)~5月7日(日)
第1章
東福寺の創建と円爾
1235(嘉禎元)年、円爾(1202〜80)は海を渡り、南宋禅宗界の重鎮である無準師範(ぶじゅんしばん)(1177〜1249)に師事します。
帰国後は博多に承天寺(じょうてんじ)を建立。その後九条道家(くじょうみちいえ)の知遇を得て京都に巨刹、東福寺を開きました。以来、寺は災厄に耐えて古文書や書跡、典籍、肖像画など無準や円爾ゆかりの数多の宝物を守り継いできました。
それらは十三世紀の東アジアの禅宗と日中交流の実情を窺わせる、質量ともに類をみない文物群で、今日、東福寺を中世禅宗文化最大の殿堂たらしめています。
国宝 無準師範像
これぞ南宋肖像画の極致
国宝 無準師範像
自賛 中国 南宋時代・嘉熙2(1238)年 京都・東福寺蔵
展示期間:3月7日(火)~4月2日(日)
重要文化財 遺偈
円爾の生き様を伝える臨終最期の筆致
重要文化財 遺偈 円爾筆 鎌倉時代・弘安3(1280)年 京都・東福寺蔵
展示期間:4月4日(火)~5月7日(日)
第2章
聖一派の形成と展開
円爾の法を伝える後継者たちを聖一派(しょういちは)と呼びます。
円爾は禅のみならず天台密教(てんだいみっきょう)にも精通し、初期の聖一派の僧たちも密教をよく学んでいました。また彼らはしばしば中国に渡り、大陸の禅風や膨大な知識、文物を持ち帰りました。
東福寺周辺には彼らの書や、面影を伝える肖像画や彫刻、袈裟(けさ)などの所用品が多数現存し、いずれも禅宗美術の優品ぞろいです。聖一派は国際性豊かで好学の気風が強く、名僧を多く輩出し、禅宗界で重きをなしました。
重要文化財 癡兀大慧像
円爾の直弟子、中世随一の強面肖像画
重要文化財 癡兀大慧像
鎌倉時代・正安3(1301)年 京都・願成寺蔵
展示期間:3月7日(火)~4月2日(日)
虎 一大字
【展覧会初出品】まるで禅問答のような書の怪作
虎 一大字
虎関師錬筆 鎌倉~南北朝時代・14世紀 京都・霊源院蔵
※通期展示
第3章
伝説の絵仏師・明兆
吉山明兆(きっさんみんちょう)(1352〜1431)は、東福寺を拠点に活躍した絵仏師です。江戸時代までは雪舟とも並び称されるほどに高名な画人でした。寺内で仏殿の荘厳(しょうごん)などを行う殿司職を務めたことから、「兆殿司(ちょうでんす)」とも通称されます。
中国将来の仏画作品に学びながらも、冴えわたる水墨の技と鮮やかな極彩色とにより平明な画風を築き上げ、巨大な伽藍にふさわしい巨幅や連幅を数多く手掛けました。
重要文化財 白衣観音図
規格外のスケールを誇る超巨大な観音図
重要文化財 白衣観音図
吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵
展示期間:4月11日(火)~5月7日(日)
重要文化財 達磨・蝦蟇鉄拐図
画業円熟期の傑作、東福寺の大達磨
重要文化財 達磨・蝦蟇鉄拐図
吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵
展示期間:3月7日(火)~4月9日(日)
第4章
禅宗文化と海外交流
中国で禅を学んだ円爾は、帰朝に際して数多くの仏教文物を将来しました。円爾と中国仏教界との交友は帰国後も継続し、さらにそうした対外交流のネットワークは、円爾の弟子に連なる聖一派の禅僧たちにも受け継がれていきます。
彼らは外交や貿易にも積極的に携わり、その後の禅宗文化の基軸となるさまざまな文物が東福寺に集積されていきました。海外交流の一大拠点として発展した東福寺は、日本の文化史上においても重要な役割を果たしたのです。
国宝 太平御覧
円爾がもたらした宋王朝勅纂の百科事典
国宝 太平御覧
李昉等編 中国 南宋時代・12~13世紀 京都・東福寺蔵
※通期展示(ただし、冊替えあり)
十六羅漢図
【展覧会初出品】エキセントリックな風貌の羅漢たち
十六羅漢図
中国 明時代・15~16世紀 京都・永明院蔵
展示期間:3月7日(火)~4月9日(日)
第5章
巨大伽藍と仏教彫刻
東大寺と興福寺の名に由来する東福寺の壮大な規模は、京都東山にそびえる巨大伽藍と尊像等の仏教彫刻に象徴されます。創建当初は宋風の七堂伽藍に、仏殿本尊の釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)をはじめとした巨大群像が安置され、「新大仏寺」とも称されました。
その後、度重なる災禍に遭いながらも復興を遂げてきた東福寺には、歴代の再建あるいは塔頭(たっちゅう)伝来にかかる禅宗建築や彫刻、また関連する書画が現存し、「伽藍面(がらんづら)」と称されてきた壮観を今に留めます。
重要文化財 東福寺伽藍図
中世人が行き交う大伽藍
重要文化財 東福寺伽藍図
了庵桂悟賛 室町時代・永正2(1505)年 京都・東福寺蔵
展示期間:4月11日(火)~5月7日(日)
国宝 禅院額字幷牌字のうち方丈
伽藍を飾る、無準師範が円爾に贈った開堂祝いの書
国宝 禅院額字幷牌字のうち方丈 張即之筆 中国 南宋時代・13世紀 京都・東福寺蔵
展示期間:3月7日(火)~4月9日(日)
仏手
【展覧会初出品】2メートルもある、もと本尊の巨大な左手
仏手
鎌倉〜南北朝時代・14世紀 京都・東福寺蔵
※通期展示
四天王立像のうち多聞天立像
【修理後初公開】運慶作?この力強い まなざしを見よ
四天王立像のうち多聞天立像
鎌倉時代・13世紀 京都・東福寺蔵
※通期展示
東福寺
東福寺は鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家が、奈良の東大寺と興福寺を合わせたような大寺院の創建を発願し、開山として円爾(聖一国師)を招いて建立した禅宗寺院です。
後世「伽藍面」と称されるほど我が国随一の巨大伽藍を誇り、多くの弟子を育成しました。南北朝時代には京都五山の第四に列し、本山東福寺とその塔頭には中国伝来の文物をはじめ、建造物や彫刻・絵画・書跡など禅宗文化を物語る多くの特色ある文化財が伝えられています。
国指定を受けている文化財の数は、本山東福寺・塔頭合わせて国宝7件、重要文化財98件、合計105件におよびます。そのうち東福寺所属の絵仏師・吉山明兆は大部の禅宗画を数多く描き、代表作に近年大修理の完成した重要文化財「五百羅漢図」があります。
東福寺 三門
特別展「東福寺」
2023年3月7日(火)~5月7日(日)
[会場]
東京国立博物館 平成館(上野公園)
[開館時間]
9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで)
[休館日]
月曜日(ただし、3月27日と5月1日は開館)
[観覧料金]
一般 2,100円(1,900円)、大学生 1,300円(1,100円)、高校生 900円(700円)
※( )内は前売り料金
※中学生以下、障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
※混雑時は入場をお持ちいただく可能性がございます。
※前売券は、東京国立博物館正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式サイト、各種プレイガイドで、2023年2月1日(水)~3月6日(月)まで販売。
※本券で、会期中観覧日当日1回に限り、総合文化展もご覧になれます。
※詳細は、展覧会公式サイトチケット情報のページでご確認ください。
[主催] 東京国立博物館、大本山東福寺、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション、文化庁
[特別協賛] キヤノン、大和証券グループ、三井不動産、 三菱地所、明治ホールディングス
[協賛] JR東日本、清水建設、竹中工務店、 三井住友銀行、三菱商事
[協力] ライブアートブックス
[お問合せ] 050-5541-8600(ハローダイヤル)
[展覧会公式サイト] https://tofukuji2023.jp/