【落語・講談】話し言葉に話を読む!魅力からわかる落語と講談の違い
落語のはじまり
落語は元々「滑稽で落ちのある話し」を由来としていて、元々は「落とし噺」と呼ばれていました。
現在のように「落語」と呼ばれるようになったのは明治に入ってからで、その内容も滑稽な落ち話しから人情や怪談など多岐に渡ります。
落語の始まりは京都の誓願寺のお坊さんである安楽庵策伝が仏教の教えを逸話や物語など様々な内容を交えて伝える「法話」に得意の笑い話しを交えて話したことが始まりとされていますが、その他にも海外の民話をもとにした説や元々伝わっていた小噺が膨らんで落語となった説などがあります。
最も有名な安楽庵策伝説は戦国時代に大名に仕え様々な話しをする御伽衆の一人で落とし噺の名手として有名となり、彼が子供の頃から見聞きした面白い話をまとめた醒睡笑という本はベストセラーとなり、そこに収録されている話しの多くは現在まで語られまた多くの噺家に影響を与えました。
落語は昭和初期の漫才人気に押されて一時衰退しますが、戦後のテレビの普及と共に台頭してきた人気噺家の活躍やテレビ番組によって、今日まで多くの人々に愛される芸能となったのです。
講談のはじまり
講談の始まりは御伽衆が話した物語が最初だという説や、武将に戦況を報告する事が始まりだという、食に困った浪人が人々を集めて「太平記」面白おかしく話聞かせた「太平記読み」がルーツという説などがありますが、その原型は古くは平安時代や鎌倉時代からあったと伝わっています。
現在のような大衆演芸スタイルになったのは江戸時代に入ってからと言われ、最初は大道芸として道々で軍記物を中心に話して「辻講釈」と呼ばれていましたが、江戸中期の頃には常設小屋で上演するようになったことで「講釈」と現在まで続く話芸として成立しました。
江戸後期から明治期の大衆娯楽といえば講談であり、ここで話された内容を本にしたものが多く出版され、講談は新聞や雑誌に掲載したものは人々の毎日の楽しみともなっていたのです。
講和で話される内容の多くが戦記ものであったことから、戦後のGHQによる規制が入り寄席が減りさらにテレビの普及によって娯楽の変化によって徐々に人気が低迷していきますが、それでも現在も多くの講談師が話芸を磨き釈台の前に座って人々を楽しませていますよ。
落語の魅力
落語は思わず吹き出すような笑い話からほろりとするような人情話にゾクゾクする怪談など内容は多岐に渡っていますが、最大の魅力は噺家の聴かせる演技力にあるのはないでしょうか。
扇子と手ぬぐいだけで全ての小道具を表現し、ほんの少しの身体の傾きと顔の向きや声色だけで何人もの人物を演じ分ける話芸は日本独自に発達したもので、一度聴いたらその世界に引き込まれてしまいます。
落語には戦前までに作られた日本や海外の伝説や説法などをベースにした古典落語と現代風の新作落語があり、どちらも親近感と笑いが混在する名作が日々上演されています。
落語のパターンは最初に講談に噺家が登り、マクラという親近感が生まれるような噺家の小話から始まります。その時は家紋のついた羽織りを着ていますがマクラから繋がる本題の物語を話しだす時には羽織りを脱ぎますので、本題に入る合図として初心者の人にも解りやすいかと思います。特にこのマクラでは噺家のちょっとした趣味や好みなどの小話をするのですが、さりげなく本題に繋がる内容が含まれていますのでしっかりと聞くことがおすすめです。その後は短ければ十数分、長いと1時間以上もする演目をたった一人で演じ、最後にサゲと呼ばれる落ちをつけて演目を終えます。
講談の魅力
落語より硬いイメージのある講談は釈台という机の前に座り、釈台を叩く拍子木や貼り扇を使って巧みに話に臨場感を持たせる技はまさに話す芸術といっても過言ではありません。
「講釈師見てきたような嘘をつき」や「講釈師扇で嘘を叩き出し」という言葉が伝わるほど軽妙な語り口と声のトーンの変化で奏でる物語は、まるで話の世界を一緒に見ているかのような錯覚に陥り、名人になると歌を聞くように自然に言葉が耳に入って映像が浮かぶものです。
講談の最大の特徴と言えば、パンパンという拍子木をリズミカルに叩きながらその場を見てきたように話すのが特徴で、この叩くタイミングや回数によって場面転換や盛り上がりなどを演出します。
ちなみに「講釈師ネタに詰まれば三つ打ち」という言葉もあるので、話の内容だけでなく拍子木の使い方に注目してみるのも面白いですよ。
講談の基本は伝記や軍記などの物語ですが、そこから発展した講和の中から落語や浄瑠璃、歌舞伎などへと発展したものも多くあるので、知っている物語でも違う観点から楽しめます。
さらに落語同様に現代を舞台にしたり神話などを現代風に置き換えたりした創作講談もありますので、歴史に詳しくなくても十分に理解し楽しめるのも魅力です。
落語と講談の違い
高座に上がった時の様子の違いの他にその中身も同じ話しでも特定の人物や出来事をハッキリとまるで現場を見てきたかのように話す講談に対して落語は曖昧にぼかし架空のキャラクターを演じるという違いがありますが、だからと言って講談はこう落語ならこうという風に分けられるものでもありません。
どちらも日本の伝統話芸であって一人の演者が言葉巧みに物語を紡ぎ、時には舞台袖で奏でられる鳴り物で場を演出し、時には手持ちの小道具で情景を再現する姿は、多くの人を惹きつける魅力にあふれている事には変わりはなく、落語と講談の違いとするならば聞き手の好みに分かれるというのが正しいのかもしれませんね。
落語・講談を見て聞く
実際に2つの話芸の違いを体感するには聞いてみるしかありません。
どちらも全国にある演芸場などで公演を行っていて、特に落語や講談の公演を行っている代表的な会場といえば東京だと「浅草演芸ホール」「新宿末廣亭」「お江戸日本橋亭」「神田連雀亭」など多くがありますし、横浜の「横浜にぎわい座」や名古屋の「大須演芸場」などがありますが、上演していない場合もあるので各寄席のホームぺージや落語や講談の各協会のホームぺージで事前に確認をするのが無難です。
落語は演芸場で年中無休公演を行っていて、毎月1日から10日(上席)、11日から20日(中席)、21日から30日(下席)で演目の内容が変わります。講談も日によって演者が変わりますので、初心者の場合には知っている名前の人の公演を見ると親しみやすく楽しめますよ。
また講談協会では希望の場所に講談師を派遣したり様々な場所でイベントや独演会を行ってくれますし、落語も噺家さん個人で主催する独演会を良く行っていますのでSNSなどをチェックするのもおすすめです。
まとめ
落語と講談は似て異なる古典芸能でありながら大衆に愛されて続く日本の文化です。
なんとなく敷居が高そうな落語や講談は予約不要で服装も普段着でOKという気楽な演芸です。
そんな落語や講談の世界にお気軽に出かけてみてはいかがですか。
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