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【醤油】料理によって使い分ける!醤油の種類や製法の違い

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醤油の種類


濃口醤油

[こいくちしょうゆ]

濃口醤油は、醤油の全体流出量の80~90%を占める最もポピュラーな醤油で、塩分濃度は約16%です。原料は大豆と小麦でほぼ同量ずつ使われています。
製造期間は早ければ3ヶ月ですが、標準は半年から1年です。

関西を中心に作られていた醤油が、江戸時代に関東にも伝わり濃口醤油が誕生しました。江戸の水は硬水こうすいのためだしをとる際、魚の生臭さも一緒に抽出する特徴があります。生臭さを消すのに一番合っていたのが醤油ということで、醤油は江戸を中心に劇的に進化していき濃口醤油が発展していきました。
濃口醤油は、鰹だしを使った料理、肉や魚の煮物や江戸料理といわれる寿司や天ぷら、蒲焼きなどによく合います。もちろん食卓醤油として、かけ醤油やつけ醤油としても幅広く使われます。

淡口醤油

[うすくちしょうゆ]

淡口醤油は色が淡い醤油で、醤油の全体流出量の約13%を占めます。
淡口といっても塩分濃度は濃口醤油より高く18~19%です。
醤油は発酵・熟成に時間をかけるほど色が濃くなりますが、淡口醤油は淡い色に仕上げるため短期間で発酵・熟成をします。醤油蔵によりばらつきはありますが、発酵・熟成期間は約6ヶ月です。

短期間での発酵・熟成では、醤油の旨味うまみがどうしても長期発酵・熟成のものより落ちてしまうため、淡口醤油には大豆や小麦以外にお米を使って味を整えているものもあります。

淡口醤油は、だしの旨味や香りを引き立てるという特性があり、京料理や精進料理によく使われ、京都など関西を中心に発展しました。家庭料理では、食材本来の色を活かした野菜の炊き合わせや白身魚の調理、お吸い物、うどんだしに向いている醤油です。

再仕込醤油

[さいしこみしょうゆ]

再仕込醤油は、別名甘露かんろ醤油ともいわれ、国内の全体流出量の約1%を占める醤油で塩分濃度は13%前後です。

再仕込醤油は製法が独特です。
通常醤油は、諸味もろみに食塩水を加えて作られますが、再仕込醤油は、諸味もろみ生醤油きじょうゆを加えて作られ、ほかの醤油に比べて倍の材料と時間がかかります。そのため濃厚で旨味の強い醤油になります。

再仕込醤油は山口県柳井市が発祥の地で、主に中国地方から九州にかけて普及し、刺身のつけ醤油や煮物の仕上げに向いています。現在では全国で高級調味料として見かけることのできる醤油です。

溜醤油

[たまりしょうゆ]

溜醤油は、全体流出量の約2%を占める醤油です。
塩分濃度は16%前後と濃口醤油とあまり変わりませんが、溜醤油の原料が大豆のみ、もしくは大豆90%、小麦10%の割合のため、旨味は濃口醤油の倍あります。

溜醤油は醤油の原点ともいわれています。
江戸時代に入るまで、醤油といえばこの溜醤油でしたが製造にかなりの手間暇がかかるため徐々に濃口醤油が主流となっていきました。溜醤油はとろりとした質感と濃厚な旨味が特徴のため、刺身醤油としてよく使われています。また、加熱すると美しい赤みを帯びることから、うなぎや焼き鳥のたれにもよく合う醤油です。

原料に小麦をほとんど用いないことから、小麦アレルギーを気にする人や、グルテンフリーの調味料として海外からも人気を得ています。

白醤油

[しろしょうゆ]

白醤油は全体流出量が1%に満たない醤油で、塩分濃度は約17%です。
淡口醤油以上に淡く琥珀色こはくいろをした醤油で、淡口醤油よりさらに低温・短期間で発酵・熟成されます。白醤油の原料は、大豆10%、小麦90%の割合で作られています。

江戸末期に愛知県三河地方で製造がはじまり、ほかの醤油と比べると比較的歴史の浅い醤油です。

素材本来の色を活かす料理に向いており、全国の料亭で使われています。また白醤油にだしと甘味を加えたものが、ご家庭でもお馴染みの白だしです。
白醤油や白だしは、茶碗蒸しやお吸い物、漬け物やうどんだしに向いています。

醤油の製法


本醸造方式

本醸造方式は、一般的な製造方法で、80%以上の醤油がこの本醸造方式で作られています。小麦と大豆を混ぜ合わせ醤油麹を作るときも、醤油麹に食塩水を混ぜて諸味を作るときにも麹菌や酵母などの微生物の力を借ります。

本醸造方式で作れた醤油は、味、香り、色すべてのバランスが良いです。

混合醸造方式

混合醸造方式は、本醸造で作られた諸味に直接アミノ酸液や酵素分解調味液、発酵分解調味液を入れて熟成させる方式です。本醸造方式より熟成が短期間で終わるのが特徴です。熟成の過程でアミノ酸特有の香りが和らぐため、まろやかでアミノ酸の旨味が活きた味わいの醤油が出来上がります。

本醸造方式の醤油は、また違った旨味やコクが楽しめます。

混合方式

混合方式は、生醤油にアミノ酸液を混ぜ、その後すぐに火入れをして仕上げる方式です。液を入れたあとに発酵・熟成をしないのが特徴です。殺菌するために醤油を加熱する(火入れ)をすることにより、これ以上醤油の発酵が進まなくなり、品質を維持できます。

混合方式の醤油は、甘みがやや強いです。
また、火入れ前の醤油を、生醤油といいます。

醤油の等級


旨味の指標とされている全窒素分や基本的な成分により「特級」「上級」「標準」に分けられています。醤油の旨味を決めるのはグルタミン酸などのアミノ酸類でアミノ酸類が多いと窒素も多くなります。

▼全窒素分の割合による等級の違い

[特級]
濃口醤油=1.5%以上
淡口醤油=1.15%以上
再仕込醤油=1.65%以上
溜醤油=1.6%以上
白醤油=0.4%以上0.8%未満

[上級]
濃口醤油 = 1.35%以上
淡口醤油 = 1.05%以上
再仕込醤油 = 1.5%以上
溜醤油 = 1.4%以上
白醤油 = 0.4%以上0.9%未満

[標準]
濃口醤油 = 1.2%以上
淡口醤油 = 0.95%以上
再仕込醤油 = 1.4%以上
溜醤油 = 1.2%以上
白醤油 = 0.4%以上0.9%未満

白醤油は、糖分や鉄分など液体のなかに塩分以外の旨味がどれくらい溶けているかを示す無塩可溶性個体分の割合によって等級が決まります。

無塩可溶性個体分の割合による等級の違い(白醤油)

[特級] = 16%以上
[上級] = 13%以上
[標準] = 10%以上

まとめ

醤油の様々な種類や製法についてご紹介してきましたが、醤油の多様性に驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

驚くべき点はその多様性だけでなく味そのものです。

醤油を変えるだけで料理の味は変わります。

昔は製造地域でしか手に入らなかった醤油ですが、今では全国どこでも色々な種類や製法の醤油を入手できます。

ぜひ気になる醤油の味をご自身の舌で確かめてみてください。


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ゆずこ

ゆずこ

大学時代に出会った友人の影響で、お寺巡りや仏教に興味を持ちました。それがきっかけで、日本人の思想や日本文化全体に興味を持つようになりました。

日本の建築物や着物、独自の色づかい、和食や和菓子、本当に繊細で美しいものばかりだと思います。そんな日本文化の魅力をお伝えし、皆さんと一緒に楽しめたらなと思っています。

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