【日本家屋】柱がつくる余白の文化! 地域に根ざした住まいの知恵
木や土など主に自然の材料を利用し、伝統的な日本の建築方法で建てられた家を日本家屋と呼びます。西洋の建築が石やレンガを使って壁を主体に構造をつくるのに対し、日本家屋はまず柱を立てることが大きな違いです。
壁よりも柱を重視する構造によって、日本家屋は西洋建築に比べて空間の境界が緩やかで、部屋ごとの用途も固定されすぎない特徴があります。一方で外部から光や風を取り込みやすく、自然との調和をもたらす開放的な構造となっている点も大きな魅力です。
この記事では、日本家屋に使用される代表的な材料や、全国各地に見られる日本家屋の特徴について紹介します。
この記事の目次
日本家屋とは
現在では施工件数こそ多くありませんが、社寺建築などでは釘を使わず木材同士を組み合わせて構造をつくる伝統的な「木組み工法」が継承されています。
日本家屋の最大の特徴は、木や土など日本の風土に根差した自然素材を利用し、伝統的な建築方法によって建てられていることです。室内装飾にも和紙など自然由来の材料が使われ、襖や障子によって空間を柔軟に仕切ることができます。
日本家屋に使用される代表的な自然素材とその特徴を紹介します。
屋根に使われる材料
茅葺(かやぶき)
ススキやアシなど、古くから屋根材として使用されてきた草の総称を「茅」と呼びます。
縄文時代の竪穴住居にも用いられ、第二次世界大戦後頃まで多くの農家の屋根に使用されていました。茅は比較的油分が多く、囲炉裏や竈の煙で燻されることで耐久性が増し、一般的に“15〜20年程度”使用できるとされています。
杮葺(こけらぶき)
厚さ2〜3mmほどの木の薄板を少しずつずらしながら何層にも重ねた屋根を杮葺と呼びます。
檜(ひのき)や椹(さわら)などの木材を板状に加工し、竹釘で固定して仕上げます。金閣寺舎利殿や銀閣寺観音殿など、文化財建築にも多く採用されています。
檜皮葺(ひわだぶき)
剝ぎ取った檜の皮を何層にも重ねて竹釘で固定する屋根の葺き方です。
檜の皮は耐久性が高く腐敗しにくいため、一般的に“30〜40年程度”の耐久性があるとされています。主に神社本殿や京都御所紫宸殿など、格式の高い建築に用いられています。
瓦葺き(かわらぶき)
瓦は飛鳥時代に朝鮮半島経由で伝来し、仏教寺院での使用から広まりました。江戸時代に安価で軽量な“桟瓦(さんがわら)”が登場すると、防火性の高さから庶民の住宅にも普及しました。
現在でも粘土を原料とした瓦は広く使用されており、「三州瓦(愛知県西三河地方)」「淡路瓦(兵庫県淡路島)」「石州瓦(島根県石見地方)」は「日本三大瓦」と呼ばれています。
壁に使われる材料
土壁
竹を格子状に編んだ下地に、藁などを混ぜた土を塗り重ねて仕上げる壁です。
湿度が高いと水分を吸収し、乾燥すると水分を放出する調湿作用があり、四季の変化が大きい日本の気候に適しています。
漆喰
消石灰を主原料に、麻・藁などの繊維質材料や海藻・米糊などを混ぜて仕上げる壁材です。
調湿性に加え「耐火性・耐久性」にも優れているため、古くから蔵や城の壁に使用されてきました。
畳について
古代の畳は筵(むしろ)のような薄いものだったと考えられています。現在のような厚みのある畳が登場したのは平安時代とされています。当時の畳は高貴な人物が座る・寝るときだけに使われ、位によって厚みや縁の模様が決まっていました。部屋一面に敷き詰める現在の形式(敷き詰め畳)が広まったのは室町時代で、町人層に普及したのは江戸時代中期以降と考えられています。
畳の寸法は地域によって異なり、「京間(約1.82㎡)」「中京間(約1.66㎡)」「江戸間(約1.55㎡)」があります。
襖・障子について
襖や障子は、平安時代に建物周囲に設けられていた「遣戸(やりど)」をもとに発展した建具です。
襖は中国から伝来した唐紙が貼られていたため、もともとは唐紙障子と呼ばれていました。一方、障子は光を取り込む白い和紙を貼ることから明かり障子と呼ばれ、書院造の発展とともに広く用いられるようになります。
安土桃山時代には、狩野永徳や長谷川等伯に代表される華麗な障壁画が描かれ、襖は芸術性と権威を示す存在として発展しました。
全国各地の代表的な日本家屋
京町家
京町家は「うなぎの寝床」とも呼ばれるように、間口が狭く奥行きが長い構造が特徴です。
通りに面した部屋は店舗や作業場、奥は居住空間として使われることが多く、職住一体の暮らしが形づくられていました。玄関から奥庭まで続く通り庭には竈が置かれ、軒下には格子窓や犬矢来(いぬやらい)が設けられています。また坪庭によって採光や通風を確保し、限られた敷地の中でも自然を身近に感じられる工夫がされています。
合掌造り
急勾配の屋根が掌を合わせたように見えることから合掌造りと呼ばれます。
主に岐阜県や富山県の豪雪地帯で発展しました。屋根に雪が積もりにくい構造となっているほか、白川郷では風の抵抗を減らし日照条件を整えるため、家屋が南北方向に配置される特徴があります。また屋根裏の広い空間は養蚕の作業場として活用され、生糸生産を支えていました。
曲り家(まがりや)
母屋と馬屋が一体化し、上空から見るとL字形になる建築形式です。
曲り家には大きく二系統があり、岩手県・青森県南部地方の「南部曲り家」、秋田県・山形県・新潟県などの「中門造」があります。南部曲り家は建物側面に入口があり、中門造は建物先端部に入口が設けられる違いがあります。特に日本海側の豪雪地域では、雪が最も溜まりにくい位置に入口を設ける合理的な工夫が見られます。また馬屋を主屋と一体化することで、大切な馬を冬の寒さから守る役割もありました。
おわりに
日本家屋に多く使用される代表的な木材には、杉・檜・松があります。
杉は断熱性が高く加工しやすいため柱や板材など幅広く使用され、檜は強度と美しい木目を持つことから神社仏閣にも多く使われてきました。また松は密度が高く丈夫なため、梁や桁など水平部材として利用されています。
日本建築に使われる材料の特徴を知ることで、日本家屋の奥深い魅力をより身近に感じることができるでしょう。
