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【クリブク】作品や記録を、“見返せる一冊”として残す。3つの冊子に見る「記録の編集」

 2026/05/05 ワコラボ
 
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作品をまとめる。家族のことばを残す。活動の歩みを記録する。

「いつか整理したい」と思いながら、写真や作品、手書きのノートは、少しずつ箱の中に積み重なっていきます。
けれど、それらを一冊にまとめたとき、単なる記録だったものは、その人の時間や想いを伝える“見返せる記録”として残り始めます。

今回は、若木屋が行う編集制作「クリブク(クリエイティブ ブック)」で実際に制作された3冊をご紹介します。

作品集、家族のことば、そして活動の記録。
それぞれ異なるテーマを持ちながらも、共通しているのは、「残したい」という想いから生まれた冊子であることです。


合阪奈保子 油絵作品集

個展をきっかけに、“活動の歩み”を残す


最初に紹介するのは、油絵作家・合阪奈保子氏の個展に合わせて制作された作品冊子です。

210mm×210mm・20ページ構成。
受賞作品や代表作、作品への想いが収録されています。

表紙には富士山を描いた作品が大きく掲載され、これまで積み重ねてきた創作の時間が、一冊の中に整理されています。印象的なのは、単なる作品図録ではなく、「なぜ描いたのか」という背景まで収められていることです。
たとえば、富士山を描いた《耀(かがよう)》については、「好きなものは好き。私の中には、すでに“私の富士山”が存在していた」という言葉とともに、公募展落選の悔しさや、その後メキシコ大使館へ寄贈されるまでの歩みが綴られています。

また、深川不動尊を描いた《ただいま修行中》では、「会期中、母が亡くなり、記憶に残るものになった」という、作家自身の時間も記録されています。

展示のために作られた冊子ですが、完成したあとには、“これまでの活動を振り返る記録” “来場者に世界観を伝える媒体” “作家自身の歩みを残すアーカイブ” としての役割を持つようになりました。

作品をまとめることは、活動の軸を整理することでもあります。


ゆり子作品集『花のこゑ』

母のことばを、家族で読み返せる一冊に


二つ目に紹介するのは、亡くなられたお母さまの言葉をまとめた冊子『花のこゑ』です。
B5サイズ・84ページ。
俳句、川柳、短歌、随筆、家族写真などが丁寧に収録されています。

制作のきっかけは、遺品整理の際に見つかった一冊のノートでした。
ご家族は、「母にもこんな一面があったのだと知る方々にもぜひ見ていただきたい」という想いから、本として残すことを決めたといいます。
誌面には、“春の風梅の香りをのせてくる” “湯の宿や川のせせらぎセミの声” といった、四季や暮らしを詠んだ言葉が並びます。特別な文学作品というよりも、「日々を生きた人の時間」が、そのまま息づいているような一冊です。

また、“病んで見てはじめてわかる優しさよ” “今日の日も無事に過ぎたり夕食も” という川柳からは、生活者としてのまなざしも感じられます。

冊子としてまとめたことで、“家族みんなで読み返せる” “次の世代へ残せる” “母の人柄を共有できる” という形になりました。言葉を残すことは、その人の生きた時間を残すことでもあります。


心に見いだす、美しさ『美乃想見』

活動や世界観を、“一冊の作品”として残す


三つ目に紹介するのは、陶芸作品をまとめた冊子『美乃想見』です。

210mm×210mm・36ページ。
米寿の記念として制作された冊子で、茶碗や花器、皿などの作品が、美術作品集のような構成で収録されています。

特徴的なのは、単なる作品紹介ではなく、「作品世界」を編集している点です。

冒頭には、「完全ではないものにこそ、美の本質は宿る。」という言葉が添えられています。さらに、「土に触れ、火をくぐり、かたちの中に現れる静かな美。」という文章とともに、器を“風景”として捉える世界観が綴られています。
作品には「常盤」「白藍」「華炎」「翠流」など、一つひとつに名前が付けられ、器そのものが小さな物語として扱われています。

この冊子は、“作品記録” “家族への記念” “活動の集大成” “世界観の共有” という複数の役割を持つ一冊になりました。活動は、記録によって“見返せる文化”になっていくのかもしれません。


記録を一冊に残すという選択

今回紹介した3冊は、それぞれ目的の異なる冊子です。

個展のための作品集。
家族の言葉を残した記録集。
活動や世界観をまとめた作品冊子。

けれど共通しているのは、「残したい」という想いから始まっていることです。
冊子として形にすることで、作品や言葉、活動の歩みが整理され、その人が積み重ねてきた時間や想いが、未来へ手渡されていきます。
記録を一冊にまとめることは、単に思い出を残すだけではなく、その人の歩みを“見返せる記録”として未来へつないでいくことなのかもしれません。


記録を未来へつなぐ編集

時間が経つほど、記録の価値は大きくなります。

いま身近にある作品、写真、ことば、活動の記録は、数年後、数十年後には、誰かにとってかけがえのない記録になっているかもしれません。

若木屋では、作品・活動・家族の記録を一冊にまとめる編集制作「クリブク(クリエイティブ ブック)」を行っています。

冊子をつくることは、単に本をつくることではなく、その人の歩みを未来へ手渡す編集なのだと思います。


【クリブク】

クリブク公式ページ >>> https://wakakiya.jp/kuribuku/


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