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【酉の市】開運・商売繁盛の熊手御守!酉の市とは?なぜ熊手?[2021年酉の市]

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酉の市とは

酉の市は、鷲神社、大鷲神社、長國寺(酉の寺)など鳥にまつわる寺社の年中行事で、主に関東で行われているお祭りです。「お酉さま」とも呼ばれて親しまれています。

その由来は各寺社によって少しずつ異なるそうですが、11月(場所によっては12月)の酉の日に行われる例祭が「酉の市」と称されているようです。元より、鶏は「時告げ鳥」「明けの鳥」とも呼ばれ、神の使いとして大事にされてきた存在です。そのため、境内で鶏を飼ったり放したりしている神社の氏子は鶏肉や卵を食べなかったそうです。

江戸時代になってからは、開運招福や商売繁盛を願うお祭りとして庶民にも親しまれました。当時、11月に酉の日が3回ある年は、火事が多いと言われました。これにも酉の市が絡んでおり、酉の市にかこつけて新吉原などの繁華街に行く殿方に釘をさすために女性たちが言い出したという説があります。それだけ江戸市民に浸透していたお祭りと言えるでしょう。

酉の市の象徴は、「かっこめ」とも呼ばれる熊手御守です。とりわけ、おかめの面や宝船などのおめでたい装飾をたくさん付けた大きな熊手は、見るだけでも華やかな気分にさせられます。


酉の市のはじまり

酉の市の発祥として有名な東京都足立区の大鷲神社によると、応永年間(1394~1428)より日本武尊の命日とされる11月酉の日に、神恩感謝の祭が行われるようになり、その大鷲神社の門前市が現在の酉の市になったとされています。

一方、同じく酉の市で有名な東京都台東区の鷲神社では、日本武尊が東夷征討の帰りに、戦勝祈願のお礼参りに立ち寄った日が11月酉の日であり、この日を鷲神社例祭日と定めたそうです。

また、その鷲神社とかつてはひとつの寺社だった長國寺では、文永2年(1265)に日蓮大聖人が上総国鷲巣に滞在したとき、国家平穏を願って祈ったところ、鷲妙見大菩薩が現れたこと、それが11月酉の日だったことが由来として語られています。毎年この日はご開帳日とされ、その参詣者のための市が「酉の市」になったようです。

このように各寺社で由来が異なるようですが、その実、地域の収穫祭が変化したのではないかという見方もあります。いずれにせよ、江戸周辺の市民から信仰を集めた寺社で行われる酉の市は、大変な賑わいとなり、特に浅草近辺は新吉原という繁華街が近くにあったのもあいまって盛況だったそうです。


なぜ?熊手御守

酉の市の象徴とも言うべき熊手御守。酉となんの関係があるのか、と不思議に思えるかもしれません。

これは元々、神社周辺に住まう農民向けに、縁日の境内で熊手や鍬などの農具を販売していたのが始まりだったそうです。そのうち、おかめなどの縁起物が農具につけられるようになり、いつしか今のような装飾が派手な熊手に変化していったとされています。

また、運を掻き込むように熊手の形をしている、酉にちなんで幸運を鷲掴みにするとして鷲の足が元になっているなどの考えもあります。

酉の市が行われる寺社では、この熊手御守が頒布・授与されるほか、豪華な熊手御守を商う露店も設けられます。開運や商売繁盛を願う縁起物がやりとりされる境内は、時には手締めの音や掛け声が飛び交い、とても活気がある場です。


2021年の酉の市

そんな酉の市ですが、今年はいつ行われるのでしょうか。

[一の酉]2021年11月9日(火)

[二の酉]2021年11月21日(日)


※新型コロナウィルス感染症拡大防止の為、感染予防対策、場内規制など行い開催を予定していますが、状況により開催されない場合もございます。ご参拝の際には、最新情報、感染拡大防止対策をご確認ください。


酉の市開催寺社

大鷲神社

足立区にある、酉の市発祥と言われる神社です。

平安時代後期の武将である源義光が、兄・源義家の援軍として後三年の役に向かうときに立ち寄って戦勝を祈願した神社でもあります。かつてはこの大鷲神社を「上酉」、千住にある勝専寺を「中酉」、浅草の鷲神社を「下酉」と呼んだそうです。

http://ootori-jinja.or.jp/


東武スカイツリーライン「谷塚」駅より東武バス桑袋団地行「草加記念体育館前」下車

つくばエクスプレス「六町」駅より東武バス花畑団地循環「花畑六丁目」下車


浅草鷲神社・酉の寺(長國寺)

明治初めに神仏分離令で分割されましたが、元はひとつの寺社でした。

関東三大酉の市のひとつにも数えられ、江戸時代にとりわけ賑わった酉の市です。鷲神社の境内には、台東区ゆかりの作家である樋口一葉のほか、宝井其角や正岡子規の文学碑も境内に存在します。

http://www.otorisama.or.jp/

[浅草鷲神社]


[長國寺]

http://otorisama.jp/


花園神社

大都会の新宿に位置する花園神社は、江戸幕府が開かれるよりも前からこの土地の総鎮守でした。

境内に新宿大鳥神社が鎮座しており、酉の市が催されるようになったのは明治に入ってからですが、今では関東三大酉の市のひとつとなっています。その人出は約60万人にも及ぶと言われ、繁華街に劣らぬ賑わいです。見せ物小屋も祭りの名物となっています。

http://www.hanazono-jinja.or.jp/


大國魂神社

武蔵国総社であり、東京五社のひとつでもある大國魂神社には、境内末社として大鷲神社が鎮座します。

その酉の市が、浅草鷲神社・長國寺や花園神社と並んで、関東三大酉の市のひとつとなっています。熊手だけでなく農具や農作物も売り出され、江戸時代から農民に親しまれていたことが窺えるお祭りです。

https://www.ookunitamajinja.or.jp/


鷲宮神社

関東最古の大社とも言われている鷲宮神社は、大酉祭の元祖とされており、数々の関東武士の進行を集めました。

お酉様の本社を誇るこちらでは12月の初酉にあたる日に、酉の市(大酉祭)が開かれます。近年では大酉祭限定の御朱印も頒布されるようになったようです。

http://www.washinomiyajinja.or.jp/


金刀比羅・大鷲神社

安政6年(1859)に横浜で創建された金刀比羅社は、慶応2年(1866)に移転したのを機に、大鷲神社も祭祀するようになりました。そして東京に倣って、酉の市が行われるようになり、横浜市教育委員会によって無形民俗文化財に登録されています。

https://yokohama-torinoichi.jimdo.com/


まとめ

酉の市に足を運ぶと、その賑やかさに心が華やぎます。そうした雰囲気が、開運や商売繁盛のご利益を運んでくるのかもしれません。

11月の酉の日を迎えたら、お近くの「お酉さま」に足を運んでみてください。そのときは、熊手御守を求めるのもお忘れなく。

ぜひ、福を掻き込みましょう。


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nishi

nishi

大学では日本文化や比較文化を学んでいました。美術の学芸員資格を持っていて、一番の趣味も博物館・美術館めぐりです。気になる展覧会があれば、新幹線や飛行機に乗ってでも足を運びます。「推し」は酒井抱一。
普段は花や鉱石、文学などを愛でながらのんびり過ごしています。ゲームのシナリオライターでもあるため、サブカルチャー方面にもアンテナを張るようにしています。
好奇心が原動力。「楽しい!」という気持ちを、いろんな人と分かち合うのが好きです。いつか自分の趣味をふんだんに盛り込んだ展示イベントを企画できたら……と野望を抱いています。

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