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【戒律】鑑真和上坐像45年ぶり京都公開! 凝然国師没後七百年 特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」開催[京都国立博物館]

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展覧会のみどころ

みどころ1

唐招提寺御影堂修理により実現。鑑真和上坐像が、寺外公開12年ぶり、京都国立博物館では、1976(昭和51)年の「日本国宝展」以来、45年ぶりに公開。


みどころ2

明治までの日本戒律の歴史を一堂にカリスマたちが綴ったもうひとつの日本仏教史。


みどころ3

特別出展 籔内佐斗司作「凝然国師坐像」


展示構成

第1章

戒律のふるさと ─南山大師道宣に至るみちすじ─

律とは僧侶の集団生活を行う上で生じた問題点を弟子が釈迦に聞いたものが、各部派で整理されていったものです。

仏教が中国に伝わった際にも、律は僧侶のあるべき姿を示すものとして重視されましたが、中国の僧にとってインドの風俗は文献だけでは理解できないことが多々あり、戒律研究のためにインドに渡る僧侶を輩出しました。こうした中国の律学研究を集大成したのが、南山大師道宣です。道宣の系譜は南山律宗と言われ、中国の主流として長く続きました。


三国祖師影(部分)


三国祖師影(部分) 平安時代 久安6年(1150)、京都・大谷大学博物館、後期展示


第2章

鑑真和上来日 ─鑑真の生涯と唐招提寺の創建─

鑑真は唐の揚州(江蘇省)の生まれ、律は道宣の系譜を継いでいます。揚州・大明寺の住職を務めていた時に、聖武天皇の意を受けた日本僧、 栄叡(ようえい)、普照(ふしょう)から戒律を日本へ伝えるよう懇請されました。

鑑真は地位をなげうち日本への渡海を試みますが、5回にわたり挫折し、6度目にして漸く日本の地を踏みました。時に、753(天平勝宝5)年のことで、その厳しい行旅により既に失明していたことはよく知られています。朝野の歓迎を受け、東大寺に戒壇を整備した後、唐招提寺を賜り、後進の指導にあたりました。


国宝 鑑真和上坐像


国宝 鑑真和上坐像 奈良時代(8世紀)、奈良・唐招提寺、通期展示、撮影:金井杜道


重要文化財 東征伝絵巻 巻二(部分)


重要文化財 東征伝絵巻 巻二(部分) 鎌倉時代 永仁6年(1298)、奈良・唐招提寺、通期展示(巻替あり。この場面は前期展示)、撮影:金井杜道


国宝 金銅舎利容器(金亀舎利塔)


国宝 金銅舎利容器(金亀舎利塔) 平安~鎌倉時代(12~13世紀)、奈良・唐招提寺、通期展示、撮影:金井杜道


国宝 伝獅子吼菩薩立像


国宝 伝獅子吼菩薩立像 奈良時代(8世紀)、奈良・唐招提寺、通期展示、撮影:金井杜道


第3章

日本における戒律思想の転換点 ─最澄と空海─

仏教が民衆救済に向き合うようになると、戒律に対する姿勢も変化します。その最初が、天台宗の最澄(さいちょう)です。最澄は釈迦から隔たった日本では戒律をそのまま守り得ないと考え、皆が守れるような最低限の規範としての大乗戒に注目し、南都と異なる立場を取るに至りました。この思想は大きな転換点となり、浄土宗の法然(ほうねん)や浄土真宗の親鸞(しんらん)、日蓮法華宗の日蓮(にちれん)に継承されています。

空海(くうかい)が唐から伝えた密教は、従来の戒律を重んじたほか、三昧耶戒(さんまやかい)と呼ばれる特有の戒が存在しました。また、密教の本場主義は、戒律運動が釈迦への原点回帰を目指した際の道しるべとなりました。


国宝 円珍戒牒(部分)


国宝 円珍戒牒(部分) 平安時代 天長10年(833)、東京国立博物館、前期展示


国宝 法然上人絵伝 巻十(部分)



国宝 法然上人絵伝 巻十(部分) 鎌倉時代(14世紀)、京都・知恩院、後期展示


重要文化財 弘法大師坐像


重要文化財 弘法大師坐像 鎌倉時代(13~14世紀)、奈良・元興寺、通期展示


重要文化財 金銅装戒体箱(元応二年五月十二日朱漆銘)


重要文化財 金銅装戒体箱(元応二年五月十二日朱漆銘) 鎌倉時代 元応2年(1320)、大阪・金剛寺、後期展示、撮影:森村欣司


第4章

日本における戒律運動の最盛期 ─鎌倉新仏教と社会運動─

鎌倉新仏教と呼ばれる民衆に向き合った仏教革新運動において、戒律は重要な役割を果たしました。

覚盛(かくじょう)、叡尊(えいそん)は、唐招提寺、西大寺をそれぞれ拠点として戒律を復興し、現在の律宗と真言律宗の基礎を築き、東大寺では戒壇院を中心に戒律研究が進み、凝然(ぎょうねん)という大学者も現れました。彼らは弟子にも恵まれ、勧進、すなわち民衆の力を結集することによって社会福祉事業の実践に大きな力を発揮し、鎌倉時代を通じて大きな影響力を持ちました。

また、俊芿(しゅんじょう)は、中国・南宋に渡って戒律を学び、帰国後、泉涌寺を中心に活躍しました。


重要文化財 大悲菩薩(覚盛)坐像


重要文化財 大悲菩薩(覚盛)坐像 成慶作 室町時代 応永2年(1395)、奈良・唐招提寺、通期展示、撮影:金井杜道


地蔵菩薩像(壬生地蔵)


地蔵菩薩像(壬生地蔵) 鎌倉時代(13世紀)、京都国立博物館、通期展示


国宝 興正菩薩(叡尊)坐像


国宝 興正菩薩(叡尊)坐像 善春作 鎌倉時代 弘安3年(1280)、奈良・西大寺、後期展示、撮影:森村欣司


重要文化財 『南山教義章』 巻第二十九(『華厳孔目章発悟記』巻第二十一紙背)


重要文化財 『南山教義章』 巻第二十九(『華厳孔目章発悟記』巻第二十一紙背)(部分) 凝然筆 鎌倉時代 正応4年(1291)、京都国立博物館、通期展示


重要文化財 俊芿律師像


重要文化財 俊芿律師像 鎌倉時代 嘉禄3年(1227)、京都・泉涌寺、通期展示


慈雲巌上坐禅像 原在中筆


慈雲巌上坐禅像 原在中筆 江戸時代 天明3年(1783)、大阪・高貴寺、前期展示



凝然国師没後七百年 
特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」

2021年3月27日(土)~5月16日(日)

<主な展示替>前期:3月27日(土)~4月18日(日)/後期:4月20日(火)~5月16日(日)
※一部の作品は上記以外にも展示替を行います。

[会場] 京都国立博物館 平成知新館

[開館時間] 9:00~17:30(入館は17:00まで)※夜間開館は実施しません。

[休館日] 月曜日 ※ただし5月3日(月・祝)は開館、5月6日(木)休館

[観覧料] 一般:1,800円(1,600円)、大学生:1,200円(1,000円)、高校生:700円(500円)
※( )内は前売料金です(2021年2月1日~3月26日までの期間限定販売)。 ※中学生以下は無料です。 ※障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。*身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳 ※大学生・高校生の方は学生証をご提示ください。 ※キャンパスメンバーズ(含教職員)は、学生証または教職員証をご提示いただくと、各種当日料金より500円引きとなります。

[主催] 京都国立博物館、律宗総本山 唐招提寺、日本経済新聞社、京都新聞、NHK京都放送局
[特別協力] 華厳宗大本山 東大寺、真言宗泉涌寺派総本山 御寺 泉涌寺、真言律宗総本山 西大寺(五十音順)

[公式サイト] https://ganjin2021.jp/


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