【伝統文様】縁起の良い吉祥和柄!日本の伝統文様一覧16選
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伝統文様とは
衣装や用具に施された図柄を「文様」「紋様」または「模様」と言います。
衣服に文様が施されるようになったのは平安時代からとされていて、唐などの文化も柔軟に取り入れながら、日本独自のものへと発展させてきました。
桃山時代から江戸時代にかけて、特に江戸時代には文様のバリエーションが多彩になりました。幸せを祈り願う吉祥文様や、四季折々の草花などの文様を衣服に施し現代まで繋がってきました。
伝統文様はとても身近なもので、神社仏閣などの建造物、浮世絵や食器に至るまで着物以外にも私たちの生活のあらゆる所に見つけることができます。
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伝統文様の意味と由来
麻の葉
[あさのは]
六角形を基本に構成した幾何学文様。
麻は丈夫に育つ植物でまっすぐにすくすくと伸びることから、赤ちゃんの産着や子どもの着物などによく用いられました。
江戸時代後期に歌舞伎役者が舞台衣装でこの文様を着用した事で、当時の女性たちの間で大変流行しました。
市松
[いちまつ]
色の違う正方形を上下左右に格子状に構成した文様。
「霰 (あられ)」と呼ばれていた文様は、やがてその形が似ていることから「石畳 (いしだたみ)」と呼ばれるようになりました。
その後、江戸時代中期の歌舞伎役者 佐野川市松が舞台衣装で愛用したことから、市松文様と呼ばれるように。
鱗
[うろこ]
正三角形または二等辺三角形を連続して配列した文様。
魚や蛇の鱗に見立てて名付けられました。古くは古墳や埴輪にもこの文様が使用されていて、北条時政の旗印が三角形を三つで「三鱗 (みつうろこ)」というのは有名ですね。
能や歌舞伎では蛇や鬼女の衣装に使われていて、怖いもの、邪悪なものというイメージもありますが、あえて使用することで厄よけや魔よけになるとされています。
一部の地域では女性の厄年に鱗文様の長襦袢を着るという風習も残っています。
七宝
[しっぽう]
同じ大きさの円を円周の4分の一ずつ重ねた文様で、「輪違い (わちがい)」とも呼ばれます。
七宝とは仏教の中で、金、銀、瑠璃、玻璃、珊瑚、瑪瑙、硨この7つの宝物を意味します。文様からは7つの宝をイメージしにくいのですが、「四方八方」に広がる円という音から「七宝」と呼ばれるようになったという説があります。
円や輪は、円満や永遠の広がりを表すことから吉祥文様として親しまれています。
亀甲
[きっこう]
正六角形を繋いで表した幾何学文様。
日本では亀の甲羅の模様に似ていることから名付けられ、「亀甲繋ぎ」とも呼びます。
亀甲は長寿を願う吉祥文様として用いられました。亀甲の中に亀甲を重ねて「子持ち亀甲」、亀甲の中に花を組み合わせて「花菱亀甲 (はなびしきっこう)」という文様もあります。
ちなみに西洋では蜂の巣に見立てられます。
矢絣
[やがすり]
矢に付いている鳥の羽根を矢羽根と呼びます。
この矢羽根を絣織で表したものを矢絣といって、江戸時代では奥向き女中の着物柄に使われていました。
矢羽根には破魔矢と同じ意味合いが込められていて、邪気を払うとされています。
青海波
[せいがいは]
同心の半円を連ねた文様。
舞楽の「青海波」という演目の装束に使われていた文様で、そこからの名前です。
四海波静かという言葉もあるように、波が穏やかで世界が泰平な様子を表す吉祥文様です。
また、どこまでも広がる波が幸運をもたらすとも言われています。海に囲まれた日本では特に愛された文様かもしれませんね。
熨斗
[のし]
細長い紙状のものを束ねた形の文様。
鮑を薄く切って乾燥させ熨斗紙に包んで、儀式やお祝い事の進物に添えられる熨斗鮑に見立てたものです。
延寿の象徴としておめでたい席で使われる熨斗は、吉祥文様とされています。
唐草
[からくさ]
つる性の植物が曲線にからみ合い伸びる文様。
旺盛に伸びる唐草は、その強い生命力から長寿や子孫繁栄を表すとして親しまれてきました。
風呂敷や獅子舞の衣装などが代表的ですね。
他にも菊と組み合わせて「菊唐草 (きくからくさ)」、鳳凰と組み合わせて「瑞鳥唐草 (ずいちょうからくさ)」という文様もありいずれも格式高い吉祥文様です。
瓢箪
[ひょうたん]
瓢箪はウリ科のつる性植物で、お酒を入れたり飾りにしたり昔から身近に使用されてきました。
「ひさご」や「ふくべ」とも呼ばれます。葉や つたと共に描いたものは「成瓢 (なりさご)」といいます。
瓢箪は多くの実をつけることから、子孫繁栄や商売繁盛を表します。また、6つの瓢箪で「むひょう」これを語呂合わせで「無病」とし、無病息災を願う文様もあります。
籠目
[かごめ]
竹で籠を編んだ網目を表した幾何学文様。
籠目は鬼が嫌うという逸話があり、魔よけとして用いられました。
波千鳥
[なみちどり]
千鳥と波を組み合わせた文様。
文様での千鳥は鳥の種類ではなく、水辺に棲んでいて群れで飛ぶ小鳥の総称です。
万葉集などにも多く詠まれて昔から日本人にとても愛されてきました。
千鳥の文様を単純化したものを千鳥格子と呼びます。
扇
[おうぎ]
扇は日本発祥のもので、広げると末広がりになることから繁栄や発展を表す吉祥とされています。
またその形状から「末広 (すえひろ)」とも呼びます。
扇の骨部分を除いた紙を地紙といって、「地紙」文様もあります。
地紙部分には花々や植物、幾何学文様などが施されて愛用される文様です。
現代に馴染みのある形の扇の文様は室町時代から始まったとされていて、平安時代の貴族が使っていた扇は檜扇といい、「檜扇 ひおうぎ」文様も雅です。
鯛
[たい]
文様での鯛は一般的には真鯛のことです。
日本では鯛は神様への供物とされて、お正月などお祝い事には欠かせません。魚の文様の中でも特に吉祥性が高いです。
二尾の鯛を向かい合わせたものを「祝鯛 いわいだい」文様と呼びます。
橘
[たちばな]
柑橘類の植物で古くから日本に自生していたと考えられています。
古事記には「常世の国」に自生する果樹と記されて、長寿や子孫繁栄の象徴として長く愛されている吉祥文様です。
お正月の鏡餅の上に橙を乗せるのもそのためです。またこうした由来から婚礼衣装や留袖などに多く使用されています。
鴛鴦
[おしどり]
鴛鴦は羽の色が大変美しく、雄雌が仲むつまじい様子から吉祥の鳥として親しまれてきました。
文様として使用されるのは桃山時代、江戸時代からです。
おしどり夫婦という言葉もあるように、夫婦円満の象徴とされています。
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まとめ
着物や帯の色柄はただ美しいというだけでなく、その一つひとつに込められた祈りがあります。
その歴史や意味を知る事で、また新たな発見や気づきがあるかもしれません。
自然への敬意が現れていたり、歌舞伎役者から文様が流行したり、現代にも通じるものがあって親しみと感謝の気持ちが湧いてきます。
私たちの祖先が残してくれた幸せへの祈りや願い、自然への畏敬の念は、今もこうしてすぐ側で感じられます。
美しくて粋な和柄を、その祈りも一緒に次の世代へ繋げていきたいですね。
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