【六角精児】誰しもが直面する人生、くらやみ祭で変わる!映画『くらやみ祭の小川さん』[インタビュー]
この記事の目次
府中の熱い想いで支えられている
ーー映画の撮影中に府中の方々と接する機会はありましたか?
撮影には府中の方々がたくさんいらっしゃいました。
シーンによっては、くらやみ祭の関係者が出ているシーンもありましたし、府中市民の方々が、町の人々という形で出ているシーンもあったりと… 多くの方々が関わっているんだなと映画を作っている現場で実感しました。
実際、くらやみ祭にいった時にもたくさんの方から声をかけられ、映画もお祭りも多くの人が関わり、熱い想いで支えられているんだと感じましたね。
迫力とスケールの大きさに驚き
ーー「くらやみ祭」のことはご存知でしたか?
「くらやみ祭」のことは知らなかったですね。
実際にお祭りを観に行ってみて、すごくスケールの大きいお祭りでびっくりしました。
あんなに大きなお祭りがあって、自分の人生をかけて熱くエネルギーを注ぎ込んでいる方々がたくさんいらっしゃる。本当にハートが熱い方ばかりなんですよ。
これまでの自分の生活の中では、これほど大きなお祭りに接することはなかったですから、今回参加してみて改めて映画にする価値があるお祭りだと思いましたね。
ーーくらやみ祭では、神輿のほか六貼りの大太鼓も迫力ありますよね。
お祭りを観に行った時、大太鼓を叩かせていただく機会がありました。
「しきたりもよくわからないし、自分が叩いて良いものか」と大変申し訳ない思いでしたが、叩いてみるとすごい迫力でしたよ。こちらが叩くと向こう側もドーンって交互に叩くのですが、叩いたときの爽快感は素晴らしかったです。きっと私、幸せになりますよ(笑)。
本当に素晴らしいお祭りなのでぜひ皆さんに足を運んで参加してみてほしいですね。
共通点は祭りに縁がなかったこと!?
ーー大きなお祭りに接することはなかったとの事ですが、地元のお祭りなどに行く機会はありましたか?
今まで、お祭りに関わる事はほとんどなかったですね。
どこかで勝手にやっているものだっていう印象があって。自分自身、例えば学園祭などでも積極的に関わってきたわけではなくて、友達が「バンドをやろう」って言いだして、誘われて参加するという感じです。僕はそういうことにあまり積極的では無いですね。
それでも、小さい頃お祭りで親父に大きなカブトムシを買ってもらった記憶がありますよ。鮮明な記憶はないけれども、山車を引っ張っている子供の時の写真も残っていますね。神社に行くのは初詣くらいです。明治神宮とか鶴岡八幡宮とかしか行くことはなかったですね。
そういう意味では、くらやみ祭に参加するまでの小川さんと同じですかね。
健康を考えながら飲むようになった
ーー撮影期間中、府中でお酒を呑む機会はありましたか。その時どんなお酒を呑みますか?
翌日が休みの時には、撮影後に府中でも呑みに行きましたよ。皆さんに教えて頂いて行ったお店は良いお店ばかりでした。
日本酒を呑む時は、おいしい肴があって、ゆっくり家で呑む感じ。お店で楽しくワイワイ呑むお酒はもっぱら焼酎が多いですかね。最近はアイリッシュウィスキーも呑みますね。
これからも健康で生きていこうと思っていますから、呑み方にもいろいろ気をつけるようになりました(笑)。
理想的な奥さん像を描いた!?
ーー高島礼子さん演じる小川さんの奥様の印象はいかがでしたか?
あの奥さんは良くできた奥さんですよね。
発破をかけたり慰めたり、押したり引いたり、人間力のある奥さんだと思います。小川さんは、あの奥さんに助けられているんだなって思いますよ。浅野監督は、こういう奥さんが世の中にいるかどうかは別として、理想の奥さん像として描いたのではないでしょうか。
普通は夫がリストラされたら奥さんも文句を言うだろうし、家にずっといたら疎ましいと思う。夫は夫で今まで何のために働いてきたんだろうって考えちゃうと思うし、きっとかなり辛いと思う。
そういう意味では小川さんは幸せだと思いますね。
高齢者問題や出戻り娘にその子供、母子家庭の生きづらさと色々な問題があるかもしれない。でも小川さんには家族がいるから良いと思う。小川さんの家族みんな頑張って欲しいな。
分かりあえるって幸せなこと
ーー娘と一緒に缶ジュースを飲むシーンが印象的でした。
もし自分に娘がいたら、映画のシーンのように寄り添えるのだろうかって考えますよね。
人生に行き詰って迷っている娘に、父親として何か言ったりできるって、それはそれでラッキーだと思う。小川さんは仕事に恵まれているわけではないけれども、だからといって全く不幸っていう訳ではない。
むしろ娘のことを近くに感じたり、お父さんはこういう人だって思ってもらって、距離を縮められることが素晴らしいと思う。人間と人間の触れ合いってなかなかできないし、生きている間に家族が何かを話し合い、分かり合えるということができるって、実は幸せなことだと思います。
親が亡くなって初めてわかることってあると思うし、僕だって未だに母親に対して素直になれないし、どうしても家族に対しては照れがあるんだよね。
ーー家族のつながりを考えさせられますね。
考えさせられるっていい事なんですけれど、だからこうなんだという結果や答えが出せるものばかりじゃないですよね。
でもそういうことは生きていればたくさんあって、それをくらやみ祭にぶつけることによって、問題を乗り越えようとするエネルギーが湧いてくるんじゃないかな。
日々の生活の中には答えが出ないことがあるけれど、 “答えの出ないことをも暖かく包み込んでくれる” そんな映画なんだよね。
それが「くらやみ祭」なのかもしれないし、府中の街なのかもしれない。
きっと観る人の力になれる内容だと思う。
自分で見たり聞いたりする “ 欲 ”を広げて欲しい
ーー文化について思うことはありますか。
映画はお金を払って自分の責任で観に行くものですよね。自分でお金を払って、良いものを見て力がもらえる。自分の身を少し削って自分の豊かさを取るということを、ぜひやって欲しいなって僕は思いますね。
映画や舞台など、一人ひとりが見たいものを観て、豊かになっていく事が文化につながるんじゃないかな。
自分で見たり聞いたりする “ 欲 ” を広げて、その欲望に素直になってやりたい事をもっとやって欲しいと思う。そしてそれが行く行くは自分の大切な財産になる。
僕らは面白いものを作っていくので、ぜひ映画館に足を運んでほしいですね。
表だった得はないけど豊かになる旅
ーー旅で知る日本の良さとは?
旅で地方に行って、呑みながら地元の人の話を聞いていると、そこの景気や文化とか例えばいつ祭りがあるとかその地域のことがよくわかるんですよね。
行ってみなければその地域のことはわからないし、人と人が触れ合うことで得ることがたくさんあります。自分にとって表だった得はないけれど、そういう触れ合いを積み重ねることが、心が豊かになることだと思うんですよ。
日本には四季があって、それぞれの風景がどこの地域にもあります。
旅の中でそういう風景に出合えると、日本はまだまだ広いなって思いますね。どんどん旅に出て、日本の良さや文化に触れてほしいなって思いますし、触れていきたいですね。
誰しもが直面する人生
ーー最後に、わつなぎ読者へメッセージをお願いします。
府中の「くらやみ祭」は本当に素晴らしいお祭りです。
この祭りを通じて、そろそろ人生の後半を迎える人間を中心とした、家族のあり方が描かれてます。誰しもが直面する家族の問題だったり、人生だったり、それぞれが経験するであろうことが描かれている映画なので、ぜひ映画館に足を運んで観ていただきたいと思います。
それぞれの立場で色々なことを考えさせられる映画だと思います。
インタビューを終えて
六角精児さんという方は、お祭りで例えるならば「屋台の飴細工職人」なのではないでしょうか。
集う人たちの笑いや揉めごどなど悲喜こもごもを「うんうん、そうだよな」ってそばで聞いてくれながら、「○○の形の飴ちょうだい!」というリクエストには、職人らしくさっと作ってみせてくれる人。
お祭りが終わると、また次の旅へ出ていってしまうけれど、翌年には必ず帰ってきてくれて、お祭りには絶対にいてほしい人。そんな印象の方でした。
六角精児さん演じる小川秀治56歳人生再スタートの日々が、10月25日より全国順次公開されます。
ぜひお近くの劇場へ足を運んで観てください!
六角精児プロフィール
1962年6月24日生まれ、兵庫県出身。
1982年劇団「善人会議」(現:扉座)の旗揚げメンバー。
2000年にテレビ朝日系でスタートしたドラマ「相棒」シリーズで注目を集め、その後もドラマ「電車男」などの話題作に出演。多くの舞台、TVドラマや映画で独自の存在感を放つ。
2009年春、映画「鑑識・米沢守の事件簿」で映画初主演。
2015年よりスタートしたNHK BSプレミアム「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」は人気シリーズとなっている。近年の出演映画には「超高速!参勤交代」シリーズ、「銀魂」シリーズ、「ザ・ファイブル」などがある。
映画『くらやみ祭の小川さん』
[出演]
六角精児 佐津川愛美 斉藤陽一郎 / 柄本明 / 螢雪次朗 水木薫 水野久美 高島礼子
[監督・脚本]
浅野晋康
[プロデューサー]
竹本克明・坂上也寸志
[企画・製作]
ヴァンブック
[配給]
ピーズ・インターナショナル (c)ヴァンブック
[協賛]
武蔵総社大國魂神社、MAKINO、大國魂神社奉賛会、京王株式会社、大石衣裳店、大國魂神社氏子青年祟敬会
[公式サイト]
kurayamiogawa.com/
10月25日(金) TOHO シネマズ府中 他
全国順次公開
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