【和食】世界が認めた伝統的な食文化! 無形文化遺産「和食」食事のことだけではない。4つの特徴と魅力
和食を登録申請した背景
日本人にとって「和食」は身近な物だと感じている方も多いかもしれません。それなのに、一体なぜ和食がユネスコ無形文化遺産に登録申請されたのでしょうか。
まずはユネスコ無形文化遺産について説明します。
ユネスコ文化遺産とは、芸能、伝承、社会的慣習、祭礼、伝統工芸技術など、文字通り「形のない」遺産が対象となり、その遺産を保護するために作られました。時代とともに消えつつあるような地域独自の文化遺産を大切に残し後世へ伝えることを目的としています。
和食がユネスコ無形文化遺産に登録申請された背景には、主に2つの理由があります。
ひとつ目の理由は「和食文化の保護のため」です。
グローバル化が進み世界中の食事が食べられるようになった日本では、和食離れが深刻な問題になっています。作るのに時間や手間がかかる和食がライフスタイルに合わなくなってきたというのもその一因でしょう。
豊かな和食文化を後世へ伝え残していくためにも、無形文化財として保護・継承することが必要だったという背景があるのです。
もうひとつの理由は、「海外へ和食文化をアピールするため」です。
最近世界中で「ラーメン」「スシ」「サケ(日本酒)」などの人気が高まり、気軽に日本食が食べられるようになっています。この「日本食」、つまり日本独自の食である和食が無形文化遺産としてより広く知られることで、和食を世界の人にアピールしていきたいという意図もあったと言えますね。
和食の4つの特徴
ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」とは、寿司やそばといった「食事」のことではありません。
公式に登録された内容を見てみると「和食;日本人の伝統的な食文化」とあります。世界から認められたのは、日本人が築き上げてきた食とそれに関わる生活様式を含めた文化のあり方なのです。
ここからは、登録された「和食」の4つの特徴を見ていきましょう。
特徴1
新鮮で多様な食材とその持ち味の尊重
日本には明白な四季があり一国の中でも様々な地形・気候の多様性が見られる、まさに食材の宝庫です。そんな豊かな海の幸・山の幸の持ち味を活かすのが和食の特徴と言えます。特に出汁を使った調理法は素材の味を引き出す優れた技術のひとつです。
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特徴2
栄養バランスに優れた健康的な食生活
「飯・汁・菜・香のもの」という一汁三菜を基本とする和食の膳立ては健康的な食事の理想形だと言われています。地域で採れた食材を旬の時期に食べるという自然食品文化の他にも、「うま味」を上手に使うことによって塩分や動物性脂肪を抑えた食事を実現していることは日本人の長寿の要因となっています。
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特徴3
自然の美しさや季節の移ろいの表現
食事によって自然の美しさや四季の移ろいを「目で」楽しませることも和食文化の特徴です。季節に合わせたしつらいや器を利用したり、花や葉を使って料理に季節感を表現したりという、日本らしい美意識、自然の美しさを楽しむ心が和食では大切にされています。
特徴4
年中行事との密接な関わり
日本の食文化は年中行事との深い関係があります。例えば餅は正月に欠かせないものですが、餅つきという行事には人が寄り集まり新年を祝います。また、お食い初めや七五三など、人の成長を祝う行事にもまた食は欠かせません。こうした季節の行事の中心にあるのが和食なのです。
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世界に認められた理由
「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産として登録された理由は、時代や環境の変化によって衰退しつつある価値ある文化として認められたということです。和食文化とは単なる「食事」のことではないのです。
例えば、箸や椀の持ち方など、食べ方ひとつとっても和食にはたくさんの決まりがありますよね。このようなマナーをよく見ていくと「相手を不快にしないこと」「目上の人を敬い、和を尊ぶこと」など、日本で良しとされる価値観がよく表れていることが分かります。
食事についてのしきたりやマナーが生まれ、残ってきた背景には、古くから日本人が「食事」をコミュニケーションの場として大切にしてきたということがあります。つまり食事は日本人の社会生活にとって欠かせない「文化」なのです。
このように、「食」を取り巻く文化が日本人の価値観や道徳などに深く根付いていること、これこそが和食が無形文化遺産として認められた理由ではないでしょうか。
和食の日の制定
ユネスコ無形文化遺産として和食が登録されたことを記念して11月24日を「和食の日」と制定されたことをご存じでしょうか?「いい(11)に(2)ほんしょ(4)く」という語呂合わせで、「実り」の季節である秋にちなんで提唱されたものです。
秋にはその年の収穫に感謝し、来年の豊穣を祈る祭りが各地で行われます。この時期に合わせて、ひとりひとりが自然に感謝し、和食と改めて向き合うきっかけにしてほしいとの思いがこめられています。
11月24日には、「和食」を通して食欲の秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
和食離れの進む昨今、どのように和食と向き合っていけばよいのかを改めて考えさせられましたね。
まずは、和食の特徴のひとつである、地元で採れた食材を旬の時期にいただくことから始めてみてはいかがでしょうか。
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