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【宝物】守り伝え、受け継がれる美!御即位記念特別展『正倉院の世界』開催[東京国立博物館]

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御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」のみどころ


正倉院正倉

皇室が守り伝えた正倉院宝物と
法隆寺献納宝物の代表作を一挙公開

天皇陛下御即位という御慶事(ごけいじ)を記念し、皇室が守り伝えた正倉院宝物の代表作と法隆寺献納宝物を中心とした作品約110件から、正倉院宝物の世界を多角的に紹介します。

法隆寺献納宝物と
正倉院宝物の同時公開

漆胡瓶(正倉院宝物)と竜首水瓶(法隆寺献納宝物)など同じ用途のために製作された作品を並べて展示することで、時代や素材の異なるそれぞれの造形美の特色を間近にご覧いただきます。

約9000点の宝物を1260年以上にわたり伝えた
「正倉院」を知り、そのスケールを体感する

貴重な文化財を更なる未来に伝えるため、今なお行われる保存・修理・模造の取り組みにも注目します。また、会場内には一部原寸大で宝庫を再現し、雄大なスケールを体感いただくスペースも登場します。


第1章

聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物

天平勝宝8歳(756)6月21日。聖武天皇(しょうむてんのう)が崩御されて四十九日にあたるこの日、光明皇后(こうみょうこうごう)は天皇が早く盧遮那仏の世界「花蔵(けぞう)の宝刹(ほうさつ)」に安住されることを願って、東大寺の大仏(盧遮那仏)に天皇ご遺愛の品々をはじめとする、六百数十点の宝物を献納されました。
この章ではその際の目録である『東大寺献物帳(国家珍宝帳)』に記された宝物を中心として、聖武天皇と光明皇后ゆかりの品々をご紹介致します。

国宝 海磯鏡

[かいききょう]

中国 唐または奈良時代・8世紀
東京国立博物館蔵(法隆寺献納宝物)[通期展示]


国宝 海磯鏡 唐または奈良時代・8世紀 東京国立博物館(法隆寺献納宝物)【通期展示】

聖徳太子の命日にあたる2月22日を期して、天平8年(736)に光明皇后が法隆寺の「丈六(じょうろく)」仏に捧げられた鏡。太子に等しい仏として信仰された金堂の釈迦三尊像に奉納されたと考えられます。鏡の背面には四方に山が表され、その周りは波の文様で埋め尽くされています。「海磯鏡」と称されるものの、仙人の姿とともにオシドリも見えるため、川や湖にまつわる神仙説話を表わしたものと考えられます。

平螺鈿背八角鏡

[へいらでんはいのはっかくきょう]

中国 唐時代・8世紀 正倉院宝物[後期展示]


平螺鈿背八角鏡 唐時代・8世紀 正倉院宝物 【後期展示11月6日~24日】

『東大寺献物帳(国家珍宝帳)』に記された20面の鏡の一つ。青銅(白銅)で作られた花のような膨らみを持つ八角の鏡で、背面に装飾を施した宝飾鏡(ほうしょくきょう)の代表作です。琥珀(こはく)と螺鈿(らでん、ヤコウガイの真珠層)により宝相華(ほうそうげ)と呼ばれる天上世界の空想の花を画面いっぱいに詰め込み、その間にはトルコ石の細片をはめ込んでいます。


第2章

華麗なる染織美術

正倉院の染織品は、法隆寺献納宝物の作品とともに世界最古の伝世品として知られています。東大寺大仏の開眼会(かいげんえ)や聖武天皇の一周忌法要においては、大量の幡(ばん)や天蓋(てんがい)、褥(じょく)などが必要とされ、それらは儀式の後に東大寺へ納められ、現在は正倉院宝物として伝来しています。この章では、正倉院を代表する作品が一堂に会します。

紺夾纈絁几褥

[こんきょうけちあしぎぬのきじょく]

奈良時代・8世紀 正倉院宝物[後期展示]



紺夾纈絁几褥 奈良時代・8世紀 正倉院宝物 【後期展示11月6日~24日】

仏に供物を捧げる時、机の上に敷かれた作品です。夾纈とは2枚の木の板に文様を対称に刻み、これに絹織物を挟んで強くしめ、板どうしが密着した部分だけ染料が入らないようにする技法のこと。大きく枝葉を広げた果樹の下には蓮花座(れんげざ)に乗った水鳥が鮮やかな色彩で左右対称に表されています。正倉院の夾纈を代表する作品の一つ。


第3章

名香の世界

仏教の儀礼においては、貴重な香を焚いて仏に供養を行います。東大寺の大仏開眼会(かいげんえ)に代表される儀礼の場は、ふくよかな香りに満たされていたことでしょう。この章では正倉院を代表する香木である黄熟香を中心として、法隆寺献納宝物として伝来する沈水香(じんすいこう)などの香木、火舎(かしゃ)や薫炉(くんろ)といった香を焚くために用いる道具をご紹介いたします。

黄熟香

[おうじゅくこう]

東南アジア 正倉院宝物[通期展示]


黄熟香(蘭奢待) 東南アジア 正倉院宝物 【通期展示】

「蘭奢待(らんじゃたい)」の名で知られる天下の名香。この雅名の中には「東」「大」「寺」の三文字が組み込まれています。足利義政や織田信長らがこの香木を得たいと熱望し、一部を切り取った出来事は有名で、近代になっても明治天皇が行幸した折に切り取られています。ジンチョウゲ科のジンコウ属植物に樹脂が沈着することで出来た沈香(じんこう)であり、いまだに高い香りを放っています。


第4章

正倉院の琵琶

正倉院は古代楽器の宝庫でもあります。すでに現地では失われてしまった古代中国や朝鮮半島の楽器を伝えている点は、世界の音楽史上にも特筆すべきものでしょう。なかでもとりわけ有名なのが華麗な装飾が施された琵琶です。本章では正倉院の古代楽器を代表する二つの琵琶を中心として、本年完了した模造事業の成果もご紹介いたします。天上世界の楽器ともいうべき、究極の造形美をご堪能ください。

紫檀木画槽琵琶

[したんもくがのそうのびわ]

中国 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物[後期展示]


紫檀木画槽琵琶 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物 【後期展示11月6日~24日】

四絃琵琶は古代ペルシアに起源を持つ楽器。五絃琵琶と異なり、頚部が後ろへと直角に曲がるのが特徴です。本体は紫檀(したん)を刳(く)り抜いた本体に別材の腹板を貼り、背面には象牙や黄楊(つげ)、錫(すず)などをはめ込む木画(もくが)の技法によって華麗な装飾が施されています。撥(ばち)が当たる部分には革を貼り、馬に乗って狩猟を行う人物や山中での酒宴の様子を極彩色で表わしています。


第5章

工芸美の共演

わが国の7世紀美術を代表する法隆寺献納宝物と8世紀美術を代表する正倉院宝物。それぞれ聖徳太子と聖武天皇に由来する宝物には時間的な隔たりがあるものの、同じ用途のために制作された作品も含まれています。本章では主に二つの宝物を同時に展示することで、飛鳥時代から奈良時代にかけて、作品の形がどのように変わっていったのか、また美意識の特色について見ていきたいと思います。

国宝 竜首水瓶

[りゅうしゅすいびょう]

飛鳥時代・7世紀 東京国立博物館蔵(法隆寺献納宝物)[後期展示]


国宝 竜首水瓶 飛鳥時代・7世紀 東京国立博物館(法隆寺献納宝物)【後期展示11月6日~24日】

銅に金銀の鍍金(ときん)を施した華麗な水瓶。西アジア由来の器形のみならず、胴体に刻まれたギリシア・ローマ神話由来の有翼馬や、注ぎ口の龍など、シルクロードを経由してわが国に伝えられた諸地域の造形表現が一作品に結集しています。法隆寺献納宝物を代表する古代金工美術の傑作であり、壮大な古代の国際交流を今に伝えています。


漆胡瓶

[しっこへい]

中国 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物[後期展示]


漆胡瓶 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物 【後期展示11月6日~24日】

『東大寺献物帳(国家珍宝帳)』に記載される聖武天皇御遺愛の水瓶(すいびょう)。下膨れの胴に把手(とって)の付いた形は胡瓶(こへい)と呼ばれ、ササン朝ペルシアに由来します。蓋の形は鳥の頭のようで、銀の鎖により把手とつながっています。黒い漆の表面には銀の薄板をはめ込む装飾が施され、草花の生い茂る野に鹿が駆け、鳥が舞う様子が華やかに表わされています。


第6章

宝物をまもる

1260年以上の長きに渡り宝物を伝えてきた正倉院。漆芸品や染織品など、脆弱(ぜいじゃく)な素材で作られた作品が現代に伝えられているのは、決して偶然のなせる技ではありません。時の皇室による保護のもと、人から人へ守り伝えてきたことこそが、世界の文化史上にかけがえのない意義を持っています。本章では明治以降本格化した正倉院宝物の調査と修復作業に焦点をあて、あわせて帝室博物館時代以来の東京国立博物館と正倉院のつながりもご紹介いたします。

正倉院御物修理図(部分)

[しょうそういんぎょぶつしゅうりず]

稲垣蘭圃(いながきらんほ)筆 明治22年(1889)東京国立博物館蔵[通期展示]


正倉院御物修理図 稲垣蘭圃筆 明治22年(1889) 東京国立博物館 【通期展示】

宮内省図書寮(くないしょうずしょりょう)が当時の赤坂離宮の地で行っていた正倉院宝物修理の様子を描いた作品。筆者の稲垣蘭圃は図書寮に勤めていた人物で、正倉院宝物の模造製作を行っていた稲生真履(いのうまふみ)の求めに応じて描かれました。大らかな当時の修理の様子を伝えるものとして貴重です。


御即位記念特別展
「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」

2019年10月14日(月・祝)~11月24日(日)
[後期展示:11月4日(月・休)から]

[会場]東京国立博物館 平成館(上野公園)

[時間]9:30~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで ※会期中の金曜・土曜、11月3日(日・祝)、11月4日(月・休)は21:00まで開館

[休館日]月曜日、11月5日(火) ※11月4日(月・休)は開館

[観覧料金]
一般1,700円(1,400円)、大学生1,100円(800円)、高校生700円(400円)、中学生以下無料
 ※( )内は20名以上の団体料金 ※障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。

[主催]東京国立博物館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
[協賛]岩谷産業、大和ハウス工業、凸版印刷、丸一鋼管

覧会公式サイト>>https://artexhibition.jp/shosoin-tokyo2019/


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