【吟天グルメ】料理と歌、日本酒が響き合う。吟天が描く“新しい酒席文化”
人と文化を日本酒でつなぐ「吟天」。
代表を務める小田切崇さんは、日本酒を単なる商品としてではなく、人と人を結び、豊かな時間を生み出す文化として捉えています。その考えを体現する取り組みの一つが、食や音楽を通じて交流を楽しむ「吟天グルメ」です。
今回、東京・永田町のラ・ロシェル山王で開催された会では、フレンチのコース料理と日本酒のペアリングに加え、宝塚OGによる歌とトークが行われました。そこには、フレンチ、日本酒、音楽が交わり、人と人が自然につながる場が広があり、料理人、歌い手、参加者が同じ時間を共有し、食や芸を通じて交流する時間が流れていました。
吟天は、日本酒づくりを軸にしながら、食や音楽、人との出会いを通じて豊かな時間を育む活動を続けています。
日本酒の居場所を広げる

日本酒というと、和食とともに楽しむものという印象を持つ方も多いかもしれません。しかし吟天は、その枠を越えようとしています。今回のペアリングで提供されたのは、「吟天白龍」「吟天花龍」「吟天龍王」の3種。それぞれの個性に合わせて料理が組み立てられていました。
ラ・ロシェルの川島総料理長によると、普段からワインとワインの間に日本酒を組み込むことがあるそうです。「日本酒とは思えない使い方ができるんです。フランス料理との相性も良くて、料理の合わせ方のバリエーションが広がります」と語るその言葉どおり、日本酒はフレンチの流れのなかで自然に機能し、料理の魅力を静かに引き立てていました。
日本酒を和食だけのものにしない。吟天が取り組んでいるのは、日本酒の居場所を広げる挑戦でもあります。
フレンチと日本酒が響き合う
今回の「吟天グルメ」で提供されたのは、フレンチのコース料理と3種の日本酒によるペアリングでした。
乾杯酒として登場したのは「吟天白龍」。料理は、“ 茨城県産サヨリと九十九里浜の蛤 ふきのとうのタップナード 新玉葱のエスプーマ” です。小田切さんによれば、この白龍はフレンチとの相性を意識して設計された一本。スパークリングならではの軽やかな口当たりが、春らしい前菜の香りや酸味を引き立てていました。

続いて提供されたのは、「吟天花龍」と “真蛸の柔らかな煮込みと根セロリ 山椒香る赤ワインソース なめらかなセロリラブのピューレと共に” の一皿。フレンチらしい赤ワインソースと日本酒という意外な組み合わせでありながら、川島総料理長が語った「料理の合わせ方のバリエーションが広がる」という言葉を、まさに体感するようなペアリングでした。

そしてメインは、「吟天龍王」と “京都 亀岡市七谷鴨胸肉の炭火焼きと腿肉のバロティーヌ かんずり香るアルビュフェラソース ドライフルーツが添え” 。鴨の力強い旨味に寄り添いながらも、日本酒が主張しすぎることはありません。ワインとは異なるアプローチで、料理をそっと引き立てていました。

締めくくりは、“3種の柑橘とサヴァラン 茉莉花の香りを添えて” 爽やかなデザートです。

食と芸が交わる場所

吟天の会では、料理、日本酒、音楽がひとつの時間をつくり上げています。今回出演したのは、宝塚OGの留依まきせさんと侑蘭粋さんです。
生ライブが始まると、会場の空気は一変しました。圧倒的な歌唱力で披露される楽曲に、参加者は自然と耳を傾けます。後に川島総料理長は、「歌声が厨房まで響いていました」と振り返ります。
料理をつくる人も、サービスをする人も、客席の人も、みな同じ時間を共有していたのです。そこには、単なる食事会ともライブとも異なる空気が流れていました。

人と風土をつなぐ

さらに興味深いのは、吟天がお客様を生産の現場へとつないでいることです。
自然栽培による酒米づくり。田植え体験。酒造りへの参加。完成した商品を楽しむとともに、その背景にある人や土地に触れる機会もつくっています。
消費者と生産者。都市と地域。飲む人とつくる人。本来であれば交わることの少ない人たちが、日本酒をきっかけにつながっていくのです。それは単なる体験イベントではなく、日本酒を通じた関係づくりとも言えるでしょう。
おわりに
現代では、お酒を飲む機会そのものは少なくありません。しかし、人と人がゆっくり語り合い、文化に触れ、新しい出会いを楽しむ場は、以前より少なくなったようにも感じます。
料理と酒を楽しみ、音楽に耳を傾け、人と語らい、ときには田んぼや酒蔵へ足を運ぶ。そんな体験の積み重ねを通して、人と文化がつながる場を育てていく。
日本酒を中心にした新しい酒席文化。吟天の活動は、日本酒の新たな可能性とともに、人が集い、交流する場の価値を改めて教えてくれました。
【吟天サイト】 https://ginten.tokyo/
